Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第39回)

・『カリガリ博士

ガリガリ博士じゃありませんよ。「カ」リガリ博士。ガリガリじゃアイスになっちゃいまいますからねw

舞台はドイツの架空の村。ストーリーは、医師のカリガリ博士が、夢遊病患者・チェザーレを意のままに操ることで連続殺人事件を引き起こす、というもの。

うーん、なるほどなぁ、と唸っていたら…ラストでまさかのどんでん返し。これには思わず( ゚д゚)ポカーンとなってしまいましたw

20世紀初頭、あえて写実的でなくデフォルメされた世界観を追求したのが、「ドイツ表現主義」。その代表作とされるのが本作だ(※1920年公開)。本作中盤で登場する、精神病院の院長室の内装などは、まるでスペインの芸術家・ガウディの手がけた、あの奇抜な建築物のよう。奇抜というなら、夢遊病患者・チェザーレのメイクだって負けてはいません。

さて、フシギなフシギな本作を、いったいどう見るか。カリガリ(政府)に意のままに操られるチェザーレ(大衆)という構図から、後のナチズムの台頭を予言したとも言われる本作。そうした解釈が妥当かどうかは…ご自身の目で確かめてみてください。

 

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・『禁じられた遊び

ナチスの侵攻を許した、1940年のフランスが舞台。両親をナチスに殺された主人公の少女は、口は悪いが根は善良な、ある農家に保護される。その家の少年との交流を通じて、少女は次第に「死」とは何かに関心を寄せる…

緑豊かな農村が舞台の本作だが、そこでも「戦争」が幼い子供たちの日常に、さまざまな場面で影を落とす。その描写は静かだがそれ故にむしろ戦争なるものの本質を抉出しているように思えてならない。

戦争を題材とした近年の日本映画において頻出する「戦場で泣きながら反戦と命の尊さを訴える兵士」のごとき、「言いたいことは分かるけど、ソレ映像表現としてぶっちゃけどうなのよ?」と言いたくなるような演出は、一切なし。ルネ・クレマン監督のセンスが光る。主題曲「愛のロマンス」も良い。

 

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・『ウェールズの山』

1917年の英国・ウェールズ。ある日、山の標高を測量すべく、“隣国”イングランドから測量技師がやってきた。地元の村人たちが誇りとしている山だったが、測量結果は980フィート(約299m)。英国では、標高が1000フィート(約305m)を超えない場合は「丘」と見なされ、地図に名前が記載されない。

おらが村の誇りであるこの山が地図に載るよう、あの手この手を使う村人たち。ついには土を盛って山の標高を増やそうと考えた。さて、その結果は…

村人たちにとっての山は、たとえるならば静岡県民にとっての富士山―あるいは鹿児島県民にとっての桜島―のようなもの。山は単に山であるだけでなく、地元住民のアイデンティティーの中核でもあるのだ。

主演は、『ノッティングヒルの恋人』でおなじみ、ヒュー・グラント。彼は、その容姿はまごうことなきイケメンであるにもかかわらず、不思議と「童貞臭」のただよう希有な俳優なので、個人的にゴヒイキにしておりますw

 

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・『オルフェ』

死んだ妻を冥土から連れ戻すことを許された主人公。ただしその条件は、「冥土にいる間は決して妻の顔を見ないこと」…

ギリシャ神話で有名なオルフェウス(オルフェ)の逸話を、現代(20世紀)フランスに置き換えた作品。監督はジャン・コクトー

全編にわたってシュールな作風全開で、個人的にはおおいに楽しめました。意外にもラストがハッピーエンド(?)だったのもgood

 

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・『失はれた地平線』

1930年代の中国。戦火から逃れるべく飛行機で脱出した英国外交官の主人公一行。だが飛行機は目的地の上海とは正反対の西の方角へと進んでいく。やがて飛行機はチベットの山奥に不時着。命からがらそこから脱出した主人公たちを待ち受けていたのは、驚くべき光景だった…

…というわけでチベットの奥地に桃源郷「シャングリラ」があったよ、というお話(←あ、ネタばれしちゃったww)。シャングリラは、争いも、「老い」すらも存在しない、実に平和な―そして不気味でもある―世界だ。

そんなシャングリラに、いつしかすっかり魅せられてしまった主人公。だがシャングリラで育った女性マリヤは、そんなシャングリラが嫌で、外の世界へ出たいという。同じく外の世界への帰還を望む主人公の弟とマリヤに連れられる形で、主人公も不本意ながらシャングリラを脱出することに…。

桃源郷で育っていながら、その「外部」を見ることを望んだマリヤ。自分が彼女と同じ立場だったら、どうだったろう。やっぱり同じように出ていっただろうな、と思った。

 

1937年に制作された本作、残念ながら元のフィルムは失われてしまったとのことで、世界各国から現存するフィルムをかき集めて復元したのが、DVDに収められているバージョンだそうです(一部、フィルムが現存せずスチール写真のみのシーンあり)。復元作業にあたったスタッフの皆さん、おつかれさまです!

 

失はれた地平線 [DVD]

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