Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第67回)

・『叫びとささやき』

 今月最初にご紹介する作品は、スウェーデン映画界の巨匠イングマール・ベルイマン監督の『叫びとささやき』。

19世紀末のスウェーデンを舞台に、病に苦しむ女性と、彼女を介護する姉妹たちを描いた作品だ。

本作を見てただただ驚かされるのは、画面いっぱいにあふれ出んばかりの、赤だ。本当に赤、赤、赤、の一色!

日本の小津安二郎監督が赤が好きで、カラー化以降の彼の作品では画面のどこかにかならず赤いものが配置されている、というのは有名な話だが、本作はもはやそんな次元を超えている。本当に映画全体が赤で満ちているのだ。場面転換の際には画面全体が赤一色に染まるほど!

これは、「女の情念を色で表現するなら、赤だ」というベルイマン監督の考えによるものだという。

僕がこれまで見てきた映画のなかで、もっとも効果的に赤が使われた作品だ。

 

 

・『魔術師』

こちらもスウェーデンベルイマン監督による作品。

19世紀スウェーデンを舞台に、マジシャン一座の興業の旅を描く。

ベルイマン作品のなかでは比較的コミカルな部類に属するのだろう。だが、これはあくまで「ベルイマン作品のなかでは」という留保付き。ストーリーが進むにつれて、必ず「神の不在がどうのこうの~」といった、難解なベルイマン節が炸裂してしまうのであった(w

主演は、ベルイマン作品の常連マックス・シドー。やはり彼が出ると画面全体がよく締まる。

 

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・『プレイス・イン・ザ・ハート

 1930年代の米国。黒人青年の銃乱射事故で保安官の夫を失った女性が、家計を支えるべく綿花栽培に乗り出す。

それまで家事を除いてなにもかも夫に任せきりだった彼女が、綿花に詳しい黒人や、第一次大戦失明した元兵士らに助けられながら、一家の新しい大黒柱へと成長していく姿は、なんとも感動的である。

俳優陣のなかでは、盲目の元兵士を演じたジョン・マルコヴィッチの演技がとにかくうまい! さすが、米国を代表する演技派俳優である。

感動的なストーリーばかりに目を取られがちだが、本作の主要な登場人物が、女性、黒人、障害者といった、米国社会におけるマイノリティーばかりであることを見逃してはならない。

 

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・『死刑台のメロディ』

1920年代の米国で実際に発生した冤罪事件であるサッコ・ヴァンゼッティ事件を映画化した作品。

米国東海岸マサチューセッツ州にて、ふたりのイタリア系移民、サッコとヴァンゼッティが強盗殺人容疑で逮捕された。物的証拠は乏しかったものの、ふたりはイタリア系移民に対する米国社会の強い偏見から、そして彼らがアナーキスト(無政府主義者)であったことから、有罪を宣告されてしまう…。

米国を舞台とする作品だが、本作はイタリア映画である(セリフも全編イタリア語)。イタリアといえばまさしく、サッコ、ヴァンゼッティ両被告にとっての母国である。

冤罪で同胞を殺害されたイタリアの義憤が、全編にわたってみなぎっている作品だ。

 

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