Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第55回)

・『旅芸人の記録

ギリシャ映画界の巨匠テオ・エンゲロプロス監督による、約4時間(!)にもおよぶ大作。

第二次大戦前夜の1930年代から、戦後の混乱期であった1950年代にかけてのギリシャ社会の喧騒を、ある芸人一座の旅をつうじて描く。

ギリシャというとわれわれ日本人はどうしても「太陽のさんさんと降り注ぐ、地中海のあたたかい国」という(ステレオタイプな)イメージを抱きがちだ。だがアンゲロプロス監督の描くギリシャは、いつも雪の積もった、色彩に乏しい冬の景色。

寒々しいのはなにも風景だけではない。左翼と右翼は街頭で衝突を繰り返し、人々の心は殺伐としている。

ギリシャは戦時中ナチスに占領され、戦後になっても政情は混乱した。支配者が何度変わろうとも民衆の苦しみはそのまま。僕は、同じようなテーマを扱った中国映画『鬼が来た!』を思い出しながら、本作を鑑賞していた。

 

旅芸人の記録 [DVD]

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・『喝采』

落ちぶれた元スター俳優をなんとかして演劇の第一線へと復帰させようともくろむプロデューサー。だが俳優は逃げの口実ばかりを考え、肝心の演劇のほうはなかなかうまくいかない。元凶は彼を尻に敷いている(ように見える)妻にあり、と考えたプロデューサーは、なんとか彼女を引きはなそうとするが、俳優がこれまでついてきた「嘘」が明るみになったことで事態は急展開をみせる…

妻役のグレース・ケリーの演技もいいが、僕は昔からどういうわけだか「情けない男」が好きなので(w)、冴えない夫の俳優を好演したビング・クロスビーを個人的には推したい。

 

喝采 [DVD]

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・『黄金の七人

知能犯のリーダーと欧州各国から集められた犯罪のプロたちが7人でチームを組み、スイス・ジュネーブの銀行から大量の金塊を頂戴する、というドロボー映画。

7人組なのは黒澤明七人の侍』の影響だろうか。本作では7人に加えてさらに、峰不二子ちゃ~ん的なエロいお姉さんも、リーダーの愛人として金塊強奪に協力する(わーい

手口は大胆そのもの。なんと金庫の真下まで地下トンネルを掘り、金塊を雨樋のようなミゾをとおして運び出すという。金というのは本来ひじょ~に重たい金属のはずなのだが(鉄より重たいです)、本作では金の延べ板がまるで板チョコのようにホイホイと気軽に扱われるので思わず苦笑い(^_^;)

いい意味で「いかにも娯楽映画~」という感じの作品で、見ていてとても楽しかったです。

 

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・『エアポート’75』

米国中西部を飛行中の旅客機が、操縦士が心臓発作に襲われたセスナ機と激突! 副操縦士は即死し、機長も負傷して操縦不能に陥ってしまう。機内には腎臓移植を待つ難病の少女を含む、数多くの乗客が乗っている。航空会社は一か八か、空軍の高速ヘリを並走させて、そこから空軍パイロットを旅客機に送り込むことを決断する。さぁ計画は成功するか否か! 続きはご自分で見てね♪

まだCGなどという便利な技術のなかった70年代製作の映画。パニック映画としてよくできていたと思います。

 

エアポート'75 [DVD]

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・『哀しみの街かど』

「建国200年目の敗戦」とも言われるベトナム戦争の敗戦によって、アメリカは超大国としてのプライドをボキッ!とへし折られてしまった。

アメリカ人はすっかり自信を喪失し、そのため1970年代前半には既存の価値観を疑いアノミー(精神的無秩序)に陥った若者たちを描く、新しいタイプのアメリカ映画が続々と製作された。いわゆる「アメリカン・ニューシネマ」というやつである。本作もその一つに位置づけていいだろう。主演はアル・パチーノ

NYの街かどで酒やドラッグに溺れ、荒んだ毎日を送る若者たち。彼らの救いのない「青春」を、本作はしっかりと切り取ってカメラに収めている。

世界は残酷だ。だが残酷であるがゆえにむしろ、「本当に世界はこれだけなのか。これとは別様の世界が、ここではないどこかにありうるのではないか」という“希望”が生まれるのである。

 

哀しみの街かど [DVD]

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