Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想

今日は、ここ最近見た映画の感想を(ごく簡単ですが)書いていこうと思います。

 

・『1900年』

20世紀前半のイタリア近現代史を5時間以上(!)もの長尺で描いた超大作。

本作を見ると、地主階級と共産主義者の農民、そしてファシストという、戦前イタリア社会における三つ巴の構図をよりよく理解できるようになる。

日本ではイタリアというとなにやらラテン系の能天気な国という誤解があるが、実際のイタリアは―とくに戦前においては―貧困にあえぎ、問題が山積する国だった。本作は、そんなイタリア近現代史の暗部を垣間見せてくれる。

  

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・『潜水服は蝶の夢を見る

病のため、まぶたをのぞいて自らの体を動かすことができなくなった男性の話。実話である。

僕が主人公と同じ境遇になったら、はたして耐えることができるだろうか。―否、耐えられないだろう。

本作を見て思い出したのが、徳洲会徳田虎雄氏。難病・ALSによって本作の主人公と同じような境遇になりながらも、なおドロドロした政治の世界に身を置き続けるそのタフネスは、やはり常人離れしていると改めて思った。

  

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『男と女』

いかにも「おフランス~」という感じの映画。ハリウッドの大味のアクションに飽き飽きしたら、たまにはこういう映画を見るのもいいかもしれない。そこには欧州ならではの、静かだが豊かな世界が広がっている。

カラーとモノクロの使い分けが実に巧み。

 全く余談だが、本作の「ダバダバダ~♪」の主題歌を聞くと、個人的にはかつてのホンダのインテグラのCMを思い出してしまう(僕の母の愛車がインテグラだった)。

 

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・『大病人』

自らに迫った死をきっかけに、人生を見つめなおす映画監督の物語。

クライマックスの般若心経のクラシック演奏(!)も見ものだが、個人的に印象に残ったのはラストの桜。

古来より、この国では潔く散る桜は人間の死と結び付けて考えられてきた。美しい桜の木の下には、死体が埋まっているとも言われた。日本人にとって、桜は生と死をつかさどる、特別な花だ。それは学校教育で教えられるものではなく、日本人のDNAに刻まれた感受性といってもいい。

本作で、それををあらためて思い知った。

  

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・『太陽の帝国

巨匠スピルバーグが1940年代の中国を描いた作品。

本作で好きなシーンが二つある。

一つ目は、主人公である零戦マニアの英国人少年が零戦の前でパイロットの日本兵に敬礼するシーン。それに日本兵も同じく敬礼で返す。

二つ目は、特攻隊の兵士たちが出撃前に『海ゆかば』を歌うのを聞いた主人公の少年が、かつて教会で習った讃美歌を歌って彼らを見送るシーン。

どちらのシーンでも、観客は、ほんの一瞬ではあるが、国境を越えた<絆>をたしかに目撃するのだ。

本作は、戦前の日本を描いた映画である。しかし反日映画ではない。

反日映画だ!」というので昨今話題となっている映画『Unbroken』。残念ながら本邦では未公開だが、もし公開されたら本作と比較してみたいと思う。

  

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補記:

「イタリア」というと、我々日本人はどうしても「ラテン系の能天気な国」という風に思ってしまいがちだけど、実際のイタリアは―特に戦前においては―貧困にあえぎ、問題が山積する国だった。

今回取り上げた『1900年』だけでなく、1940年代に作られたネオレアリズモの映画―『無防備都市』とか『自転車泥棒』とか―を見ると、近代イタリアの抱える「闇」が、よく分かる。

ローマの休日』では絶対に描かれることのない世界が、そこには広がっている。

「でもそれは戦前の話でしょ? 今のイタリアは能天気な国なんじゃないの?」と思う人には、最近の映画である『ゴモラ』(08年)を見るよう勧めたい。これを見ると、イタリアという国が21世紀の今日でもなお、「ラテン系の能天気な国」なんぞでは決してないことがよく分かるよ。