Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第34回)

・『カルメン故郷に帰る』

日本におけるカラー映画第1号という記念すべき作品(当時はまだ「総天然色」と呼んでいました)。

ストーリー自体はわりと他愛のないもの。リリィ・カルメンを名乗る主人公のストリッパーの女性(高峰秀子)が、故郷である浅間山麓の田舎町に帰還する。ストリップのスの字も分からぬ地元の農民たちは何事かと混乱するが、幾度ものドタバタ劇を経て主人公は農民たちと打ち解けていく。

本作では1950年代初頭の日本の農村風景をカラーで見ることができます。それだけでも本作を見る価値は十分にある、と言っていいでしょう。

  

木下惠介生誕100年 「カルメン故郷に帰る」 [DVD]

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・『喜びも悲しみも幾歳月』

全国津々浦々を転々とする灯台職員の夫とその妻(高峰秀子)。息子の死という悲劇に見舞われながらもそれを乗り越えていく、二十余年にわたる夫婦の絆を描く。

夫の最初の赴任地である神奈川県・三浦半島の灯台の風景が実に美しい。透き通るような青い空、光をまぶしく反射させる白い壁。まるでエーゲ海の沿岸かと思わせるような、なんとも日本離れした風景だ。

ストーリーもさることながら、本作は風景を楽しむのにももってこい。いやむしろカラーで映し出される、日本全国北から南にいたる一連の風景こそ、本作の一番の魅力ではないか。

 

木下惠介生誕100年 喜びも悲しみも幾歳月 [DVD]

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・『野菊の如き君なりき』

故郷を訪れた老人(笠智衆)が、半世紀以上も昔の、自らの悲恋を回顧する。

主人公の回想を表現するにあたって、本作では「タマゴスコープ」と呼ばれる一風変わった表現方法が採られている。これは画面のフチに白いボカシを入れて画面全体をタマゴのように丸い形に縁どる、というもの。19世紀の貴族の肖像写真などでよく用いられた手法だ。映画である本作がその手法を採用したことで、まるで19世紀の写真が動いているかのような印象を醸し出すことに成功した(と思う)。

それにしても本作を見ていると、恋愛結婚が当たり前のものとなった現代がいかに素晴らしい時代か思い知らされる。「恋愛至上主義が~」と怨嗟の声を上げつづける非モテ童貞諸君、間違ってもこんな時代に帰ろうなどとは言いださないように。

 

木下惠介生誕100年 「野菊の如き君なりき」 [DVD]

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・『路傍の石

我々日本人は、恵まれぬ境遇の主人公が艱難辛苦を乗り越えるという『おしん』的な物語が本当に大好きなようだ(私個人はそうでもないけど)。

本作もそんな作品のひとつ。頭がすこぶる良いのに生家が貧しいばかりに中学校に進学させてもらえず丁稚奉公に出されてしまった主人公の少年。彼が次々に降りかかる困難を乗り越えていくさまを描く。

私事で恐縮だが、私は学問にはそこそこ自信がある一方、接客という仕事はどうにも性に合わず、長く続いたためしがない。本作を見ていると過去の自らのヤ~な体験を思い出してしまって、結構堪えました… 

 

路傍の石 [DVD]

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・『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』

日本映画を代表すると言っていい、名画『男はつらいよ』シリーズ。本作は(おそらくは)その最高傑作。

マドンナとしては再登板となる浅丘ルリ子が実に溌剌としたイイ女でまぶしい。助演の船越英二もイイ味を出している。もちろん主人公の寅さんを演じる渥美清については言うまでもない。

48作(!)まで続いた『寅さん』シリーズ。まさに戦後日本の良心というべき作品だ。