Furusawa Keisuke's blog

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カウリスマキ作品の魅力

ここ最近、フィンランド映画界の鬼才、アキ・カウリスマキ監督の作品を集中的に見ています。

 

カウリスマキ監督の映画では大抵の場合、日雇い労働者に犯罪者、リストラされた失業者など、下層階級の人たちが主人公となります。

日本ではフィンランド(および北欧諸国全般)というとどうしても福祉の行き届いた地上の楽園」的なイメージがありますが―左派がそういうイメージを好んで流布するせいですが―そんなフィンランド社会にだって、こうした「暗部」は存在するのですね(当たり前の話ですが)。

 

下層階級の人々の生活を描き、ときに暴力描写もいとわないという点では、作風は大分異なりますが、韓国映画界の鬼才、キム・ギドク監督の作品とも似ているかもしれません。

 

カウリスマキ映画の特徴としてはこの他にも、人を食ったようなシュールなギャグ(『レニングラードカウボーイズ』シリーズにこの傾向が顕著)、そして非常に静的な演出が挙げられます。

たとえば、刑事が不法移民の黒人少年を捕まえようとするも、同じく不法移民であるベトナム系の青年に邪魔されて少年を取り逃すというシーン(『ル・アーヴルの靴みがき』)。

普通の映画なら緊迫感に満ちたシーンになることでしょうが、カウリスマキ監督の手にかかれば、まるで茶室でお茶を立てているかのような、淡々とした描写になります。

難病に侵されていた主人公の妻が奇跡的に回復するというシーン(同じく『ル・アーヴル~』)でも、奥さんはまったく笑うことなく大真面目な顔で「治ったわ」と淡々と告げる。

 

こうした静的な演出が特徴的なカウリスマキ監督、実は『東京物語』でおなじみの日本の小津安二郎監督の影響を強く受けているのだそうです。なんと、カウリスマキ映画のルーツは日本にあったのですね!

 

アキ・カウリスマキ監督作品、皆さんもぜひ一度ご覧になってください。