Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『希代のジャーナリスト・徳富蘇峰 1863‐1957』

戦前の右翼思想やアジア主義に関する書籍を読んでいると、たいてい名前が挙がる人物のひとりに、ジャーナリスト・徳富蘇峰(1863‐1957)がいる。 ところが僕は浅学なものだから、この蘇峰なる人物のことが、どうにもよく分からない。ジャーナリストだという…

書評『大西郷遺訓』

戦前、戦後の右翼思想家・活動家たちがこぞって持ち上げるのが、今年の大河ドラマの主人公・西郷隆盛である。 頭山満は「右の籠に西郷さんを入れ、左の籠に一億人を入れてそれを天秤棒で担ぎ上げたら、どちらが重からうかネ」とさえ言っていた。 西郷は、ど…

最近見た映画の感想(第225回)

・『アフガン零年』 タリバン政権下のアフガニスタン。 主人公の少女の家では、男が全員戦乱で死んでしまった。もはや他に稼ぎ手がいないというので、やむなく少女が髪を切り、男装して働くこととなった。 ところが、タリバンの神学校などへ引きずり回される…

書評『岡倉天心「茶の本」をよむ』

最近、アジア主義に関する書籍を、やや集中的に読んでいる。 それらの本のなかで決まって出てくる名前のひとつに、美術評論家・岡倉天心(1863‐1913)がある。 本ブログでは以前、アジア主義の思想家・大川周明の評伝を取り上げたが、その大川の師匠筋にあた…

書評『大本襲撃』

本ブログではこれまで、日本のアウトサイダーたちは必ずしも天皇を敵視してはいなかった、という話を繰り返ししてきた。 むしろ逆だ。アウトサイダーこそ、「天皇は俺たちの味方だー!」と自らを鼓舞しつづけてきたのである。 天皇は社会的弱者に寛容であり…

最近見た映画の感想(第224回)

・『恋人たち』 「恋人たち」だなんて、実にロマンティックなタイトルだから、てっきりラブコメなのかと思いきや…… いやぁ、とんでもないタイトル詐欺(w)。実に暗い映画だった(w だが、駄作というのではない。むしろ逆だ。現代の鬱屈とした日本社会を見…

書評『イブラヒム、日本への旅』

僕のお気に入りの場所のひとつに、東京・代々木上原にあるモスク「東京ジャーミイ」が挙げられる。 ここは、日本国内における最大級のモスクであり、日々多くの在日ムスリムたちが祈りをささげている。日本では珍しいオスマン様式の建物が、ひときわ目を引く…

書評『クォン・デ』

何年か前、TBSで、日本とベトナムの国交樹立ウン十周年だかを祝うスペシャルドラマが放送された。皆さん、覚えてらっしゃるだろうか? 日本とベトナム、両国の俳優を起用して、ベトナムの民族活動家ファン・ボイ・チャウ(1867‐1940)の生涯を映像化した…

書評『親鸞の教えと歎異抄』

最近、浄土真宗の開祖・親鸞に興味が向いている。 本ブログでは以前、評論家・小浜逸郎さんによる『歎異抄』現代語訳を取り上げたことがあった。だが率直に言って、親鸞という人が分かったとは、まだ到底いいがたい。 小浜さんの翻訳・解説が分かりづらかっ…

書評『完訳 Oの物語』

僕は、べつに文章がうまいほうじゃないし、べつに作家志望というわけでもないから、小説を書くなんてことは、普段しない。 だが以前、知人らの出している同人雑誌に寄稿を頼まれ、自作の短編小説を書いたことがあった。 それは、「男性優位共和国」という架…

書評『永遠の維新者』

先日は、戦前の右翼に関する著作を取り上げた。 それでは、戦後になってからの右翼は、どうだったのだろう。 率直に言って、戦後になってからの右翼は、あまりぱっとしない。「右翼」と聞いて皆さん思い浮かべるだろう、「北方領土奪還!」とか書かれた黒塗…

書評『近代日本の革新論とアジア主義』

本ブログではこれまで、戦前の右翼に関する書籍を多く取り上げてきた。 本日ご紹介する『近代日本の革新論とアジア主義 北一輝、大川周明、満川亀太郎らの思想と行動』(芦書房)もまた、戦前右翼をテーマとした本のひとつである。 著者は、歴史学者のクリス…

最近見た映画の感想(第223回)

・『岸辺の旅』 黒沢清監督といえば、いまや日本映画界を代表する監督のひとり。ホラー映画の名手として知られている。 本作は、しかしながらそんな黒沢監督らしからぬ(?)、実にさわやかな映画であった。 浅野忠信と深津絵里演じる、主人公の夫婦。傍目に…

書評『日本精神史への旅』

本日はひさしぶりに、我らが“マツケン”にお出ましいただくとしよう。 はい、本ブログの読者の皆さまにはいまさら解説するまでもなかろうが(w)、本ブログで“マツケン”といったら、それは松平健でも松山ケンイチでもなく、評論家の松本健一さん(1946-2014…

最近見た映画の感想(第222回)

・『マーヴェリック』 とってもコミカルで楽しい西部劇だ。 メル・ギブソン演じる主人公の男と老保安官、そしてジョディ・フォスター演じる詐欺師の女の3人が、化かし合い、化かされ合いながらも、一緒に旅を続ける。 メル・ギブソン、本作では二枚目半の役…

