Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『不干斎ハビアン』

本ブログではこれまで、宗教学者にして浄土真宗の僧侶でもある、釈徹宗さんの著作をたびたび取り上げてきた。とても平易でユーモラスな話し言葉の文体が、彼の一番の持ち味だ。 本日取り上げる釈さんの著作『不干斎ハビアン 神も仏も棄てた宗教者』(新潮社…

書評『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』

評論家・宇野常寛さんのことを、僕はわりと評価している。 「えー? どうして宇野なんか褒めるんですかぁ。あいつ、サヨクじゃないですかぁ!」 とよく言われる。 確かに、彼の見解に同意できることはそんなに多くない。だが重要なのは、同意できるか否かで…

最近見た映画の感想(第254回)

・『ハムレット』 本ブログでは以前にも『ハムレット』の映画化作品を取り上げたことがある。そちらは舞台演劇的な演出をあえて映画に取り入れた作品となっていたが、本作のほうは、普通に“映画らしい映画”に仕上がっている。歴史モノのドラマを見ているかの…

書評『イタリア合理主義』

2003年、僕はイタリアを旅行した。 ローマの空港に降り立った際、なんだかカリフォルニアと似ているな、と感じた。ともに地中海性気候だからだろう。ところがローマの中心部に至ると、さすがにその考えを改めざるをえなかった。 なにせ、古代ローマ時代につ…

最近見た映画の感想(第253回)

・『爆裂都市 BURST CITY』 いかにも「80年代~」という雰囲気が漂う(w)、SFアクション映画だ。 近未来の荒廃した都市を舞台に、これまた荒廃したヒャッハー!な若者たちが暴れまわる。 主演は陣内孝則。今でこそオッサン俳優になってしまったが(w)…

書評『ガザーリー』

本ブログでは昨秋、イスラーム学者・井筒俊彦さんの『イスラーム思想史』という本を取り上げた。 この本のなかでひときわ僕の印象に残ったのが、ガザーリーという中世の神学者であった。 このガザーリー、哲学批判を展開することによって「東方イスラーム哲…

書評『平凡パンチの三島由紀夫』

僕は以前、ある保守系の団体にコミットしていたことがある。 そこでは毎年、三島由紀夫の命日の近くになると、追悼祭を催していた。 追悼祭のプログラムの一環として、『英霊の聲』の一部分を三島本人が朗読したテープが毎回流された。その朗読テープでは、…

書評『エーコの文学講義』

本ブログでは以前、イタリアの哲学者にして作家でもあるウンベルト・エーコ(1932‐2016)の『論文作法』という本を取り上げた。 これはタイトルのとおり、(文系の)論文の書き方についてあれこれ教えてくれる指南書である。タイトルだけ見るとなにやらお堅…

書評『赫奕たる逆光』

本ブログではここのところ、三島由紀夫に関する書籍をやや集中的に取り上げている。 本日ご紹介する本は、作家の野坂昭如さん(1930‐2015)の『赫奕たる逆光』(文藝春秋)だ。 野坂さんは、生前の三島とも親交があった。そんな野坂さんによる三島評は、なか…

書評『ファシズムの正体』

本ブログではこれまで、ファシズムに関する著作をいくつか取り上げてきた。 このうち、藤沢道郎さんの『ファシズムの誕生――ムッソリーニのローマ進軍』とヴルピッタさんの『ムッソリーニ』は、イタリアン・ファシズムを知るための教材としてうってつけであっ…

書評『ファシスタたらんとした者』

ここ最近、本ブログでは、評論家・西部邁さん(1939-2018)の著作をやや重点的に取り上げている。 本日ご紹介する『ファシスタたらんとした者』(中央公論新社)もまた、西部さんの著作であり、彼の自死の前年に刊行された本である。その内容も、評論家・西…

最近見た映画の感想(第252回)

・『三度目の殺人』 福山雅治演じる主人公の弁護士が、ある凶悪事件の弁護を引き受ける。役所広司演じる被告人には強盗殺人の容疑がかかっており、普通に考えれば死刑は免れ得ない。主人公はなんとか減刑すべく、事件現場に足を延ばしたり被告人と何度も面会…

書評『インド 第三の性を生きる』

今や日本では、女装がすっかり市民権を獲得した。 「禁断の趣味」扱いされたのも昭和までの話。平成の今日では、女装男子がもはや当たり前のように街を闊歩している。最近では女装男子限定の婚活パーティー(!)まで催されているのだそうで、その人気のほど…

書評『禅僧が教える 心がラクになる生き方』

さぁ、本日ご紹介する本は、本ブログではもはやおなじみ(w)、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの『禅僧が教える 心がラクになる生き方』(アスコム)だ。 本ブログではこれまで、たびたび南さんの著作を取り上げてきた。だが不思議なもので…

書評『不況は人災です!』

「日本はもう成長しない」 なにかにつけてそうつぶやく左派の人たちの言い分に耳を傾けてみると、どうやら彼らは不況という経済現象を、自然災害のようなものと捉えているらしいことが、おぼろげながら分かってくる。 台風が来るのがしょうがないことのよう…

