Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第36回)

・『楢山節考

いわゆる「姥捨て山」伝説を題材とした作品。監督は『二十四の瞳』でおなじみ、木下惠介監督。

二十四の瞳』はもはやミュージカル映画と言っても過言ではないくらい、どのシーンでも童謡がBGMとして流れつづけていましたが、本作では長唄浄瑠璃などの日本の伝統音楽がつねに流れています。木下監督ならではの、音楽へのこだわりを感じますね。

映像表現もなかなかに斬新です。最も印象に残ったのが、主人公が年老いた母を山に捨てる決心をする場面。暗がりの室内にいる人間たちに頭上からスポットライトが当てられるなか、ひとりまたひとりと人々が席を立っては暗闇のなかに消えていき、最後に主人公と老母だけが残される。

斬新な映像表現と日本の伝統芸術が巧みに組み合わされた、巨匠ならではの作品でした。

 

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・『イントレランス

「映画の父」と称される、D・W・グリフィス監督。彼の“発明”は、モンタージュ、カットバック、クローズアップなど、今日では映画に限らず様々な映像コンテンツにおいて私たちが当たり前のように目にしている技法ばかり。グリフィス監督、そんなわけで映画の世界では超がつくほどの偉大なるお方なのだ。

そんな彼の代表作のひとつが『國民の創生』(1915年)なのだが、残念ながらこの作品は黒人に対する差別的描写が酷く、political correctness(政治的正しさ)の観点からは大いに問題があると言わざるを得ない。

その点、今回取り上げる『イントレランス』(1916年)は内容的にも、もちろん映画としても安心して観賞することができる。

本作は(当時としては画期的な)マルチスレッド方式。場所も時代も異なる4つの世界を描きながら、どの時代にも共通して存在する不寛容(intolerance)を描き、告発する。ラスト、バビロンに向け進撃する軍隊と、汽車に追いつこうと爆走する自動車とが並行して描かれるシーンがとりわけ印象的だった。

単体で見ればとても良い作品なのだが、やはりこれを見ると前作『國民の創生』とのギャップが気になってしまう。グリフィス監督は要するに不寛容は良くないと本作で訴えているわけだけど、それじゃあグリフィスさん、『國民の創生』においてあなたがやった黒人差別こそまさに不寛容の極みじゃぁないんですか。

 

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・『笛吹川』

武田氏の支配する、戦国時代の甲斐国(現在の山梨県)。戦国の世に翻弄されつづける農民たちの悲哀を斬新な手法で描いた、木下惠介監督作品。

その「斬新な手法」というのは、モノクロフィルムに部分的に色を焼き付けるというもの。たとえば空は絵の具で描いたように青色で塗られ、死んだ人間の顔もこれまた青色に塗られる。これは視覚的インパクトがハンパでなく、最初見たときには「なんぞこれwwwwww」と笑い転げてしまった。

もっとも、こうした手法が成功をおさめているかと問われると…個人的にはイマイチのような気がしてならないデス…(^_^;)

 

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・『女番長 野良猫ロック

70年代初頭の新宿の街を舞台に、若いエネルギーを爆発させる女番長(和田アキ子)の物語。

というわけで我らがアッコさんの映画である。アッコさんはもはや男/女などという性別を超越してしまっている。アッコさんは、アッコさんなのである。

高層ビルが立ち並び始めた70年代の新宿の街を、バイクで、バギーで、走り回る。それが実に痛快で、楽しい。

 

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・『野菊の墓

以前、本ブログでも取り上げた、木下惠介監督『野菊の如き君なりき』のリメイク作品。

しかしながら、リメイクというのはどうしてもオリジナルには勝てないのですねぇ、やっぱり。

澤井信一郎監督の手による本作、映像こそ綺麗なのだけれど、それ以外はすべて木下版のほうがまさっている。主演の松田聖子は元々たいして美人とも思えないし(←ファンの人たちゴメンね!)、クライマックスで待ってました!とばかりに松田聖子の歌が流れてくるところなんか、ホントもうダメ(w ごめんなさいね

 

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・『カイロの紫のバラ

映画をこよなく愛する薄幸の女性。「ああ、あの夢のようなスクリーンの世界に入ることができたら…」と思い焦がれていたところ、なんと本当に映画の中のキャラクターが「やぁ、君、また来てくれたんだね」と声をかけてくるではないか!

さらにはそのキャラクター、「同じセリフを2000回も繰り返すのは大変だからね」と(←そうだったのか…)、そのままスクリーンからリアル世界へと飛び出してしまう!

…という奇想天外な物語ですが、かのウディ・アレン監督の手にかかればちゃーんとロマンチックなコメディに仕上がります。たぶん彼の最高傑作なんじゃないかな。

映画の世界から飛び出してきたキャラクターと恋愛を楽しんでいたところ、なんとそのキャラクターを演じたリアルの俳優さんも駆けつけてきて(←あぁややこしい!)、女性は「映画か、現実か」の二択を迫られる。果たして彼女の選択は…。

切ないラストシーンが良い。