Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『天使の世界』

本日ご紹介する本は、『天使の世界』(青土社)。 キリスト教世界において、時代を問わず、多くの人々のイマジネーションを刺激してきた、天使なる存在をテーマとした本だ。著者は、マルコム・ゴドウィン。日本語訳を担当したのは、翻訳家の大瀧啓裕さんだ。…

書評『中島岳志的アジア対談』

本ブログではこれまで、政治学者・中島岳志さんの著作をいくつか取り上げてきた。 本日ご紹介するのは中島さんの、単著ではなく対談集。『中島岳志的アジア対談』(毎日新聞社)である。 対談者の主な顔ぶれを見てみると……本ブログではおなじみ、作家の佐藤…

書評『映画で学ぶ現代宗教』

本日ご紹介する本は、『映画で学ぶ現代宗教』(弘文堂)。 まさにタイトルのとおり、映画を通じて宗教について学ぼう! という本である。 著者はおなじみ釈徹宗さn……とばかり思っていたら、違った(w 本著は、複数の社会学者、宗教学者らが書いた映画の紹…

書評『人は死ぬから生きられる』

本ブログではこれまで、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの著作を多数取り上げてきた。 本日ご紹介する『人は死ぬから生きられる』(新潮社)は、そんな南さんと、お茶の間でもおなじみ、脳科学者の茂木健一郎さんのふたりによる対談本だ。 ………

最近見た映画の感想(第212回)

・『脱走山脈』 (佐藤優似の)オリバー・リード演じる英兵の主人公。第二次大戦中のドイツで捕虜となってしまった彼は、現地の動物園で象の飼育係を任される。その結果、すっかり象に情が移ってしまった彼は、脱走して象と一緒にスイスへ亡命することを決意…

書評『ファシズム体制下のイタリア人の暮らし』

ここ最近、『永遠のファシズム』、『建築家ムッソリーニ』と、イタリアのファシズムに関する本を立て続けに読んでいる。 本日ご紹介する『ファシズム体制下のイタリア人の暮らし』(白水社)もまた、ファシズム時代のイタリアにおける市井の人々のくらしを詳…

書評『近代アジア精神史の試み』

本ブログではこれまで、評論家・松本健一さん(1946‐2014)の著作を複数取り上げてきた。 本日ご紹介する『近代アジア精神史の試み』(中央公論社)もまた、そんな松本さんによる著作のひとつである。 本著は、19世紀後半からアジア各国で活発化する、欧米列…

最近見た映画の感想(第211回)

・『呉清源 極みの棋譜』 僕は将棋ファンであるが、囲碁のほうはあいにく、どうにもよく分からない。将棋と比べて囲碁のほうが抽象的だからだろうか。 将棋のほうは、王様がいて将軍がいて下っ端の兵士がいて、なんか戦争やってるという具体的なイメージがわ…

書評『維新と興亜に駆けた日本人』

本日ご紹介する『維新と興亜に駆けた日本人 今こそ知っておきたい二十人の志士たち』(展転社)は、戦前、アジア主義に生涯をささげた20人の思想家、活動家たちを取り上げた評伝である。 著者は、ジャーナリストの坪内隆彦さん。 本著は、雑誌上での連載をま…

書評『法然親鸞一遍』

本日ご紹介するのは、『法然親鸞一遍』(新潮社)。浄土仏教の開祖たちの名が中点無しで一続きに並べられた、一風変わったタイトルの本だ。 著者は、本ブログではもはやおなじみ、宗教学者の釈徹宗さん。 浄土真宗の僧侶でもある釈さんにとって、本著のテー…

書評『評伝 北一輝』

今日は2月11日。建国記念の日だ。 日本の誕生日には、かつて日本を揺るがせた革命家、北一輝(1883‐1937)の評伝を取り上げるのがふさわしかろう。 というわけで、本日ご紹介する本は、評論家・松本健一さん(1946-2014)による『評伝 北一輝』(岩波書店)…

最近見た映画の感想(第210回)

・『死にゆく者への祈り』 IRA(アイルランド共和軍)のメンバーであった、主人公の男。IRA時代、誤って小学生の乗ったスクールバスを爆破してしまったことが、いまだにトラウマとなって彼を苦しめている。 序盤、彼はIRAメンバーからの殺しの依頼…

書評『カンディード』

皆さんは、「弁神論」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 ようするに、完全無欠なはずの神様がこの世界をつくったはずなのに、どうしてこの世界はこんなにも悪に満ち満ちているのだろう、という問いについて考察していくことである。 こうと書くと、な…

書評『「反原発」異論』

思想家・吉本隆明(1924-2012)。 凄い人だった、と上の世代は言う。僕ら世代には、しかしながら彼の「凄さ」がいまいちよく分からない。僕ら世代にとって、吉本隆明といえば「オウム事件のときにうっかり麻原を褒めちゃった、イタいおじいちゃん」程度の印…

書評『建築家ムッソリーニ』

神奈川県川崎市に「チネチッタ」なるシネマコンプレックスがある。みなさんは行かれたことがあるだろうか。僕は一度もない。 そのチネチッタ、イタリア・ローマにある同名の映画撮影所がその名の由来だ。阿部寛が古代ローマ人を演じたことで話題になった映画…

