Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

人間同士の将棋はなくなる?

昨日に引き続き、今日も将棋のお話。

 

いまや、コンピューターソフトが人間のプロ棋士に勝利してしまう時代です。

昨年春に行われた「第3回将棋電王戦」ではプロ棋士5人とコンピューターソフト5本とが団体戦形式で対戦、コンピューター側が4勝1敗(!)で勝ち越してしまいました。

これほどまでにコンピューターソフトが強くなってしまうと、世間一般の人々に「もう人間が将棋をやることに意味なんてあるの?」と思われてしまいそうです。

はたして人間のプロ棋士は、このまま廃業してしまうのでしょうか。

 

そんなことはありません。

これからも人間同士の将棋は今と変わることなく続いていくと断言できます。

 

それはチェス界の動向を見れば分かります。

チェスの世界では、将棋よりも20年近く前にコンピューターソフトが人間のプレイヤーを追い越しました。駒の再利用ができる将棋と比べて、チェスは相対的にシンプルだからです。

それでも、チェスプレイヤーが廃業したなどという話は聞きませんね。

チェスの世界では今も、人間同士の対局にファンが熱中しているのです。

何故でしょう。それは、おもに中盤において「人間が、正解(ソフトの考える最善手)ではない、どのような手を指すか」にファンが注目しているからです。もはや「正解を指せるかどうか」ではないのですね。

正解ではない手を指すことによって、逆転劇がしばしばおきます。それこそが人間同士の対局の醍醐味なのだ、とチェスのファンは理解しているのです。

もちろん、終盤では正確さが求められますから、「正解を指せるかどうか」にファンの関心が傾けられます。この時、プレイヤーの指し手がソフトの指摘する手順と一致すると、ファンは「おおっ、コンピューターと同じ手を指してる! 人間すげー!」と驚嘆するのです。

もはや「コンピューター>人間」というのがチェスの常識ですから、人間が終盤でコンピューターと同じ手を指せるというのは称賛に値するのですね。

 

将棋も、そうなりつつあります。

今日、私は昨日に引き続き朝日杯オープン戦をニコニコ生中継にて観戦しました。

本日最大の見せ場は、伊藤五段vs三浦九段戦。

中盤まではA級棋士である三浦九段が優位に戦いを進めていましたが、中盤で伊藤五段の指し回しが光り見事逆転! 伊藤五段優位のまま終盤戦に突入します。

将棋のニコ生中継では通常「ソフト班」と呼ばれる、コンピューターソフトを使って形勢判断や詰み筋の検討などを行う人たちがいます。

彼らは局面ごとに「今の評価値は+1000超えで先手優勢」だとか「後手玉はあと○○手で詰み」だとか、ご丁寧にいちいち指摘してくれます。なんだか興ざめのようにも思えますよね。

ところが、そうではないのです。

チェスと同じように、本日の対局ではむしろ「早指し棋戦である朝日杯において、伊藤五段が終盤でコンピューターが指摘するのと同じ手を指した」ことに視聴者皆が驚嘆したのです。

対局は終盤、三浦九段が驚異的な粘りを見せるも、伊藤五段が見事即詰み(王手の連続で相手の玉を詰めること)に打ち取り、大金星を収めました。視聴者が喝采を送ったことはいうまでもありません。

 

このように、コンピューターソフトが人間に勝ち越すようになった今日でもなお、人間同士の対局は高い娯楽性を有するコンテンツとして人々に受け入れられているのです。

人間同士の将棋がなくなることは、未来永劫ありえないでしょう。