Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『近代の呪い』

本ブログでは以前、評論家・渡辺京二さんの著作を取り上げたことがある。 神風連の乱とドストエフスキーを取り上げたそれらの本はなかなかに難解であり、率直に言って、十分理解したとはいいがたい。 それでも、渡辺さんが、我々近代人の目から見れば不合理…

書評『震災恐慌!』

本日ご紹介する本は、『震災恐慌! 経済無策で恐慌が来る!』(宝島社)。 著者は、経済学者の田中秀臣さんと、経済評論家の上念司さん。対談本である。 ふたりは、リフレーション(人為的に引き起こされる緩やかなインフレ)によって日本経済の回復を目指す…

書評『仏教シネマ』

浄土真宗僧侶・釈徹宗さんの著書を読むと、たいてい何本か映画が紹介されていることに気がつく。 「あれ? 釈さんってもしかして、映画好きなのかな?」と思っていたら、案の定であった(w 本日ご紹介する『仏教シネマ』(文藝春秋)は、まさにタイトルのと…

書評『いきなりはじめるダンマパダ』

はて、ダンマパダとは何だろう? …と、多くの人はふしぎに思われるかもしれない。 『ダンマパダ』とは、原始仏教の経典の名である。漢語では『法句経』とも訳される。 今日ご紹介する『いきなりはじめるダンマパダ』(サンガ)は、浄土真宗僧侶にして宗教学…

書評『「男の娘」たち』

本ブログの読者の皆さまならよぉーくご存知かと思うが(w)、僕はいわゆる「男の娘(こ)」が大好きなのである♡ 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の戸塚彩加ちゃんはもはや極上の一品であるし(w)、ごく最近のアニメのなかでは『メイドイン…

書評『軍事革命(RMA)』

北朝鮮情勢が、いよいよ緊迫の度を増している。 我々日本人は、約70年ぶりに<戦争>を意識しなければならなくなった。 実のところ、大多数の日本人が抱いている<戦争>のイメージは、大東亜戦争以来、まったくと言っていいほど更新されていない。 だが、世…

書評『イスラムの読み方』

評論家の山本七平さん(1921-1991)の著書は、以前本ブログでも取り上げたことがある。 日本の保守派の論客の多くが「情」の人であるのに対し、山本さんはどこまでもクールな「理」の人であったところに、その最大の特徴があった。 今日ご紹介するのは、そん…

書評『キリスト教は邪教です!』

毎月多くの本を読み、毎日ブログを更新しておいて、こんなことを言うのもナンだが、僕は書き言葉というのがどうにもニガテである。 「~である」「~というものではないか」なんてお堅い文章を読み書きしていると、どうにも肩が凝ってしまっていけない。 そ…

最近見た映画の感想(第192回)

・『空海』 本ブログでは以前、曹洞宗の開祖・道元禅師の伝記映画を取り上げたことがあるが、今回ご紹介するのは、真言宗の開祖・弘法大師空海の映画である。 彼の没後―真言宗では「入定」という言葉を使うらしい―1150周年を記念して制作、1984年に公開され…

書評『仏教vs.倫理』

「死人に口なし」という言葉がある。 死者にはもはや、生者を、社会を動かせる力などない、という意味の言葉だ。 …そんなのは、嘘だ。 死者はときに、生者以上に饒舌であり、また生者のふるまいを強く規定するものだ。 曹洞宗の僧侶・南直哉さんの逸話を思い…

書評『座標軸としての仏教学』

勝本華蓮さんは、女性の仏教者にして仏教学者である。 以前、本ブログにて取り上げた『宮崎哲弥 仏教教理問答』のなかで、宮崎さんが対談した5人の仏教者のうちのひとりでもある。 そんな勝本さんが仏教の歴史を概観したのが、本著『座標軸としての仏教学』…

書評『「自分」を浄化する座禅入門』

今日はまず、個人的な体験談から話を始めることをお許しいただきたい(;^ω^) 最近、都内のある禅寺にて、座禅を体験してきた。 その寺では週一度、月曜日の宵に、一般人向けの座禅体験会を開催しており、それに参加してみたのだ。 禅寺のなかは静かで、ここが…

書評『仏教ではこう考える』

本ブログでは以前、お茶の間でもおなじみ評論家の宮崎哲弥さんが5人の仏教者と対話するという『宮崎哲弥 仏教教理問答』なる対談本を紹介したことがある。 その5人のなかに含まれていたのが、浄土真宗の僧侶・釈徹宗さんだった。 とても親しみやすい語り口が…

最近見た映画の感想(第191回)

・『アサシン 暗・殺・者』 一度は死刑を宣告された、女性服役囚の主人公。 彼女に対し、政府はふたつの選択肢を提示する。 ひとつは、そのまま死刑。もうひとつは、政府の機密工作員として働くというもの。 死刑囚にこうやって契約を迫るところがいかにもア…

書評『十二世紀ルネサンス』

子供の時分、僕は、文明というのは進歩するのが当たり前だとばかり思っていた。 19世紀より20世紀のほうが文明は進歩しており、21世紀のほうがさらに進歩している。 それだから、ヨーロッパの歴史に中世という暗黒時代が存在したと知ったときには、ちょっと…

最近見た映画の感想(第190回)