書評『琉球の時代』

僕は20歳くらいのとき、鉄道で日本全国を旅してまわったことがある。 北は北海道から、南は鹿児島まで。だいたいの都道府県には、足を踏み入れた。むしろ、まだ行ったことのない県を挙げたほうが早いくらいだろう。 秋田、愛媛、長崎、そして沖縄。以上の4…

書評『超訳「般若心経」』

大乗仏教の経典「般若心経」(はんにゃしんぎょう)。 難解で近寄りがたいイメージのあるこのお経を、もっと現代人に親しんでもらおう、理解してもらおうという試みは、これまで幾度となくなされてきた。 youtubeで般若心経のコーラスバージョンやラップバー…

書評『偽書の精神史』

この国は今、財務省による公文書改竄の問題で、揉めに揉めている最中である。 それでは、昔はどうだったのだろう。 ……驚くべきことに、中世の日本人は、たとえば聖徳太子などの歴史上の人物の名前を勝手に拝借し、経典を平気で偽造していたのであるw(;^_^A …

書評『日本人とユダヤ人』

評論家・山本七平さん(1921-1991)の著書『日本人とユダヤ人』は、一風変わったかたちで世に出ることとなった。 「山本七平さんの著書」とさらりと書いてしまったが、実を言うとこの本、当初は山本さん名義ではなかったのだ。「イザヤ・ベンダサン」なるユ…

最近見た映画の感想(第221回)

・『ベスト・キッド』 新しい月の始まりにふさわしい、よく出来た娯楽映画だ。 主人公の、いじめられっ子の少年。そんな彼が、引っ越し先のお隣に住むナゾの日本人“ミヤギ名人”から琉球空手を教わる、というお話である。 主人公、さっそくミヤギ名人に弟子入…

書評『大正天皇』

本ブログでは先月、ドナルド・キーンさんによる明治天皇の評伝を取り上げた。 明治天皇は、今日でも「大帝」と称され、根強い人気を誇る。彼をまつった明治神宮は都内有数のパワースポットとされ、参拝客が絶えることがない。 一方、そのご子息の大正天皇は…

書評『ベラボーな生活』

現役のお坊さんにして初めて芥川賞を受賞したという、一風変わった経歴の持ち主が、臨済宗の僧侶・玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)さんだ。 本日取り上げる『ベラボーな生活 禅道場の「非常識」な日々』(朝日新聞社)は、そんな芥川賞作家・玄侑さんによ…

書評『お釈迦さまの脳科学』

本日ご紹介する書籍は、苫米地英人さんの『お釈迦さまの脳科学』(小学館)である。 苫米地さんという人は実にマルチな才能を発揮しているので、肩書をどう紹介すればいいか迷うところだが(^▽^;)、とりあえずここでは認知科学者、ということにしておこうか。…

書評『灰色のバスがやってきた』

一昨年、神奈川県の知的障害者福祉施設にて、元職員の男が入所者19人を殺害するという大量殺人事件が発生した。まだ皆さんの記憶にも新しいだろうこの事件は、わが国におけるシリアルキラー(ひとりによる連続殺人)の最悪記録を更新した。 この犯人の男の供…

書評『死ぬ瞬間』

本日取り上げる書籍は、米国の精神科医、エリザベス・キューブラー=ロス(1926‐2004)の『死ぬ瞬間 死とその過程について』(中央公論新社)である。 タイトルに「死ぬ瞬間」なんて語句が入っているくらいだから、てっきり臨死体験の事例を多数収録した本な…

2018年冬アニメ感想(おまけ)×春アニメ注目作

先日は、2018年冬アニメの感想をランキング形式にて紹介した。 本日は、先日取り上げられなかったアニメ作品について、ごくごく簡単に感想を書くと同時に、今月から放送の始まる春アニメのなかから、個人的に注目している作品をいくつかピックアップしてみた…

2018年3月のまとめ

気候 本ブログの読者の皆さまならもうとっくにお気づきかと思うが、月末の恒例記事「○年□月のまとめ」では、はじめに必ず気候の話から入ることにしている。政治など二の次だ。 手紙でもそうだが、やはり人間の書く文章は、最初に季節の話題から入るのが最も…

2018年冬アニメ感想

月日が経つのはまことに早いもので、ついこの間始まったばかりのような気がする今期アニメたちが、次々と最終回を迎えつつあります。 本日もまた例によって、今期のお気に入りアニメ5本を勝手にランキング形式にて発表いたします。 1位『3月のライオン』 昨…

書評『図解 ゼロからわかる経済政策』

リフレ派の論客として知られる、経済学者の飯田泰之さん。 飯田さんの著作には一般人向けの分かりやすい入門書が多く、僕もこれまで彼の著書を読み、経済学を勉強してきた。 本日ご紹介する『図解 ゼロからわかる経済政策 「今の日本」「これからの日本」が…

書評『自分をみつめる禅問答』

さて、先日に引き続いて、本日も曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの著作を取り上げるとしよう。 『自分をみつめる禅問答』(角川学芸出版)である。 南さんはこれまでに複数の対談本を世に出しているが、本著は言うなれば疑似的な対談本。ふた…