Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第38回)

・『アメリカの夜

舞台は映画の撮影現場。スケジュールには限りがあるにもかかわらず、次から次へとトラブルが降りかかる。そんなドタバタのなかで織りなされる人間模様を、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠フランソワ・トリュフォー監督が、フランス映画らしく淡々と描き出す。意味深なタイトルは、フィルターを用いて夜間のシーンを昼間に撮影するという、映画の手法に由来。

本作を見ていると、「あ、映画って、こんなふうに撮られてたんだ!」と何度も驚かされることでしょう。そういう観点からも、本作はなかなかに面白い。

例えば女性が窓を開けベランダに出るシーン。建物を丸ごとつくるだなんてメンドクサイことはしませんよ。窓とその周りの壁だけという張りぼてのセットをつくって、それで撮影するのです。

あるいは、雪の降り積もった街頭のシーンはどうでしょう。はじめに、なにやら綿のようなものを撒くのですね。「何だろう」と思っていると、たちまち降り積もった雪に早変わりというわけです。

本作における劇中劇『パメラを紹介します』は、米仏合作映画という設定。フランスとアメリカでは撮影のやり方が異なります。同時録音のフランスでは、アメリカと違って「セリフを忘れてもアフレコで入れるからおk」という裏ワザが通用しないのです。おかげでセリフを覚えられない中年女優は大ピンチ。

いやぁ、映画って、本当に面白いもんですね~(水野晴郎風)

 

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・『イースター・パレード』

1948年にカラーフィルム(テクニカラー)を用いて撮影された、米国のミュージカル映画

全編にわたって歌ありダンスありと、とっても楽しめる娯楽映画でした。ダンスのシーンにおいて、バックダンサーたちが普通の速さで動くなか、画面前方の主役フレッド・アステアのみスローモーションで動くなど、演出面でも面白かった。

それにしても1948年(昭和23年)の時点でこんなリア充っぽいゴージャスなカラー映画を撮ってしまうのだから、つくづくアメリカという国はおそろしいですねぇ! やはり日本はアメリカと戦争するべきではなかったのでしょう。…もっともその日本も、50年代に世界を席巻することとなる巨匠・黒澤明を輩出するのですが。

 

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・『愛と宿命の泉』

1920年代の南仏の農村。都会から新しい農業技術をひっさげて、都会人がやって来た。現代日本でたとえるならば、アニメ 『のんのんびより』にあこがれて田舎に引っ越してきた都会人、といったところでしょうか(←ちと違うか…w)。

しかし当然ながら現実は甘くはありません。異常気象による干ばつで作物は壊滅。苦しむ都会人一家を陰でせせら笑う村人たち。やっぱりどこの国でも、田舎の人間関係は陰湿かつドロドロしたものなのですね…。

本作においてカギを握るのが、水。水こそ人間の生命の源であり、同時に紛争の原因ともなる―そのことを再認識させられました。

 

 

・『アニーよ銃をとれ』

射的がめっぽう得意だけれど、田舎育ちゆえに品性皆無の女主人公・アニーが繰り広げるドタバタ劇。上述の『イースター・パレード』同様、これまたミュージカル映画なので、歌ありダンスありと実に内容盛りだくさんで観客を飽きさせません。

ネイティブ・アメリカンへの差別的な描写が気にはなるものの、まぁ『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』的なおバカ系エンタメ映画だと思って目をつむるべきなのでしょうね。

 

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・『愛と喝采の日々』

バレエを題材としたアメリカ映画。かつて将来を期待されながらも、妊娠を機にバレリーナをやめた女主人公と、ひたすらバレエの世界に生きつづけた友人の女性。主人公の娘もまた、バレリーナとなり、才能を開花させる。

監督のハーバート・ロスがもとはバレエの振り付け師だったこともあり、バレエシーンは実に本格的。

同時に、二人の女性―主人公とその友人―の対照的な半生が示されることで、観客は、自分の人生における過去の選択は正しかったのか、ひいては「生きる」こととは何か、と考えさせられることでしょう。

そうした意味で、本作は優れた作品でした。