Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第77回)

・『誰がために鐘は鳴る

いわずとしれたヘミングウェーの同名小説が原作。1930年代、内戦下のスペインを舞台に、男女の悲恋を描く。

というわけでこの映画の主題は悲恋なのだが、個人的にはやはりスペイン内戦のリアルな描写のほうが印象に残る。原作を著したヘミングウェーは、志願して義勇兵としてこの内戦を戦った。そんな彼ならではの描写が、この映画版でも生かされているのだ。

ファシスト軍としてフランコ政権と戦う主人公たちだが、本作からは単純な善悪二元論では括りきれない、もっと複雑なものを感じる。

 

 

・『二十四時間の情事』

被爆地・広島を訪れたフランス人女優。そこでフランス語が堪能な日本人男性(既婚者)と知り合い、情事を重ねるというストーリー。

…とまぁ簡単に説明すればこうなるのだが、本作には明確なストーリーというべきものはない。「意識の流れ」というやつで、主人公女性が抱くイメージやら観念やらが流れるように連なって、本作を形作っているのだ。

ヒロシマ」を描いた本作だが、直接戦闘を描いたシーンはない。にもかかわらず作品全体に<戦争>が色濃く影を落としていることに観客は驚くことだろう。

本作では、昭和30年代の広島の街が描かれている。資料映像としても、大変に興味深いものだ。

 

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・『ベルリン 天使の詩

天使―といってもオッサンだけどね―が西ベルリンの街を見渡し、そこに生きる人間たちの哀しみに触れていく。

西ベルリンというのは、実に不思議な街だ。事実上西ドイツの飛び地だったものの、厳密には米英仏の占領地なので国際法上の地位はあいまい。そのためどこか無国籍な印象を与える。本作からはドイツ語以外に、英語、フランス語、さらには日本語までもが聞こえてくる。ドイツ統一から約四半世紀経った現在ではベルリン西部はどうなっているのだろう、とふと気になった)

(西)ドイツ映画である本作が制作されたのは、冷戦時代の末期。先ほど紹介した『二十四時間の情事』と同様、本作にも<戦争>が影を落としている。西側陣営の一角として経済成長を遂げた西ドイツ(西ベルリン)だが、一皮むけば第二次大戦の爪痕が顔をのぞかせる。直接の戦闘シーンはひとつもなくても、観客は<戦争>を否応なく意識させられる。

ラスト、天使は天使としての身分を捨て、ひとりの人間となる。すると、それまでモノクロームだった画面が一転カラーとなる。不老不死ではない人間だが、だからこそ世界の鮮やかさを感じられるのだ。

 

 

・『父の祈りを』

七つの海に覇を唱えた大英帝国にとって、いわば「獅子身中の虫」だったのが、(北)アイルランドだ。本作は、北アイルランド独立問題をめぐって実際に発生した冤罪事件を映画化したもの。

1970年代のイギリス。北アイルランド出身の若者がIRAのテロリストと誤認され逮捕されてしまう。当然無罪を訴える若者だったが、警察の脅迫的な取り調べによって「自白」してしまう。

いやぁ~、強制的に「自白」させるだなんて野蛮なことをやるのは日本の警察だけかと思っていたら、イギリスもやるんですねぇ! 驚きました。

北アイルランド人は、イギリス人なんだけど、イギリス人じゃない。そんな宙ぶらりんな、あいまいな立場が、なんとなく日本の沖縄と似てるかな、と思った。

 

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・『ダウン・バイ・ロー

落ち目のDJとチンピラ、英語がたどたどしいイタリア男の3人が、刑務所から脱走し、それぞれの道を歩む、という作品。86年の映画だが全編モノクロである。

イタリア男は脱獄後、シャバのレストランでこれまたイタリア系の女と知り合う。ふたりのやりとりがほほえましい。

ラスト、イタリア男はレストランのある街にとどまり、DJとチンピラはY字に分かれた道をそれぞれ別の方向へ歩んでいく。なんとも象徴的なラストだ。

 

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