Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第43回)

・『白鯨』

いわずとしれたアメリカの同名小説の映画化。

時は19世紀のアメリカ。物語の語り手である主人公は、生計を立てるため捕鯨船に乗り込む(このころはアメリカも堂々と捕鯨をやっていたのだ!)。が、この捕鯨船、なんと捕鯨という本来の業務などそっちのけで、船長・エイハブにとっての宿敵・白鯨の「モビイ・ディック」を狩ることだけを目的とする、とてつもないブラック企業もといブラック捕鯨船だったのだ!

本作における真の主人公ともいうべきエイハブ船長役には、グレゴリー・ペック。もちろん名優なだけあって入念に役作りしているのはわかるのだが…。どうしても「無理してる」感が否めない、と思うのは僕だけだろうか。やはりペックは戦後民主主義っぽいインテリの役のほうがよく似合う。

 

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・『ビッグウェンズデー』

伝説の大波「ビッグウェンズデー」に乗ることを夢見る、若きサーファーたちの青春物語。

舞台はヒッピー全盛期の60年代アメリカ。見るからに「リア充」然としたサーファーの若者たちが、そのあふれんばかりのエネルギーを爆発させ、青春を謳歌する。そのウザいことウザいことw

…僕は昔からこのテの映画を見ると、自由奔放な若者連中よりもむしろ、振り回される周囲の大人たちのほうに感情移入してしまうタチである(^_^;)

だがそんなサーファー連中とて、いつまでも子供のままではいられない。60年代といえば、ベトナム戦争まっただ中。やがて若者たちは徴兵にとられ、うち何人かはベトナムで帰らぬ人となる。

時はすぎて70年代。もはや青春時代の終わりを自覚する若者たちの前に、ついに伝説の大波「ビッグウェンスデー」がやってきた…!

本作で特筆すべきは、やはりその映像美だろう。とにかく波が美しい。まるで宝石のような、透き通ったブルーだ。いつしか観客の視点は完全にサーファーと一体となり、あたかも伝説の大波に自らも乗っているかのような錯覚を抱くことだろう。

 

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・『ハスラー

日本では、「勝負師」というと麻雀師や賭け将棋の真剣師を連想するが、はてさてアメリカではどうなのだろう…?

意外や意外、ビリヤードが勝負師の世界だったのだ!

というわけで、本作はビリヤードという厳しい勝負の世界を生き抜くハスラーたちの物語。

本作はモノクロ。画面にはつねにたばこの煙が漂う。お世辞にも美しいとは言えない映像。だからこそ、勝負師の世界が映える。

 

 


・『バード』

先日紹介した『セッション』で、こんなセリフが出てくる。

「かつて、ヘマをやらかしたチャーリー・パーカーに、ジョー・ジョーンズはシンバルを投げつけた。しかし、それがパーカーの克己心に火をつけ、彼を偉大にした」

ところがジャズに明るくない日本の観客たちは、ここで首をかしげてしまうわけだ。「チャーリー・パーカーって、いったいどんな人なんだろう?」

―「こういう人だったんだよ」と教えてくれるのが、本作。

監督はクリント・イーストウッド。不世出の天才チャーリー・パーカーの、「太く短く」を地で行くような波乱にとんだ生涯を、コラージュの手法を用いてテンポよく描いた(シンバルを投げつけられるシーンもちゃんとあります)。

 本作の演奏シーンでは、実際のチャーリー・パーカーの演奏を録音したものが用いられているという。映画ファンのみならず、音楽ファンも十分に楽しめる作品だ。

 

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・『野いちご』

スウェーデン映画界の巨匠・ベルイマン監督の代表作にしておそらくは最高傑作。

名誉学位の授与式に向かう、ある偏屈な老教授。その一日を、彼の見た悪夢や妄想、そして回想などの心象風景を交えつつ描く。

だがこれこそ「百聞は一見にしかず」。本作において、物語の大筋はさして意味をなさないのではないか。まずは実際に本作のDVDを手に取って、鑑賞することをお勧めしたい。

僕はといえば、鑑賞後、「これぞ名画」と感動し、しばらくのあいだ震えが止まらなかった。