Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『愛国とノーサイド』

本ブログではこれまで、戦前の右翼団体「玄洋社」、およびその総帥である頭山満に関する著作を多く取り上げてきた。 本日ご紹介する『愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家』(講談社)もまた、玄洋社・頭山満に関連する書籍だ。 ところが、本著はそれだけでは…

書評『10万年の世界経済史』

産業革命は、まさしく“革命”であった。 これを境に世界全体のGDPは、それ以前とは比較にならないくらい、飛躍的に増大したのである。 では、“それ以前”の社会とは、いったいどのようなものだったのか。 本日ご紹介する『10万年の世界経済史』(日経BP社…

書評『イスラエル全史』

相次ぐパレスチナ人殺害。頻発する自爆テロ。 「イスラエル」と聞くと、我々はどうしてもきな臭いイメージを抱いてしまう。 本日ご紹介する『イスラエル全史』(朝日新聞出版)は、そんなイスラエルの歴史を詳述してくれる書籍である。上下巻。どちらも、ず…

最近見た映画の感想(第241回)

・『フェリーニのアマルコルド』 イタリア映画界の巨匠、フェデリコ・フェリーニの名画『フェリーニのアマルコルド』が、近年、デジタル技術によって修復、再版された。巨匠の過去の名作をこうして高画質で見られるのは、とても幸福なことだ。 本作は、ファ…

書評『日本の保守思想』

本日取り上げるのは、先日の『保守論壇亡国論』のなかで山崎行太郎さんにケチョンケチョンに批判されていた(w)、評論家・西部邁さん(1939-2018)の著作『日本の保守思想』(角川春樹事務所)である。 本著はタイトルの通り、近代日本の保守思想家を何人…

書評『保守論壇亡国論』

『保守論壇亡国論』 一見するとなにやら物騒なタイトルであるが、文芸評論家の山崎行太郎さんが、現下の保守論壇に対する違和感、もっと言えば、嫌悪感を表明した、怒りの著作である。 僕は以前、保守の論客たちを「文学の人」と「科学の人」に分けたことが…

最近見た映画の感想(第240回)

・『最高の人生の見つけ方』 前回の映画評では、デンゼル・ワシントン、トム・ハンクス主演の、末期のエイズ患者を描いた映画『フィラデルフィア』を取り上げた。今回もまた、ふたりの名優の共演による、末期患者を主人公とする映画をご紹介するとしよう。 …

書評『経済成長って何で必要なんだろう?』

社会学者の鈴木謙介さんが司会を務める、深夜ラジオ番組『文化系トークラジオLife』は、僕のお気に入りのラジオ番組のひとつだった。 タイトルに「文化系」とあることからも分かるように、この番組、基本的に人文系インテリをゲストに招くことがほとんどなの…

書評『対話でわかる 痛快明快 経済学史』

経済学者、松尾匡(まつお・ただす)さんには、初学者向けの分かりやすい啓蒙的著作が多い。 昨日ご紹介した『ケインズの逆襲 ハイエクの慧眼』もそうだったが、本日取り上げる『対話でわかる 痛快明快 経済学史』(日経BP社)もまた、すぐれて啓蒙的な著…

書評『ケインズの逆襲 ハイエクの慧眼』

日本ではどういうわけだか、左派といえば「金融緩和断固反対!」というスタンスが当たり前のものとなりつつあるが、欧米ではまったくそんなことはない。むしろ、左派のほうこそ「金融緩和大賛成!」というのが当たり前なのである。 日本の左派のなかでは珍し…

最近見た映画の感想(第239回)

・『最後の誘惑』 いやぁ、新しい月に入って早々、物凄い映画を見てしまったな、と感じた。 本作『最後の誘惑』は、巨匠マーティン・スコセッシがイエス・キリストの生涯を映像化した作品である。 本作で描かれるイエスは、等身大の人間にすぎない。ちょっと…

書評『「プライバシー」の哲学』

デパートなどで“private only”という掲示を見たことのある人は、多いことだろう。「従業員専用」という意味である。 「え、プライベートって仕事の反対でしょ? 仕事で使う空間なのに、なんでprivateなの?」 と我々日本人はつい不思議に思ってしまう。 日本…

書評『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』

「アメリカがどうして京都を爆撃しなかったか、知ってるか? ……それはなぁ、京都には貴重な文化財がたくさんあるからだ。 アメリカは戦争の間も、ちゃんとそういうことを考えていたんだぞ」 ……という話を、子供のころに父から聞かされた記憶がある。 その当…

書評『中年男に恋はできるか』

僕ももう、33歳。そろそろ、世間でいうところの「中年」の域にはいる。 そんな中年ビギナーの僕が今回手に取った本が、こちら。 『中年男に恋はできるか』(洋泉社)である。 ……て、え??? わざわざ「できるか」って疑問形にしてるってことは、中年男はふ…

書評『歴史感覚』

評論家の西部邁さん(1939-2018)が自ら命を絶ってのち、僕は「あぁ、こんなことなら彼がまだ存命のうちに、もっと彼の本を読んでおくべきだったなぁ」としきりに後悔している。 存命の人物であれば、定期的に都内で出版記念のトークショーなどが開かれるだ…

