Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第3回)

早速シリーズ化した(w)「最近見た映画の感想」シリーズ、今日は第3回です。

 

・『ムトゥ 踊るマハラジャ

日本の映画ファンたちに「インドのマサラムービー、ここにあり!」と強烈に印象づけた記念碑的作品。

何が良いって、頭空っぽのままでも楽しめるというのが素晴らしいw

芸術性など端っから切り捨てた、笑いありダンスありアクションありの純然たる娯楽映画である!

 

ムトゥ 踊るマハラジャ[DVD]

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・『ミッドナイト・イン・パリ

冒頭3分間にわたり延々と映し出される、パリの街角の風景。この時点でもう作品世界に引き込まれてしまう。監督はウディ・アレン。これぞ巨匠の技か。

本作を見ていると「昔は良かった。それにひきかえ現代ときたら…」という物言いが完全にクリシェ(紋切り型の言説)であることがよく分かり、おもしろい。

そこで思い出したのが、往年の名画『サンセット大通り』(50年、米)。

劇中、「映画はサイレントの時代の方が良かった。トーキーになってから映画はつまらなくなった」という内容のセリフが出てくる。

50~60年代のアメリカ映画は良かったと思う(たとえば僕のような)映画ファンは、このセリフを聞いて愕然とするわけだ。「え、この時代(50年代)の映画だって全然悪くないじゃん! むしろ素敵じゃーん!」と。

…結局、いつの時代の人間も「昔は良かった。それにひきかえ現代は(ry」と言うものなのだ。

 

ミッドナイト・イン・パリ [DVD]

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・『バーン・アフター・リーディング

「壊れちゃった人」を描かせたら天下一品との呼び声高い(と僕は勝手に思っている)コーエン兄弟による作品。

CIAエージェントが暗躍するスパイ映画かと思いきや、まともな大人が一人も登場しないという、ブラックな笑い(嗤い)に満ちた問題作。

 

バーン・アフター・リーディング [DVD]

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・『スナッチ

闇社会に生きるアウトローたちの群像劇。

特筆すべきは終盤、ブラット・ピットがボクシングの試合中、ダメージを受けてマットに沈むシーン。

そう、本当に「沈む」のだ。マットにぶつかろうとする瞬間、彼の肉体は水中にたたき落とされる。そして彼は水の底から、水面上で戦っている自分自身の姿を目撃する。なんとも超自然的なシーンだ。

本作は、このシーンに尽きる。それ以外の暴力シーンは全て蛇足。

 

スナッチ (1枚組) [DVD]

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・『猿の惑星 創世記』

映画史に残る名シリーズ『猿の惑星』をリメイクした新シリーズ。

本作を見て印象に残った点を2つ。

1つ目は、優秀なスペシャリストのもつ危険性

本作の主人公は、将来を嘱望されている、バイオ企業の技術者。そんな彼が善意―アルツハイマー病の父を救いたい、飼育用のサルがかわいそうで捨てられない、等―からはじめた研究が、やがて思いもよらぬ帰結をもたらしてしまう。恋人は「自然に反する」として研究に反対するが、主人公はなおも続けてしまう。

スペシャリストは、たとえ彼/彼女がどんなに優秀であったとしても、自らの行為がもたらす帰結を完全に予測し切ることはできない。そうして、善意によって大きな悲劇が引き起こされることになるのだ。

 

2つ目は、アイデンティティ・ポリティクスの複雑化

本作のサルは人間並みの知能を手に入れるが、自身が人間でも(通常の)サルでもないことから、アイデンティティ・クライシスに陥ってしまう。

バイオ技術によって高度な知能を身につけた動物や、AI(人工知能)が誕生した暁には、彼らはどのようなアイデンティティを持つことになるのか。差別を受けてしまわないか。

現在でも人種、性別の違いのためアイデンティティ・ポリティクスは複雑なのに、高知能の動物やAIの登場によってそれがさらに複雑化することが予想される。

決して遠い未来の話ではない。今世紀の半ばには十分に考えられる事態である。