Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第29回)

・『ある映画監督の生涯』

タイトル中の「ある映画監督」とは、溝口健二のこと。

黒澤、小津と並んで日本を代表する名監督である、溝口。海外でも、溝口から強く影響を受けたという映画人は多い(たとえばフランスのジャン=リュック・ゴダール監督は溝口の大ファンであることを公言している)。

本作は、そんな溝口を師と仰ぐ新藤兼人監督によるドキュメンタリー映画。スタッフ、女優など、溝口作品を支えた多くの関係者にインタビューを行い、巨匠・溝口健二の生涯の足跡に迫っていく。

宮川一夫をはじめとする当時の撮影スタッフや、香川京子京マチ子など、往年の名女優も多数登場。2015年現在では、すでに鬼籍に入った人物も多い。「ああ、そうか。この映画が撮られた当時(1975年)は、まだこの人も健在だったんだなぁ」と、見ていて感慨深かった。

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・『人間の約束』

舞台となるのは、とある三世帯家族。

ある日、おばあちゃんが死亡しているのが発見された。認知症のおじいちゃん(三國連太郎!)が「自分が殺した」と供述したため、警察は彼を逮捕する。だが、真相は別のところにあった。

不倫に走る旦那さん。おばあちゃんの介護に疲れる奥さん。そんなギスギスした大人たちの世界を見て、もはや家族になんの幻想も抱かなくなったドライな子供たち。

本作のテーマはズバリ「壊れた家族」。しかし本作は同時に「誰がおばあちゃんを殺したのか」というミステリー作品としても楽しむことができます。

いったい誰が、何の動機で殺したのか―ネタばれになってしまうので詳細はもちろん伏せますが、見ていて「あぁ、人間の不条理というものを、よく描いているなぁ」と感心しました。

三國連太郎認知症の演技も実にリアル! 必見です。

人間の約束 [DVD]

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・『どついたるねん』

いまやすっかりライザップのお世話になっている元プロボクサー・赤井英和の主演デビュー作。

試合中にKOされ、再起不能に陥った主人公。なんとか食っていくためボクシングジムの経営に乗り出すも、それまでボクシング一辺倒の人生で客商売の経験など無いものだから、当然うまくいかない。やがて一念発起し、リングへの復帰を目指す。かくして、カムバックをかけた戦いのゴングが鳴った…

全編にわたって比較的ドライな演出がなされていて、心地よかった。

本作には輪島功一など、かつてのボクシングチャンピオンも特別出演しており、べつに格闘技ファンというわけでもない―むしろどちらかといえばニガテな―私も十分に楽しむことができた。

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・『秋津温泉』

舞台は、鳥取県との県境にほど近い、岡山県の温泉街・秋津温泉。

終戦前夜、結核に冒された青年(長門裕之)が秋津温泉に流れ着いてきた。青年を介抱する温泉街の少女(岡田茉莉子)。

やがて時は流れ、青年はかつての素朴さ、純情さを失い、自堕落な中年男になり果てた。少女もまた、大人になり、旅館経営に行き詰まるなどして社会の荒波にもまれていく。そんな中でも、否そんな中だからこそ、二人は相手を求めあう。

温泉街を取り巻く一帯の風景が―四季の移ろいとともに変わっていくその姿が―実に美しい。そんな自然の中で愛を求めあう二人の姿も、実に絵になっている。

私などは、終盤、映像美に酔いしれるあまり、ストーリーの流れを追うのをしばし忘れてしまったほどだ。

あの頃映画 「秋津温泉」 [DVD]

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・『墨東奇譚』

文豪・永井荷風と娼婦の女たちとの情事を描いた(官能)映画。

津川雅彦演じる主人公・永井荷風は、自らの身分を偽り、私娼窟・玉の井に通っては、娼婦たちとの情事を楽しんでいた。ある日、荷風玉の井にて運命の女・お雪と出会う。結婚を誓い合った二人は、互いの体を熱く求めあう…。

男性の観客にとってはまことにありがたいことにヒロイン役の墨田ユキは見事なまでのフルヌードを披露してくれている。そのやわらかな肉体美に思わず見とれてしまう(男のサガである)

まぁ、さすがにセックスを機関車の接続に見立てる演出はいくらなんでもベタすぎるだろうと思ったが(^_^;)、大正期のモダンな雰囲気や、それが一掃されて戦争一色へと染まっていく昭和期の暗い世相などがよく再現されていたので、まぁ良しとしましょうw

墨東綺譚 [DVD]

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