Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第52回)

・『霧の中の風景

これまで本ブログでは、フィンランドアキ・カウリスマキ監督や、スウェーデンイングマール・ベルイマン監督など、欧州の名監督の作品をたびたび取り上げてきた。

今回ご紹介するのは、ギリシャが生んだ世界的巨匠テオ・アンゲロプロス監督の作品だ。

本作『霧の中の風景』は、まだ見ぬ父を追って、ギリシャから父の住むというドイツへと向かおうとする姉と弟の物語。『母を訪ねて三千里』みたいな人情モノの映画なのかな、と思いきや…。

なかなか一筋縄ではいかないのがアンゲロプロス作品の特徴だ。本作でも意味不明なシーンがつぎつぎと出てくる。海岸でなにやら政治的なモノローグを暗唱する劇団員たち。海上をヘリで輸送される謎の巨大石像の手…。

全編にわたって、荒涼としたギリシャの風景が映し出されるのにも驚かされる。ギリシャというと、もっとさんさんと日光が降り注いで温かい、(良くも悪くも)のんびりとした地中海の国、というイメージがあったのに…

 

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・『こうのとり、たちずさんで

こちらもギリシャ映画界の巨匠テオ・アンゲロプロス監督の作品。タイトルの「こうのとり」とは、国境の前で立ったまま動かずに警備にあたる兵士のことを指す。

「国境」と聞いても、島国に住むわれわれ日本人には、なかなか想像が難しい。

日本のような海上の国境と、ギリシャのような陸上の国境とでは何が違うか。陸上であれば、人が歩いて渡ることができるのだ。かくして政情不安定な地域から難民たちが押し寄せることとなる。

本作は91年製作の映画だが、テーマは「難民」。まさにシリアからの難民に揺れる2015年の欧州を予言したかのような、優れてタイムリーなテーマだ。

本作終盤、国境の川を挟んで行われる「結婚式」のシークエンスが、なんとも印象に残る。

 

こうのとり、たちずさんで [DVD]

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・『踊る大紐育』

ニューヨーク港に停泊した艦艇。水兵3人が、24時間の休暇を許された。意気揚々とマンハッタンの街に繰り出す水兵たち。お目当ては、ニューヨークでの貴重な24時間を共に過ごすに値する、魅力ある女性たちだ。

…というわけで、水兵3人とヒロイン3人が、ときに周囲に迷惑をかけつつも歌って踊って盛り上がるよ!というミュージカル映画

本作は49年公開。それにしても20世紀前半~半ばにかけてのアメリカ映画に特有の、この「リア充」っぷりは、いったい何なのだろう。

 

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・『インテリア』

母と娘3人、女だらけの家庭を描く。監督は『カイロの紫のバラ』『世界中がアイ・ラヴ・ユー』でおなじみ、ウディ・アレン

本作はウディ・アレン作品にはやや珍しく、コミカルな要素が皆無だ。全編にわたってシリアスな雰囲気に満ちている。「これがいい!」という人もいるかもしれないが、やはり個人的には不満が残る。

ウディ・アレンはロマンチック・ラブ“コメディ”の人なのだな、と再認識させられた。

 

 

・『海外特派員』

第二次大戦前夜。政治オンチでフットワークだけが取り柄の体育会系記者が特派員として欧州へと派遣される。そこで出会ったのが平和活動家とその聡明な娘。娘はパーティーの席で「自分たちは(政治の)アマチュアであるが、アマチュアだからこそできることがある」と演説する。

かくして娘とノンポリ記者、「偉大なるアマチュア」同士の奮闘劇が始まった。

本作が製作されたのは1940年。序盤ではコミカルな場面もちらほら見られるが、終盤ともなると、世相を反映してか、かなりシリアスになる。もっとも、米国国歌が流れるラストは少々「やりすぎ」の感が否めないが…(^_^;)