Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『太平記<よみ>の可能性』

いつの時代にも、既存の社会秩序からこぼれ落ちてしまった、言うなればアウトサイダーの人間たちがいるものだ。 日本史を学んでいて面白いと感じるのは、日本のアウトサイダーたちは必ずしも反天皇ではないということだ。むしろ「天皇は俺たちの味方だー!!…

最近見た映画の感想(第206回)

・『ザ・インターネット』 サンドラ・ブロック演じるコンピューター技師の女性がメキシコでの休暇中、謎の男に命を狙われる。 命からがら逃れた彼女だったが、帰国すると、彼女の個人データはすべて消去されてしまっていた。途方に暮れる彼女の前に、またも…

書評『竹内好「日本のアジア主義」精読』

評論家の松本健一さん(1946‐2014)の著作は、本ブログでもいくつか取り上げてきた。 本日ご紹介する『竹内好「日本のアジア主義」精読』(岩波書店)は、まさにタイトルからも分かるとおり、松本さんが中国文学者・竹内好(1910‐1977)の著作『日本のアジア…

書評『日蓮「立正安国論」 全訳註』

正直に白状してしまうと、日蓮には、これまであまりいい印象を持っていなかった。 まず、鎌倉仏教のなかで一番“DQN”だったのが日蓮宗、というイメージがある。そのうえ、その日蓮宗から分かれて生まれたのが、例の某新興宗教、ときている。 こうしたこと…

書評『死では終わらない物語について書こうと思う』

小学生のころ、僕は伝記を読むのが好きだった。 僕の伝記の読み方は、少しばかり変わっていた。 まず伝記の最後、つまりその人が死ぬ場面から読みはじめ、それから冒頭を読んでいたのだ。 どうしてまた、そんなへんちくりんな読み方をしていたのか。人の死に…

最近見た映画の感想(第205回)

・『コレクター』 男が若い女性を監禁するという内容の映画として、日本では『完全なる飼育』を挙げることができる。 その元ネタとなった……かどうかは不明だが、本作もまた、ストーカー気質の薄気味悪い男が若い女性を拉致・監禁するという内容の映画である…

書評『「世間」とは何か』

僕にとっていまいちピンとこない日本語のひとつに、「社会人」という言葉がある。 社会人。 いったい何のこっちゃ。 「社会と繋がりのある人」というのなら、山奥で霞を喰って生きている仙人でもないかぎり、人間はみな社会と繋がりを持って生きているのでは…

書評『いきなりはじめる仏教生活』

本日ご紹介するのは、まるで旭日旗のようにまぶしい光線の表紙が印象的な(w)、『いきなりはじめる仏教生活』(新潮社)である。 著者は、本ブログではもはやおなじみ、浄土真宗僧侶にして宗教学者でもある、釈徹宗さんだ。 はじめに、釈さんはこの行きづ…

最近見た映画の感想(第204回)

・『コマンチェロ』 「THE・アメリカン・マッチョ」というべきジョン・ウェイン主演の西部劇映画。 19世紀のテキサス。先住民族のひとつコマンチ族が暴動を重ねていたが、その背後には彼らに武器を密売して私腹を肥やそうとする白人の強盗団「コマンチェ…

書評『人間への途上にある福音』

本日ご紹介する著作は、ヨゼフ・ルクル・フロマートカ著『人間への途上にある福音』(新教出版社)である。 ……と言われても、多くの日本人にとっては「フロマートカ? 誰ソレ」といった話だろう。 無理もない。僕自身、昨年に作家の佐藤優さんの著作に触れる…

書評『神学部とは何か』

受験生のころ、当然ながら全国の大学の学部・学科について調べていて、あるユニークな学部を見つけた。 同志社大学神学部 はて、神学部とな。 神学部というからには当然、キリスト教神学について学べる学部なのだろう。もちろん、日本の国公立の大学ではあり…

最近見た映画の感想(第203回)

・『刑事マディガン』 刑事モノを得意としたドン・シーゲル監督による、アクション・サスペンス映画である。 NY市警のマディガン刑事、冒頭にてギャングの男に隙を突かれ、なんと拳銃を盗まれてしまう。これは一大事ということで、マディガン刑事は血眼にな…

書評『女帝誕生』

先日に引き続いて、本日も天皇に関する著作を取り上げるとしよう。 政治学者・笠原英彦さんの『女帝誕生』(新潮社)である。 タイトルの通り、本著のテーマは、女帝(女性天皇)。 第一章ではまず、古代における女帝が取り上げられる。 飛鳥時代から奈良時…

書評『天皇から読みとく日本』

僕が尊敬している保守派の論客のひとりに、神道学者・高森明勅さんがいる。 本日ご紹介するのは、高森さんの著書『天皇から読みとく日本』(扶桑社)だ。 本著は、高森さんの雑誌上での連載をまとめて一冊の書籍としたもの。したがって、各々の章が自己完結…

書評『明智光秀 正統を護った武将』

2018年、記念すべき書評一発目は、こちら。 評論家・井尻千男さん(1938‐2015)の『明智光秀 正統を護った武将』(海竜社)だ。 タイトルを見れば一目瞭然。本著のテーマは、あの織田信長を討った、明智光秀である。 「古澤さんは信長が嫌いなんでしょう? …

