Furusawa Keisuke's blog

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台湾ってどんな国?

先日実施された台湾総統選挙。日本でもあらためて台湾に注目が集まりました。

台湾とは、いったいどんな国なのでしょう。

というか、そもそも台湾は「国」なのでしょうか。

これは、実は結構ややこし~い問題。それを説明するには、台湾の近現代史をおさらいする必要があります。

 

第二次世界大戦終結当時、広大な中国大陸を支配していたのは国民党ひきいる中華民国政府でした。しかし終戦直後から、国民党と共産党との間で大規模な内戦が発生します。いわゆる国共内戦です。

国共内戦に勝利したのは、共産党でした。1949年、共産党ひきいる中華人民共和国政府が誕生。大陸での戦いに敗北した国民党政府は、日本から接収した旧植民地・台湾へとのがれます。

こうして大陸=中華人民共和国共産党)、台湾=中華民国(国民党)という構図が誕生しました。この時代、中国は朝鮮やベトナムと同様、イデオロギーによって引き裂かれた分断国家、とみなされていました。

ここで問題となったのが、国連での扱いです。中国は国連の原加盟国であり、安保理の常任理事国の一つでしたが、その「中国」を大陸の共産党政府が代表するのか、台湾の国民党政府が代表するかをめぐって、両政府間で争いが発生したのです。

当初、国連における「中国」を代表していたのは、台湾の国民党政権でした。しかし、台湾一島を支配するにすぎぬ国民党政権が中国全体を代表するというのは、やはり無理があります。かくして、大陸の共産党政権を支持する声が国際社会で次第に高まっていきました。

1971年、中華人民共和国がついに国連における代表権を獲得(いわゆるアルバニア決議)。中華民国はこれに抗議して国連を脱退してしまいます。

このころから、台湾は国際社会で孤立するようになりました。

反共の国民党政権の最大の後ろ盾となっていたアメリカも中華人民共和国を承認し、日本も承認、かくして日米は台湾と国交を断絶しました。

※したがって、日本は台湾を正式には「国」として認めていないことになります。

さて、台湾ではながらく、国民党政権による軍事独裁の時代が続きました。しかし70~80年代にかけて台湾でも民主化を求める民衆の声が高まり、国民党政府ももはやそれを無視できなくなりました。

90年代、あらたに国民党主席についた李登輝民主化を推し進め、96年には史上初となる総統の直接選挙が実施されました。それまでは、総統を台湾人が選挙で決めるなどというのは考えられない事態だったのです。

00年の総統選では民進党陳水扁が当選。以降、台湾では民進党と国民党とが政権交代を繰り返す時代となりました。ここ最近は国民党の馬英九が政権を担っていましたが、今回の選挙によって民進党へと政権交代がなされたのは周知のとおり。これによって、国民党政権による従来の対中融和姿勢が改められ、中国と距離を置く姿勢へと外交方針が転換されることが予測されています。

※ここで、「え、国民党ってもともとは中国共産党と争ってたんじゃないの?」という疑問があがると思います。もっともな疑問ですが、これについて解説すると長くなるので、また別の機会に解説は譲ります。

 

現在、台湾は4つのエスニック・グループ(中国語では、族群)によって構成されています。すなわち、外省人、ホーロー人、客家人、先住民です。

外省人は1940年代末に国民党政権とともに大陸から台湾へと渡ってきた人々のことを指します。その対義語が「本省人」、すなわち日本統治時代から台湾に居住していた人々であり、さらに細かく、ホーロー人、客家人、先住民に分けられます。

ホーロー人は、明・清代に福建省から移住してきた人々の子孫。客家人は、かつて黄河流域に住んでいたものの、度重なる戦乱によって大陸各地に離散したとされる「客家」と呼ばれる人々です。先住民は、中国大陸から人がやってくる以前から台湾に住んでいたマレー=ポリネシア系の人々です。台湾では「原住民」と呼びます。

※日本では「原住民」というとなにやら差別的なニュアンスを伴いますが、台湾ではかならずしもそうではありません。ですから公的な場でもふつうに「原住民」と呼びます。日本と台湾は同じ漢字文化圏に属しますが、漢語の使い方には微妙な差異があるので注意が必要です。台湾の国家元首「総統」も、日本ではナチスのイメージがどうしてもつきまといますが、台湾ではpresident(大統領)という意味の、ごくふつうの名詞です。

 

これらエスニック・グループは、それぞれ話す言語も異なります。大陸から渡ってきた外省人は、北京語を話します。ホーロー人は台湾語(ホーロー語とも)を話します。これは北京語とは全然違う言語で、相互理解はできません。客家人には客家語という独自の言語があり、彼らはこれを話します。

先住民はオーストロネシア語族に属する言語を話します。先住民の言語は部族ごとに異なり、非常に多様性があります。オーストロネシア語族の発祥の地は台湾ではないか、とも考えられています。

台湾は、日本の九州ほどの大きさにすぎないにもかかわらず、こんなにも多様な言語があります。日本ではちょっと考えられないことですね。

 

台湾は、正式には「国」として認められていないとはいっても、事実上の主権国家であることは間違いありません。また、国家元首を民主的プロセスによって選出する、リベラルデモクラシーの国でもあります。

台湾はさらに、シーレーンのすぐそばに位置する、地政学上の要衝でもあります。

日本はこの「隣国」台湾をもっと重要視し、リベラルデモクラシーという価値観を共有する国として、台湾との関係強化につとめるべきでしょう。