書評『サンスクリット』

中学のころ、僕は英語の文法に強く魅せられた。 一見するとただのデタラメな単語の羅列に見える英語のなかに、よぉく見ると、ちゃんと法則性が存在している――中学生の僕は、この事実にとても感銘を受けたのだった。 そして、英語が一気に好きになったのだ。…

書評『夜は短し歩けよ乙女』

本ブログでは以前、アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』を取り上げた。とても幻想的で、それでいてユーモラスでもある独特の世界観が魅力だ。皆さんもぜひご覧になってほしい。 さあ、本日ご紹介するのは、その原作小説『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)であ…

書評『多田駿伝』

本日ご紹介する本は、『多田駿伝 「日中和平」を模索し続けた陸軍大将の無念』(小学館)である。 「え、多田……駿? ぶっちゃけ、誰っすか?」 と皆さん不思議に思っていることだろう(w 恥ずかしながら、僕自身、多田駿なる人物のことを、本著を読んで初め…

最近見た映画の感想(第251回)

・『オール・ザ・キングスメン』 本ブログでは以前、20世紀前半の米ルイジアナ州にて辣腕をふるった政治家、ヒューイ・ロング知事に関する著作『アメリカン・ファシズム』を取り上げた。 今回ご紹介する『オール・ザ・キングスメン』は、そんなロング知事を…

2018年8月のまとめ

気候 暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い いやぁ~今月も、昨月に引き続き、猛暑に苦しめられた。中旬に入って少し涼しい日が続いたのでホッとしたが、それもつかの間(w)、また暑くなった。もう下旬だというのに東京ではあいかわらず…

最近見た映画の感想(第250回)

・『ニシノユキヒコの恋と冒険』 竹野内豊演じる主人公・ニシノユキヒコ。女にモテまくったという羨ましすぎる男だが、本編開始後5分にしてあっさり交通事故で死亡してしまう(w で、葬儀にて生前の彼を愛した女たちが集い、彼について回顧する、という筋書…

書評『プチャーチン』

僕の地元・静岡県沼津市の南に、戸田(へだ)という小さな港町がある。 かつては静岡県戸田村という独立した自治体だったが、いわゆる平成の大合併にともないお隣の沼津市に編入され、以降、沼津市戸田として今日に至っている。 僕は昔、子供のころにこの戸…

書評『三島由紀夫の二・二六事件』

20代のはじめのころから、僕は日本の戦前・戦後のナショナリストたちに関心を持つようになった。 最初に関心を持ったのは、三島由紀夫。その次に、北一輝だった。 ところが調べてみると、このふたりの天皇観はちょっと、いやだいぶ違っていることに気がつい…

書評『キリスト教は役に立つか』

本ブログでは以前、『禅と福音』という対談本を取り上げたことがある。 本ブログではおなじみの曹洞宗僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんと、カトリックの司祭である来住英俊(きし・ひでとし)さんによる対談本であった。 僕はこの本を通じて来住さんと…

書評『民主政の不満』

本ブログでは最近、政治哲学者、マイケル・サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』『ハーバード白熱教室講義録』を取り上げた。 これらは、ハーバード大でのサンデル教授の講義を活字化したものだが、同講義は学生たちに議論させることを主な目的…

最近見た映画の感想(第249回)

・『1941』 タイトルの「1941」という数字は、真珠湾攻撃の行われた1941年のこと。 本作は、真珠湾攻撃のあと、もし日本軍がLAを攻撃していたら、という「歴史のIF」を映画化した作品である。 といっても、生真面目なものでは全然なく、むしろ純然た…

書評『宗教に関心がなければいけないのか』

比較文学者の小谷野敦さんは、ブログ「猫を償うに猫をもってせよ」(通称:猫猫ブログ)の筆者としても知られ、ネット上では「猫猫先生」の愛称でも親しまれている。 本日取り上げるのは、そんな猫猫先生の著作『宗教に関心がなければいけないのか』(筑摩書…

書評『環境保護運動はどこが間違っているのか?』

環境保護運動ってヤツは、言っちゃ悪いが、なんか胡散臭い。 たとえば、太陽光発電。原発と違って「自然に優しい(=環境を破壊しない)、人にも優しい(=危険な事故を起こさない)」というので、3.11以降全国でソーラーパネル設置の動きが広まったが、さて…

書評『嫉妬と自己愛』

僕は、性格が悪い人間である。 と言うと、人からはよく「え~っ、ウッソ~!? 全然そんなふうには見えな~い!!」と驚かれるのだが、いやいや本当の話だ。 実のところ、僕はとても冷酷で残忍で強欲で嫉妬深く、かつ執念深い人間である。 もっとも、最近で…

書評『地の記憶をあるく』

本日は、おしさしぶり、我らが“マツケン”の登場である。 といっても、本ブログの読者の皆さんならもちろんお分かりだろうが(w)、このブログで「マツケン」と言ったら、それは松平健でも松山ケンイチでもなく、評論家の松本健一さん(1946‐2014)のことで…