2017年秋アニメ感想(おまけ)×2018年冬アニメ注目作

昨年の暮れに、2017年秋クール放送のお気に入り深夜アニメを6作品、ご紹介しました。 本日は、前回取り上げられなかった残りの秋アニメについて、ごく簡単に感想を書いていこうと思います。 さらに、今月から放送の始まった2018年冬アニメについても、個人…

2017年に読んだ本一覧

昨年(2017年)読んだ本の内訳を以下に記します。 太字はその月のベスト作品です。 1月 ・小室直樹『経済学をめぐる巨匠たち』(ダイヤモンド社) ・小室直樹『小室直樹 日本人のための経済原論』(東洋経済新報社) ・小室直樹『信長ー近代日本の曙と資本主…

2017年に見た映画一覧

昨年(2017年)に見た映画365本の内訳を以下に記します。 太字はその月のベスト作品です。 1月 『ラブライブ!The School Idol Movie』『テキサスの五人の仲間』『鉄道員』『死霊のはらわた2』『情熱なき犯罪』『死霊伝説』『シンシナティ・キッド』『白い…

2018年を迎えて

みなさん、あけましておめでとうございます。 今年も本ブログを、なにとぞよろしくお願いいたします。 この記事が公開されるのは、1月1日午後9時。おそらくテレビでは例によって芸能人格付けチェックだとかいう番組をやっているのでしょうね。Gacktさん…

2017年12月のまとめ

気候 今月は、とても寒かった。「あれ? 12月って、ここまで寒かったっけ?」と不思議に思ったほどだ。家にいる間はつねに、暖房をつけている。 年々、冬の寒さが厳しさを増していると感じる。地球温暖化とは、猛暑と暖冬の組み合わせのことだとばかり思って…

2017年秋アニメ感想

月日がたつのは早いもので、もう秋クール放送の深夜アニメも終わりですね。 今回は、そんな秋アニメのなかから個人的に気に入った6作品をランキング形式で取り上げてみます。 1位『少女終末旅行』 どういうわけだか、今年一番の話題作となったアニメが、『…

最近見た映画の感想(第202回)

・『黒い罠』 『市民ケーン』で有名なオーソン・ウェルズの監督・出演による犯罪映画。アメリカ・メキシコの国境地帯を舞台に、チャールトン・ヘストン演じるメキシコ人麻薬捜査官の主人公が、オーソン・ウェルズ演じる悪徳警官の不正捜査を追及するさまを描…

書評『宇宙を目指して海を渡る』

先日までは、今年大きな影響を受けた書き手たちの著作を取り上げてきた。 2017年最後の書評となる今回は、僕の一番好きな分野である「宇宙」に関する書籍をご紹介するとしよう。 『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』(東…

書評『日常生活のなかの禅』

2017年、僕が大きな影響を受けた書き手は、ふたりいる。 ひとりは、作家の佐藤優さん。今年上半期は、彼の本を集中的に読んだ。 もうひとりが、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんだ。 先日は佐藤さんの本を取り上げたから、今日は南さんの著作を…

書評『紳士協定』

2017年も、残り1週間を切った。 年の暮れには、その年に読んだなかでとくに強い印象を受けた著者の本を取り上げようと決めていた。 今年の1月は、社会学者の小室直樹さん(1932-2010)の著作を集中的に読んだ。だから先日は小室さんの『天皇畏るべし』を取り…

書評『天皇畏るべし』

思えば、社会学者・小室直樹さん(1932-2010)の著作のなかで、僕が最初に読んだのは、『天皇恐るべし 誰も考えなかった日本の不思議』(ネスコ・文藝春秋)であった。 読んで、興奮した。定説に真っ向から挑戦するような論理展開、優れて専門的な社会学の知…

書評『ケンカの流儀』

※まずは私事からで恐縮ですが、私・古澤圭介は本日、無事33歳の誕生日を迎えることができました。 私のような生活力の乏しい人間がこうして1世紀の3分の1――あるいはキリストの生涯と同じ期間――も生きることができたのは、ひとえに支えてくださった皆さまのお…

書評『新しい地図の見つけ方』

評論家・宇野常寛さんの仕事に、僕はいつも注目している。 「えぇ~!? 古澤さん、なんで宇野なんか持ち上げるんですか? あいつサヨクじゃないですかぁ~」 とよく言われる。 たしかにそうなのだろうが、「理解すること」と「賛同すること」とは異なる。宇…

書評『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』

twitterの世界は、まさに玉石混合である。 毎日しょーもない下ネタツイートばかりしている人もいるかと思えば、日夜、貴重な情報を発信し続けてくれるツイッタラー(影響力あるtwitterユーザー)もいる。 彼らは実に聡明であり、有能だ。 彼らがこの国の中枢…

最近見た映画の感想(第201回)

・『狂へる悪魔』 二重人格を題材にした有名な小説『ジキル博士とハイド氏』を映像化したサイレント映画である。1920年公開。 主人公のジキル博士は誰からも好かれる好青年であったが、ある薬を作り、服用したことから、狂暴な第二人格「ハイド」へと変貌し…