書評『ゼロからの宗教の授業』

本ブログでは先月、浄土真宗僧侶にして宗教学者でもある釈徹宗さんの『宗教聖典を乱読する』を取り上げた。 本日ご紹介する『ゼロからの宗教の授業』(東京書籍)もまた同様に、釈さんが世界の宗教を解説していくという内容の著作である。 第一章では、「そ…

書評『がんばれ仏教!』

以前にも書いたとおり、昨年11月、母方の祖父が亡くなった。96歳だった。 うちは父方母方ともに曹洞宗だと聞いていたから、てっきり祖父の葬儀には曹洞宗の僧侶が来るものとばかり思っていた。 ところが、そうではなかった。実際に斎場に現れたのは、なんと…

書評『トルコ現代史』

皆さんには、「最近、この国の動向が、どうにも気になるんだよ~」と思えるような、そんな国はあるだろうか。 僕にはある。トルコがそれだ。 現在のエルドアン政権になって以降、トルコは国際社会において、そのプレゼンス、発言力を高めつつある。それだけ…

最近見た映画の感想(第209回)

・『死刑執行人もまた死す』 ナチス占領下のチェコスロバキア(現在のチェコ)。ナチスの副総督ラインハルト・ハイドリヒが何者かによって暗殺された。ナチスはチェコの名望家らを人質にとり、真犯人が出頭するまで人質を処刑しつづけると宣言、実際に殺しは…

書評『永遠のファシズム』

現代イタリアを代表する作家、ウンベルト・エーコ(1932‐2016)。 一昨年に死去するまで、彼は数多くの小説、ノンフィクションを世に出してきた。 本ブログでは以前、ショーン・コネリー主演の『薔薇の名前』というミステリー映画を取り上げたことがある。そ…

書評『大アジア燃ゆるまなざし 頭山満と玄洋社』

先日は、インドの革命家ラース・ビハリ・ボースの評伝を取り上げた。 イギリスの官憲から追われる身であったボースを日本国内にかくまうにあたって暗躍したのが、右翼団体の玄洋社(げんようしゃ)であり、その総帥の頭山満(とうやま・みつる 1855‐1944)で…

2018年1月のまとめ

気候 今年の冬は、いつになく寒い。大雪も降ったし、なにより気温がものすごく低い。寝ていて、寒さのあまり目が覚めてしまうことが、何度あったことか。 毎年、このクソ寒い1月になるたびに思う。どうして1月が一年の始まりなのか。 「何言ってんだ、“1”月…

2018年冬アニメ―1月までの感想

月日が経つのはまことに早いもの。 ついこの間お正月を迎えたばかりのような気がしますが、もう1月もそろそろ終わりです。 というわけで、また例によって、1月から始まった冬クール深夜アニメの感想をごくごく簡単に書いていくことにします。 ・『3月のライ…

書評『中村屋のボース』

皆さんは、新宿中村屋の「インドカリー」を食したことがあるだろうか。 僕は一度だけある。奮発して、1500円くらいするインドカリーを食べてみたのだ。貧乏人の僕には少なからず痛い出費だったが、そのぶん、やはりおいしかった。うん、たまには高いカネを払…

書評『善の根拠』

本ブログではこれまで、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの著作を数多く取り上げてきた。 断言しよう。今回ご紹介する『善の根拠』(講談社)は、そんな南さんの最高傑作である。 本著の目的は、仏教の立場から「善」を再定義することにある。 …

最近見た映画の感想(第208回)

・『レベル・サーティーン』 タイ映画は侮れない。トニー・ジャー主演のアクション映画『トム・ヤム・クン!』や、生者と死者との不思議な交流を描いた『ブンミおじさんの森』など、なかなかに見ごたえある映画が多いのだ。 本作もまた、見る価値あるタイ映…

書評『癒しとしての死の哲学』

本著冒頭、私たちの生活から、死体が隠されつつあることが指摘される。 阪神・淡路大震災でも、本著刊行後に発生した東日本大震災でも、当然、多数の死体が発生したはずである。それなのに、メディア上でそれらが現れることはない。 ところが著者によると、…

最近見た映画の感想(第207回)

・『死ぬまでにしたい10のこと』 前回の映画評では『未来惑星ザルドス』というSF映画を取り上げた。不老不死のはずの人間が、それゆえにかえって死を望む、という内容の映画であった。 死は人間にとって、むしろ福音にもなりうる。 とはいえ一般の人々の…

書評『宇宙開発と国際政治』

皆さんは、『ライトスタッフ』というアメリカ映画をご存知だろうか。 宇宙飛行士に選抜された元空軍のエリートパイロットたちが、厳しい訓練に耐えながら宇宙を目指す、という内容の映画である。 ここで注目してほしいのは、彼らが元軍人である、という点だ…

書評『宗教聖典を乱読する』

先日は、鎌倉仏教に関する本を取り上げた。 本日は、宗教全般に関する書籍をご紹介するとしよう。『宗教聖典を乱読する』(朝日新聞出版)である。著者は、本ブログではもはやおなじみ、浄土真宗僧侶にして宗教学者でもある、釈徹宗さんだ。 親しみやすい語…