Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

後藤健二さんとボビー・フィッシャー

イスラム国に人質にとられているフリージャーナリスト・後藤健二さんに関するゴシップが話題になっています。

週刊『文春』が報じるところによれば、かつて後藤さんはボディビルジムで金銭トラブルを起こしており、さらにその金を元手に風俗店の経営もしていたとのことです。

もしこの報道が真実であれば、たしかに非難に値するでしょう。

しかし、それと後藤さんのジャーナリストとしての評価とは、まったく別物だと思うのです。

 

今回の報道を見て、私はボビー・フィッシャーを思い出しました。

ボビー・フィッシャーは米国出身のチェスプレイヤー。冷戦時代にソ連人のチェスチャンピオンに勝利したことで母国・米国で国民的英雄となった人物です。

しかし相次ぐ奇行や反米発言などで次第に世間からの反発を招き、ユーゴスラビア経済制裁時に当地で対局をしたことからついには米国政府に起訴され、以降逃亡生活を余儀なくされます。

 

彼の逃亡生活の拠点となったのは、日本でした。2004年、フィッシャーはフィリピンに出国しようとしたところを入国管理法違反容疑で東京入国管理局に身柄を拘束されてしまいます。

米国政府は彼の身柄引き渡しを求めましたが、その一方、世界各地でフィッシャーの支持者らが彼を守ろうと運動をおこしました。

日本でもフィッシャーを守るべく立ち上がった人物がいます。

言わずと知れた将棋界の七冠王・羽生善治さんです。

将棋棋士であると同時にチェスもこよなく愛する羽生さんは「フィッシャーさんを自由に!」と題するメールを時の小泉首相に送るなど、フィッシャー支援活動を積極的に行いました。

羽生さんはこう言います。

 

モーツァルトは音楽の天才であるが、その私生活は問題も多かった。だが問題が多かったといったところで、彼の音楽家としての名声が損なわれるわけではない。フィッシャーも同様に私生活では問題があったろうが、だからといってチェスプレイヤーとしての名声が失われるわけではない。

 

羽生さんは雑誌などのメディア上でフィッシャーへの尊敬の念をたえず表明し、彼を自由にするよう日本政府に働きかけたのです。

最終的に、日本政府はフィッシャーのアイスランドへの出国を認め、「フィッシャー問題」はここに解決をみたのでした。

 

後藤健二さんも、フィッシャーと同じだと思います。たしかに金銭トラブルを起こし、さらにその金を元手に風俗店を営むというのは、もしそれが事実であるとするならば非難に値することでしょう。

しかし、そのことが理由で後藤さんの「ジャーナリストとしての」評価が損なわれるわけではないのです。