Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第57回)

・『結婚哲学』

 1924年製作の、エルンスト・ルビッチ監督によるサイレント映画

中欧の古都ウィーンを舞台に、まるでゲームのように恋愛を楽しむ複数の男女を描く。

前にもこのブログで書いたことがあるが、トーキーにカラーに3Dにと、どんどん登場する新技術にすっかり慣れきった我々21世紀の観客にとって、サイレント映画を観るという体験は一種独特の感覚をもたらしてくれる。

派手なはずのアクションシーンも、ドロドロしているはずの男女の修羅場の場面も、あたかも淡々とお茶をたてているかのような静寂さ。一度コレにハマると、もっともっとサイレント作品を見たくなる。

 

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・『現金に手を出すな』

 いわゆる「フィルム・ノワール」のジャンルに分類される、フランスのギャング映画。

フィルム・ノワールは不思議だ。アメリカのギャング映画とプロットこそおおむね共通するものの、アメリカにはない独特の「しっとり感」に満ちている。登場人物の会話や心理描写などに重点を置いているからだろう。

ギャングが主人公の映画でも、そこはやっぱり「おフランス」なのである。

 

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・『ニノチカ

ロシア革命によって誕生したソビエト連邦という国は、欧米諸国の人間たちの目には実に異質な存在に映った。かの国の全体主義体制をネタにしたアネクドート(ロシアンジョーク)は枚挙にいとまがない。

今回ご紹介する『ニノチカ』も、全体主義国家・ソ連を風刺した、政治色の強い作品だ。といってもコメディなので、政治の話がニガテな観客でも安心してみることができる。脚本はなんと、あのビリー・ワイルダー

ロシア革命で貴族から没収した宝飾品をパリで換金する使命を仰せつかったロシア人のオジサン3人組。が、元の持ち主の亡命貴族が現れ、換金はうまくいかない。業を煮やしたモスクワ政府は、あらたに女性共産党員ニーナ(愛称ニノチカ)をパリに派遣する。まるでロボットのように冷徹なニノチカだったが、恋の都パリに長期滞在するうちに、表情、性格ともに柔和になっていく。

…ほらごらん、資本主義社会は退廃しているだなんて大嘘!西側世界は人間が人間らしく生きていける、こんなにも素晴らしいところなんですよ、自由のない東側とは大違いなんですよ、というわけで、物語は感動的なラストへと至る。

全体主義に立ち向かう一番の武器―それは「笑い」なのだと思い知らされた。

 

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・『大いなる幻影

 時は第一次大戦のさなか。ドイツのフランス人捕虜収容所を舞台に、兵士たちが国籍や階級の違いを超えて友情をはぐくむーそして翻弄されるーさまを描く。

近代における国民国家は、総力戦は、人々のあいだに恣意的な境界線を引く。人はその理不尽に苦しむ。はたして人は、恣意的な境界線をーそれをもたらす<近代>をー乗り越えることができるのか。

本作を見ながら僕は、やはり同様に第一次大戦の仏軍を舞台に<近代>の理不尽を描いた、キューブリック監督の『突撃』を思い出さずにはいられなかった。

 

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・『地上最大のショウ』

本作は、ただひたすらサーカスを楽しむ映画である!

象やライオンなどの動物たちの芸や、空中ブランコや綱渡りといったアクロバットな曲芸のシーンが延々と続く。劇映画というよりかはむしろ、ドキュメンタリー映画を観ているかのようだ。本当にサーカスの観客になったかのような錯覚すら抱く。

物語終盤ではちゃんとスペクタクルシーンも用意されている。本作はまさにーもちろんいい意味でー娯楽映画そのものだと思った。

 

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