Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第50回)

・『月世界旅行

「映画の世紀」・20世紀の幕開けとほぼ時を同じくして世に出された、1902年製作のフランス映画。

当時はまだ映画の黎明期―いや、映像そのものの黎明期といってよいだろう。その中で本作の製作者たちは、当時としては画期的だったトリック撮影の技法を用い、月世界旅行というファンタジーを描き切った。

映画という名の新しい芸術が、ここに誕生したのだ。

映画史にさんさんと輝く金字塔である本作、しかし21世紀に住むわれわれが見ると、やはりおそろしく古典的な作品に思える。カメラは固定され、人物の顔もアップで映ることはない。映画というよりかはむしろ、演劇を見ているかのようだ。

だがむしろ、あまりに古典的すぎるがゆえに、僕には「一回転して前衛的」とすら思えた。これは、新鮮な発見だった。

 

月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術 Blu-ray

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・『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』

アニメ『銀魂』という作品は、普段はだらしないけどやるときはやる主人公、全編にみなぎる和風テイスト、ハードな下ネタ、80年代フジテレビ的な楽屋オチ…と、その要素のひとつひとつが―まるでジグソーパズルのピースのように―僕の感性にぴたりとフィットするという、(僕にとっては)奇跡のような作品だ。

本作は、その『銀魂』の劇場版。タイトルに「完結篇」と銘打たれているとおり、本作はアニメ『銀魂』の集大成だ。その内容も、主人公・銀さんが過去・現在・未来をタイムスリップすることで過去の因縁に決着をつけるという、完結篇にふさわしいもの。

このテのSFにつきもののタイムパラドックスのせいで頭の中がかなり混乱するが(^_^;)、面白かった。ラストのチャンバラも―個人的には前作『新訳紅桜篇』のほうが見せ方がうまかったとは思うが―満足。

「あぁ、でも、これでアニメ『銀魂』もいよいよ終わってしまうのだなぁ、さびしいなぁ…」と思っていたら…やっぱり来ましたね。2015年4月、テレビアニメ新シリーズ放送開始(w

これまで何度も「これが最終回! これが最終回!」と製作サイドが煽っておきながら、その都度放送が再開されるのでファンの間では「終わる終わる詐欺」とも揶揄されてきた、『銀魂』。やっぱり今回も、終わる終わる詐欺だったのですね(にっこり

 

 

・『嘆きの天使

絵にかいたような堅物の高校教師。ある日彼は、夜遊びする学生たちを叱りつけるべく、街のキャバレーへと繰り出した。そこで踊り子のローラ(マレーネ・ディートリヒ!)に出会ってしまったのが運のつき。すっかり彼女にお熱を上げてしまった先生は、やがて学校をクビになり、坂道を転げ落ちるように転落していく…。

マジメ一筋の学校の先生が女遊びを覚えてしまったがために没落しちゃいましたよ、というお話。なんだか現代の日本でもありそうな話ですよね。こういう事例は古今東西多かったのでしょう。

 

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・『大樹のうた』

「インド映画」と聞いてたいていの人が思い浮かべるのは↓

・われわれ日本人の目にはお世辞にもイケメンとは言いがたい、小太りのオジサンが主人公で

・何の前触れもなく唐突に歌と踊りのシーンが挿入されて

・わかりやすい勧善懲悪のストーリーが延々3時間にわたって繰り広げられる

…といった感じの映画だと思う(実際そうである

だが今回ご紹介するインド映画『大樹のうた』(58年製作)はまったく違う。上記のような『踊るマハラジャ』的要素は皆無で、まるでヨーロッパあたりの監督が撮ったかのようだ。

大学出のインテリ青年がいる。「俺は会社勤めなんてせん! ひとりで気楽に生きてやるわい!」とインテリヤクザ人生を歩もうとする(←わかるわぁ、その気持ち)が、ひょんなことから結婚し家庭を持つこととなる。だが幸せは長くは続かない。妻は出産の際に亡くなり、青年は自暴自棄に陥る。そんな彼を立ち直らせたのは、亡き妻の忘れ形見である一人息子だった。青年は、息子とともに人生を歩む決意をする。

「なんだ、インド人も本気を出せば(←?)ちゃんといい映画が撮れるんじゃないか!」と―ちょっと失礼な物言いかもしれませんが―感心してしまったワタクシなのでした(^_^;)

 

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・『ファニーとアレクサンデル

スウェーデンが生んだ世界的巨匠イングマール・ベルイマン監督の、5時間11分(!)にわたる渾身の超大作。

20世紀初頭のスウェーデンの大学街ウプサラ。この静かな街を舞台に、豪華絢爛のクリスマスパーティーが開かれるところから、この長大な物語は幕を開ける。正直、前半は物語の流れがあまりにもスローすぎて、退屈に感じた。

ところが劇場の富裕な経営主であった主人公の父親が急死し、母親が街の神父と再婚する後半に入ってから、物語の流れが一気に速まり、最後はベルイマン監督の生涯のテーマ「神の不在」をめぐって(監督お得意の)難解な展開が怒涛のように繰り広げられる。ベルイマンワールド、健在なり!

本作には家族ドラマの要素もあり、ミステリーの要素もあり、ホラーの要素もある。観客を飽きさせないという意味で、初めてベルイマン作品に触れるという方には向いている作品といえるかもしれない(ただし、やたら長尺だが…w

ちなみに本作の舞台・ウプサラは、何を隠そうベルイマン監督の出身地でもある。どうりで街の美しさが余すところなく切り取られているわけだ。

 

ファニーとアレクサンデル オリジナル版 HDマスター [DVD]

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