書評『出家の覚悟』

本日取り上げるのは、本ブログではもはやおなじみ(w)、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの対談本『出家の覚悟 日本を救う仏教からのアプローチ』(サンガ)である。 今回の対談相手は、スリランカ出身の上座部仏教僧侶、アルボムッレ・スマ…

2018年春アニメ感想(おまけ)×夏アニメ注目作

先日は、2018年春アニメの感想をランキング形式にて紹介しました。 本日は、先日取り上げられなかったアニメ作品について、ごくごく簡単に感想を述べると同時に、今月から放送の始まる夏アニメのなかから、個人的に注目している作品をいくつかピックアップし…

2018年6月のまとめ

気候 梅雨というのは一般には嫌われる季節なのだが、実のところ僕にとってはそうでもない。 僕はこの時期に咲くアジサイが好きだし、なにより暑いのが死ぬほど嫌なのだ(w それだから、梅雨に入って肌寒い気候、いわゆる梅雨寒になってくれると、むしろあり…

2018年春アニメ感想

月日が経つのはまことに早いもの。ついこの間始まったばかりのような気がする今期アニメたちが、続々と最終回を迎えつつあります。 本日もまた例によって、今期のお気に入りアニメを勝手にランキング形式にて発表いたします。 1位『ヲタクに恋は難しい』 「…

書評『危機の経済政策』

経済学は、もちろん文系の学問なんだけれども、なんとなく理系のそれに似ている。 数式をバンバン駆使するところもそうだが、モノの考え方が、理系、もっと言えば工学に近い、と感じられるのだ。 本ブログではもはやおなじみ、経済学者・若田部昌澄さんの著…

書評『ヘリコプターマネー』

皆さんは子供の頃、どうしてもっとお金を刷らないのかと不思議に思ったことはないだろうか。 もっとお金をいっぱい刷れば、貧乏な人たちは豊かになれるし、豊かな人たちはもっと豊かになれる。みんな幸せになれるはずなのに……。 大人になって、私たちはイン…

書評『アジア 反日と親日の正体』

本日ご紹介する本は、ジャーナリスト・酒井亨さんの『アジア 反日と親日の正体』(イースト・プレス)である。 本ブログでは以前にも、酒井さんの著作『中韓以外みーんな親日』を取り上げたことがある。長く台湾に在住した経験のある、酒井さん。アジア諸国…

最近見た映画の感想(第238回)

・『きみに読む物語』 アメリカの、とある介護施設。ひとりの老人が、同じ施設に入所している認知症の老女に、自らの半生を語って聞かせる。 老人は10代のころ、ある女性と恋愛をしていた。女性は上流階級の出身であり、対する老人は労働者階級であった。「…

書評『空海さんに聞いてみよう』

昨日は松岡正剛さんの『空海の夢』を取り上げた。今日も引き続き、空海に関する書籍をご紹介するとしよう。 といっても、前回とは違い、こちらは読みやすい本なので、どうかご安心を(w 本著『空海さんに聞いてみよう 心がうれしくなる88のことばとアイデア…

書評『空海の夢』

本ブログでたびたび著作を取り上げている、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さん。彼は著書のなかで、尊敬する日本の宗教者として、曹洞宗の開祖・道元のほかに、親鸞、そして空海の名を挙げていた。 親鸞については、僕も入門書や評伝を読んだり映…

最近見た映画の感想(第237回)

・『海難1890』 まったく、政治が映画に口を出すと、ロクなことがない。たいてい、説教臭い映画になる。日本とトルコとの友情を描いた本作も、もしかしたらそうかな、と思い心配だったのだが、実際に見てみたら、予想以上に良い映画であった。 1890年、…

書評『経済論戦の読み方』

大の経済オンチだった僕が、はじめて「リフレ派」なるグループの存在を知ったのは、経済学者・田中秀臣さんとの出会いからだった。 それからは、田中さんを経由するかたちで、飯田泰之さん、若田部昌澄さんといった、リフレ派の他の論客たちも知り、それまで…

書評『経済学的思考のすすめ』

本ブログではこれまで、飯田泰之さん、若田部昌澄さんなど、「リフレ派」と呼ばれるグループの経済学者たちの著作を多く取り上げてきた。 リフレ派とは、金融政策によって人為的に引き起こされる緩やかなインフレ「リフレーション」(リフレ)によって現下の…

最近見た映画の感想(第236回)

・『天心』 本ブログでは以前、岡倉天心『茶の本』の解説本を取り上げたことがある。 岡倉天心は芸術家であり、また評論家としても活躍した。彼は今日、アジア主義の思想家のひとりとして知られている。 本作は、そんな天心の没後100年を記念して、2013年に…

書評『実存と保守』

評論家・西部邁さん(1939-2018)。 思えば僕は、これまで彼の著作をあまり読んだことがなかった。 カタカナ語をふんだんにちりばめた独特の文体、討論番組で旗色が悪くなるとさっさと議論を切り上げて帰ってしまうなどの奔放な振る舞いが、僕を彼の本から遠…