Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第220回)

・『プロフェッショナル』 1917年のメキシコを舞台に、白人と黒人からなるガンマンの一味が西部劇を繰り広げる。 一般に「西部劇」と言えば、19世紀後半のアメリカ西部が舞台。20世紀初頭のメキシコが舞台の本作は、したがって西部劇としてはギリギリの設定…

書評『「悟り」は開けない』

本日取り上げる著作は、本ブログではもはやおなじみ(w)、曹洞宗の僧侶・南直哉(みなみ・じきさい)さんの『「悟り」は開けない』(ベストセラーズ)だ。 本著は、さながら「南直哉総集編」とでもいったところか(w)。彼の仏教解釈や座禅体験、人生訓な…

書評『一九四六年憲法――その拘束』

保守の人たちからお叱りを受けそうなことを初っ端から言ってしまうが、僕は憲法9条は“今は”変える必要はないと思っている。 いやもちろん、憲法9条は変えたほうがいいと思ってはいる。 「どっちだよっ!(w」とツッコミを入れられてしまいそうだが、僕が…

書評『ファシズム』

本ブログではこれまで、ファシズムに関する著作を複数取り上げてきた。 このうち、『建築家ムッソリーニ』は興味深い本ではあったが、話が主にイタリアの、それも建築に絞られており、『世界ファシスト列伝』は独伊だけでなく世界各国のファシズム政党、ファ…

最近見た映画の感想(第219回)

・『フェリーニのローマ』 日本の地方出身者にとって東京が憧れであるように、イタリアの地方出身者にとってもローマは憧れであるらしい。 本作は、イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニが、おそらくは自らの内にもあるローマへの憧憬をテーマに撮っ…

書評『イスラーム入門』

本ブログではこれまで、イスラーム法学者・中田考さんの著作を複数取り上げてきた。 中田さんの話は分かりやすく、また他のイスラーム専門家たちが取り上げようとしない箇所にも触れてくれるのが、その魅力だ。 本日ご紹介する『イスラーム入門 文明の共存を…

書評『開国のかたち』

先日に引き続き、本日も“マツケン”こと評論家の松本健一さん(1946-2014)の著作をとりあげるとしよう。 『開国のかたち』(岩波書店)である。 本著は、もともとは雑誌での連載であったものを、一冊の書物にまとめたものだという。そのため各々の章に、ある…

書評『大川周明』

“マツケン”こと、評論家の松本健一さん(1946‐2014)による、戦前の思想家・大川周明をテーマとした著作である。 先日取り上げた『評伝 佐久間象山』はまさしくタイトルのとおり評伝であったが、では本著はというと……評伝ではない。 つまり、大川の生涯をそ…

最近見た映画の感想(第218回)

・『ビバリーヒルズ・コップ』 こんなにも有名な映画なのに、意外や意外、まだ見ていなかったことに今更ながら気づいたw(;^_^A エディー・マーフィー演じる本作の主人公は、型破りな若手刑事。あまりに型破りすぎるものだから、本来の勤務地のはずのデトロ…

書評『明治天皇』

ある酒の席でのこと。リベラル派の知人が、「明治天皇なんて、偉い偉いって言われてるけど、ありゃただのお飾りじゃん」と言った。 僕は、少しばかりムッとなって、「それをいうなら、天皇に限らず、人間なんて誰でもみんな“お飾り”なんだ。明治天皇はむしろ…

書評『輪廻転生を考える』

まさにタイトルのとおり、輪廻転生をテーマにした本である。 著者は、心理学者の渡辺恒夫さん。 本著は、輪廻転生という概念の歴史を振り返るところから始まる。続いて、「前世の記憶」に関するこれまでの研究が概観された後、著者自身がかつて考えたという…

書評『アジア主義』

僕はこれまで、アジア主義に関する良い教科書はないものか、と考えあぐねいてきた。 マンガであれば、小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論』が良い入門書となるだろう。小林さんは毀誉褒貶の激しい人であるが、この『大東亜論』は、アジア…

書評『頭山満言志録』

本ブログではこれまで、戦前日本にて暗躍した右翼団体・玄洋社(げんようしゃ)の話をたびたび取り上げてきた。 本日ご紹介する『頭山満言志録』(書肆心水)は、そんな玄洋社の総帥・頭山満(1855‐1944)の講演録を一冊の書籍にまとめたものだ。 明治期の思…

書評『評伝 佐久間象山』

本日ご紹介するのは、マツケンの本である。 はい、皆さん。もう分かりますね。本ブログで「マツケン」といったら、松平健のことではありません。松山ケンイチのことでもありません。 本ブログで「マツケン」といったら、評論家の松本健一さん(1946‐2014)の…

最近見た映画の感想(第217回)

・『日本のいちばん長い日』 岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』がリメイクされるらしい、と聞いたとき、正直、いや~な予感がした。 あぁ、どうせまた、皇居で銃撃戦が行われてるさなかに、兵隊さんが泣きながら戦争の悲惨さと命の尊さを訴える、みた…