・『ロバータ』 20世紀のアメリカ・ミュージカル映画界を代表する名コンビ、ジンジャー・ロジャース&フレッド・アステア。 ふたりが共演したミュージカル映画である。彼らにとっては、これが三作目の共演なんだとか。 パリの街を舞台に、とにかくふたりが歌…

書評『まちづくり:デッドライン』

さて、本日ご紹介するのは、地域再生をテーマにした本、『まちづくり:デッドライン』(日経BP社)である。 著者は、木下斉さんと広瀬郁さんのふたり。 広瀬郁と聞いてピンときた読者の方、記憶力イイですね(w そう、先日ご紹介した飯田泰之さん編『これか…

書評『艶隠者』

「好きな歴史上の人物は?」とは、よくきかれる問いだ。 「三人の天下人のなかで好きなのは?」ときかれたら、僕はやはり、神君・徳川家康公を挙げたい。 太閤・秀吉公は、黄金の茶室なんて作ってしまう感性がしょせん成金という感じで、あまり好きではない…

書評『『ふしぎなキリスト教』と対話する』

カトリック教会の司祭・来住英俊(きし・ひでとし)さんについては、以前このブログでも著書を取り上げたことがある。曹洞宗僧侶・南直哉さんとの対談本『禅と福音』だ。 今日ご紹介するのは、来住さんの(対談本ではなくて)単著『『ふしぎなキリスト教』と…

書評『ムッソリーニ』

ヒトラーと並び、20世紀におけるファシスト独裁者として歴史に悪名をとどろかせているのが、イタリアのベニート・ムッソリーニだ。 本日取り上げるのは、そんなムッソリーニの生涯を扱った評伝『ムッソリーニ 一イタリア人の物語』(筑摩書房)である。 著者…

書評『しない生活』

多くの著書を世に出している、売れっ子お坊さん・小池龍之介さん。 以前このブログで取り上げた宮崎哲弥さんの対談本『さみしさサヨナラ会議』における宮崎さんの対談相手が、この小池さんだった。 …正直に白状してしまうと、僕はこの小池さんの本を、これま…

書評『これからの地域再生』

リフレ派の論客として知られる経済学者・飯田泰之さんの著作は、一般の読者向けに分かりやすく書かれたものが多いので、僕は好んで読んでいる。 今日ご紹介する『これからの地域再生』(晶文社)は、そんな飯田さんが編者となって――つまり彼の単著ではない――…

2017年10月のまとめ

気候 8月の東京はまさに灼熱地獄としか言いようがないが(;^ω^)、10月の東京はうってかわって天国である。 気温もだいぶ涼しくなるし、天候にもたいてい恵まれる。 …と思っていたら、今年の10月はどういうわけだか、雨が多かった。月の後半には、まさかの2週…

最近見た映画の感想(第189回)

・『恋愛準決勝戦』 20世紀アメリカ・ミュージカル映画界のスター、我らがフレッド・アステアがとにかく歌って踊るという一作。 目玉はやはり、アステアが部屋の壁や天井にピタッとくっついてダンスをするというトリック撮影のシーンだろう。 初めて見ると「…

2017年秋アニメ―10月までの感想

今日は例によって、この10月から始まった秋クール深夜アニメの感想を、ごくごく簡単に書いていくことにします。 ・『ラブライブ!サンシャイン!!』 今期最も楽しみにしている作品。 僕の出身地である静岡県沼津市の商店、観光地などが毎回「聖地」として…

書評『もし京都が東京だったらマップ』

…ファッ!? と思わず素っ頓狂な声をあげずにはいられない(w)、なんとも珍妙なタイトルの本である。 だがページをめくってみれば、納得。本当にタイトルの通りの本なのだ(;^_^A 本日ご紹介する『もし京都が東京だったらマップ』(イースト・プレス)は、…

書評『帝国の復興と啓蒙の未来』

日本の思想界において独特の存在感を示しているのが、イスラーム法学者の中田考さんである。 今日ご紹介するのは、そんな中田さんの最新作『帝国の復興と啓蒙の未来』(太田出版)だ。 第一章では、イスラーム世界と西欧のこれまでの関係が振り返られる。 中…

書評『最後の審判を生き延びて』

今年7月13日、ひとりの中国人人権活動家が獄中にてその生涯を閉じた。 中国人として初めてノーベル平和賞を受賞した、劉暁波さん(1955‐2017)である。 今日ご紹介するのは、劉さんの『最後の審判を生き延びて 劉暁波文集』(岩波書店)。 彼が書いた評論、…

書評『チベット問題』

本ブログでは以前から、インド文学者の山際素男さん(1929‐2009)の著書、訳書を、何冊かご紹介してきた。 本日ご紹介する本は、山際さんが現代インド社会からいったん関心を移し、チベットと正面から向き合った著作『チベット問題 ダライ・ラマ十四世と亡命…

最近見た映画の感想(第188回)

・『ラスベガス万才』 我らがエルヴィス・プレスリー主演の青春映画。1963年公開。 これまで本ブログでは、エルヴィスの主演作品を多く取り上げてきたが、本作は特によろしい。 ラスベガスの色鮮やかなネオン広告がスクリーンいっぱいに描かれる冒頭からして…