Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

映画『アズールとアスマール』評

前回は、愛すべきクソ映画ということで、映画『47RONIN』を取り上げた。

今日はクソ映画などではなく、真に愛すべき映画ということで、フランスのアニメーション映画『アズールとアスマール』(06年)を取り上げたい。

 

アズールとアスマール [Blu-ray]

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本作品のテーマは、ズバリ一言で言い切れる。

「ヨーロッパ人とアラブ人の共存だ。

 

フランスの風刺雑誌によるムハンマド風刺画掲載に端を発する、パリの銃撃テロ事件。

凶悪なテロは更なるテロの連鎖を招き、フランスは―否、ヨーロッパ全体が「移民といかに共生していくべきか」、そして「そもそも戦後の移民政策は正しかったのか」という難問に直面させられている。

 

こう言うとレイシストと非難されてしまうかもしれないが、率直に言って、我々は「移民との共生」が、我が国において憲法9条が唱えている平和主義と同じくらい、高邁ではあるけれど現実には難しい理想にすぎないことを知ってしまったのだ。

アズールとアスマール』が文字通り色鮮やかに描き出す理想は、なるほどたしかに非現実的ではある。

だが、そもそもアニメーションというのは現実には不可能なものでも描き出せるというのが、その特色ではなかったか。

 

我々観客は、『アズールとアスマール』の感動的なラストーそれは直接この目で確かめてみてほしい―が現実には不可能であることを知っている。だが、だからといって本作の価値が落ちるわけでは決してない。むしろ、不可能であることを知っているからこそ、我々は本作を涙なくしては見れないのだ。