書評『閉された言語空間』

戦前の日本は、軍部が支配する、自由のない国でした。戦争が終わり、GHQによる民主化が行われてようやく、日本は自由の国となることができたのです。 ……日本の近現代史は、そう説明されることが多い。僕も子供の頃はそう信じてきた。 だが、本当にそうだ…

書評『論理パラドクス』

わりとよく誤解されるのだが、僕は論理的思考なるものが、ど~にもニガテだ。 「え、嘘でしょう? めっちゃ言うこと論理的じゃないっスか」と人からは言われる。 全然、そうではない。 実際のところ、僕はむしろ直観やその場の思いつきで行動する人間だ。「…

最近見た映画の感想(第216回)

・『バラキ』 「んん~♪ マンダム」のCMでおなじみ(古いかw)チャールズ・ブロンソン主演のギャング映画である。20世紀前半のNYで暗躍した実在のイタリア系マフィアの生涯を描く。 NYの下町を自動車で乗り回しながらマシンガンをぶっ放すという描写…

書評『悪魔の系譜』

本ブログでは以前、マルコム・ゴドウィン著『天使の世界』という本を取り上げた。 本日ご紹介するのは、同じ出版社から刊行された、『悪魔の系譜』(青土社)。天使の次は悪魔、というわけだ(w 翻訳者は『天使~』と同じく、大瀧啓裕さん。ただし著者が異…

書評『日本教の社会学』

本ブログではこれまで、社会学者の小室直樹さん(1932-2010)と評論家の山本七平さん(1921-1991)の著作を複数取り上げてきた。だがふたりの対談本を紹介するのは、今回がはじめてとなる。 『日本教の社会学 戦後日本は民主主義国家にあらず』(ビジネス社…

書評『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』

本ブログではこれまで、「アジア主義者」と称された戦前の活動家、北一輝や石原莞爾などの評伝、著作を取り上げてきた。 本日ご紹介する本は、これまたアジア主義者として有名な、宮崎滔天(1871‐1922)の評伝『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房…

書評『汚穢と禁忌』

本日ご紹介する本は、『汚穢と禁忌』(筑摩書房)。 イギリスの、メアリー・ダグラス(1921‐2007)という文化人類学者の代表的著作である。 これまで、本ブログでは文化人類学に関する書物はあまり取り上げてこなかった。単純に僕の文化人類学への興味が比較…

最近見た映画の感想(第215回)

・『ネットワーク』 1976年制作のアメリカ映画。監督は『十二人の怒れる男』で有名なシドニー・ルメットである。 アメリカの、とあるテレビ局。精神を病んだと思しきキャスターの男性が生放送中、唐突に「来週自殺します」と言い出す。 さぁ大変。今だったら…

書評『最終戦争論 戦争史大観』

本ブログではこれまで、頭山満、北一輝など、戦前の右翼活動家をたびたび取り上げてきた。 彼らは戦前の日本社会において大きな影響力を保持していたが、とはいえ彼らとて一民間人にすぎず、権力の中枢にいたわけではなかった。 その点、帝国軍人として、権…

書評『江藤淳の言い分』

今年1月、保守派の論客として知られた、評論家の西部邁さんが自ら命を絶った。 この突然の訃報を受け、人々は「保守の重鎮が自裁するだなんて、これは江藤先生以来のことではあるまいか」とその死を悼んだ。 「江藤先生」とは、文芸評論家の江藤淳さん(1932…

書評『共産主義黒書』

僕は昔から、合宿というのがもう本当に本当に、嫌だった。 小中学校の林間学校も嫌だったし、大人になってからも相変わらず、合宿が嫌いだ。 大学生のころ、嫌々ながら自動車免許を取得した。このときも、母親からは合宿を薦められたのだが、僕は「そんなの…

書評『世界映画名作全史 ニューシネマ篇』

先日は、『世界映画名作全史 現代編』をご紹介した。本日取り上げるのは、その続編『世界映画名作全史 ニューシネマ篇』(社会思想社)である。 ……とはいっても、前著の著者、猪俣勝人さんは、1979年に逝去してしまった。 そこで、彼の後輩の映画評論家にし…

2018年2月のまとめ

気候 今年は、2月16日が旧正月であった。 本ブログの読者の皆さまならばよくご存知かと思うが(w)、僕は実を言うと旧暦復活論者であり、毎年旧正月を私的に祝っているのである。 僕は前々から、真冬である新暦の1月1日を正月として祝うのはおかしい、と思…

書評『世界映画名作全史 現代編』

ここ最近、おカタい本が続いたから、今日は気分転換、映画の本を取り上げるとしよう。 『世界映画名作全史 現代編』(社会思想社)である。著者は、映画監督の猪俣勝人さん(1911‐1979)。 タイトルに「現代編」とあるが、本著が刊行されたのは1975年。今か…

最近見た映画の感想(第214回)

・『けんかえれじい』 タイトルのとおり、ケンカがめっぽう強い若き主人公が、全国の旧制中学校を転々としつつ、現地のバンカラ学生たちとケンカに明け暮れるという青春映画である。 監督は、日本のカルト映画の巨匠・鈴木清順。いかにも彼らしい、人を食っ…