Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第6回)

好評いただいている、映画感想シリーズ。今日は6回目です♪

 

・『レニ』

 ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』の監督をつとめ、戦後「ナチの協力者」として非難の的となった女性映画監督レニ・リーフェンシュタール(1902-2003)。

本作は、生前の彼女をインタビューし、その半生を追ったドキュメンタリー作品。

これを観ると、彼女はレイシストでは決してなかったことが分かる。ただ映像作家として、人間の肉体美を追求したかっただけ。だがそんなピュアな態度が、結果としてナチズムというおぞましい悪夢に加担してしまった…。

「アーティストと政治」について考えされられる作品。

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・『戦火のナージャ

 独ソ戦時代のソ連を描いた戦争映画。

本作には、近年の日本映画にありがちな反戦平和を訴えながら泣き叫ぶ兵士」といったベタすぎる演出は皆無。しかし、というか、だからこそ、本作は戦争の暴力性をこれでもかと描き切る。日本の観客には、こういう戦争映画をこそ観てもらいたい。

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・『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』

 シュールリアリズムの大家ルイス・ブリュエルによる作品。この監督の名が挙がった時点で、観客はいわゆる“真っ当な映画”を観るのを諦めなければならない。

夢オチ、夢オチ、また夢オチの連続である本作。あまりにシュールすぎてギャグ映画の趣きすらある。公開当時の観客の戸惑いが容易に想像できる。

 

 

・『パリ、テキサス

 テキサスを放浪する男と、彼の妻子との再会と別れを描いたロード・ムービー。

男は場末のクラブで、そこで働くかつての妻と再開する。そこでは、マジックミラーで仕切られた個室内で男性客側からしか女を見ることができない。

このシーンを見て、僕はキム・ギドク監督の韓国映画『悪い男』を思い出した。そこでもやはりマジックミラーを通して男が女を見つめる。

何も障壁がなければ相手の全てを見られるのか。そうとは限らないはずだ。マジックミラーを通してはじめて見える相手の姿があり、絆がある。

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・『太陽を盗んだ男

中学校の理科の教諭が核爆弾を作って政府を脅迫するという愛すべきおバカ映画。

学校教育ですこしでも物理学を学んだことのある人ならば、冒頭の「エネルギーとは、力である」というセリフを聞いた時点で脱力すること請け合いである(※物理学ではエネルギーと力を別個の概念として厳密に定義する)。

しまいには、現代科学の精華であるプルトニウム型原爆を、学校の理科室にありそうな器具を使って自宅で製造してしまう

これだけでも爆笑モノだが、主人公が核爆弾で政府を脅迫する際の要求内容が「巨人阪神戦の中継を延長しろ」だのローリング・ストーンズの日本公演を実現させろ」だのといった、まったくもってど~でもいいものばかりで、これまた脱力必至である。テロリストらしく、そこは「総理大臣辞任しろ!」ぐらいのことを言えっ!

ラストで心臓付近を撃たれてもなお戦い続ける刑事(菅原文太)など、全編にわたってツッコミどころ満載。(制作側の意図に関係なく)コメディとして楽しめる作品だ。

 

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・『アメリカン・ギャングスター

 言わずと知れた黒人の名優デンゼル・ワシントン主演作。

アメリカ映画界では、俳優は自身の出演する映画のクオリティーによって、俳優としての格付けも決まってしまう。したがって、俳優は演技力だけでなく、脚本を見る目も問われる。優れた映画には、優れた俳優が出るものなのだ。

デンゼル・ワシントンには、まさにそれが当てはまる。彼の主演映画は、どれ一つとして外れがないのだ。

本作もそう。実在人物である黒人街のドン、フランク・ルーカス役を熱演。その姿は「黒いゴッドファーザー」と呼ぶにふさわしい。

アメリカン・ギャングスター [DVD]

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