Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第91回)

・『わが青春のフロレンス』

フィレンツェ(英語名フローレンス)といえば、我々日本人にもおなじみの観光地。だが、かつてはこの街でもーというかイタリア全土でー労働運動が展開されていたのだ。今の我々には想像もつかないことだが。

というわけで、20世紀初頭のフィレンツェを舞台に、労働運動にコミットする社会主義者の青年を描いた映画。

当初、アナーキストから影響を受けていた主人公が、社会主義者と出会うことで「より現実的な」社会主義へとコミットしていく、というあらすじは、政治思想史の観点からも興味深い。

舞台となるフィレンツェの街も、色彩を抑えた絵画のようなタッチで描かれていて、本作の芸術映画としての価値を高めている。

ラスト、ストを成功させるも騒乱罪で逮捕された主人公が留置所から出所、以降はもう警察のご厄介にはならないよ(=運動から足を洗う?)、と奥さんに約束し、家族で家路につく。

感動的なラストだ。

 

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・『モンパルナスの灯』

画家モディリアーニといえばヘンな顔の肖像画ばかり残したことで今日では世界的に有名な画家である。

が、生前にはその才能は評価されず、赤貧のまま死去した(画家ってホントこういうパターン多いよな)

そんな悲運の画家モディリアーニの生涯を描いたのが本作。彼の役をジェラール・フィリップが好演。破天荒かつ破滅型の芸術家の人となりをよく表現できている。

モディリアーニの内縁の妻ジャンヌを演じるのはアヌーク・エーメ。原節子に似てるな、と思った(←だから何だ)

 

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・『令嬢ジュリー

つい先日が夏至でしたね。我々日本人にとっては「あぁ、一年で一番昼が長い日ね」で終了だけど、白夜の国・北欧スウェーデンでは「夏至祭」としてそれはそれは盛大に祝われるのだそうな。

そんな夏至祭を舞台としたのが本作。主人公の令嬢ジュリーは、夏至祭の異様なハイテンションのなかで、使用人の男と関係を持ってしまう。ふたりは駆け落ちを約束するが、土壇場になって使用人は日和り、絶望したジュリーは自殺してしまう。

…とまぁ、基本的にはこんなお話なのだが、本作では回想シーンをふんだんに交えつつ、現在と過去とが常に交錯して話が進むので、ぼーっとしながら観ていると話の筋を追えなくなるかもしれない。観るときはじっくり観よう。

人々が躁状態になる夏至祭の非日常的な雰囲気を通して、人間の心の暗部が浮かび上がってくる。同じスウェーデンということで、イングマール・ベルイマン監督の諸作品を思い出しながら本作を観ていた。

 

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・『ジョンとメリー』

ニューヨークのとある朝。若い男と若い女が、同じ部屋同じベッドで目を覚ました。面識のないふたり。どうやら昨晩スナックで知り合ったが、その際の記憶がお互いに無いようだ。

ふたりはお互いに興味を持ち、徐々に距離を近づけていく…。

本作には、特にこれといったストーリーはない。都会的な洗練された部屋のなかでふたりが生活し、惹かれあうまでが淡々と描かれる。

本作は、1969年公開の映画。その前年1968年は世界中で学生運動が盛り上がり「革命の年」として記憶された。そのせいか、本作は不思議な“解放感/開放感”に満ちている。

ラスト、ふたりはまだお互いの名前すら知らなかったことにようやく気がつく。ふたりの名は…ジョンとメリー。おそろしく平凡な名前だった。

なんら特別なところのない、ごく普通の、ふたりの物語。

 

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・『リービング・ラスベガス

アル中の脚本家がラスベガスに行き、そこで娼婦と親しくなるも、最後は破滅に至るというお話。

まったく、破滅する人間を描くにあたって、ラスベガスほどふさわしい舞台はほかにあるまい。あの人間の欲望と物質主義を極限まで突き詰めたような街だからこそ、描ける物語がある。

主人公の脚本家を演じるのはニコラス・ケイジ。僕はこの人の濃ゆ~い顔がどうにもニガテなのだが(w)、本作では好演してました。

 

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・『いつも2人で』

中年の入り口にさしかかり、倦怠期に悩む夫婦。新婚時代の情熱を取り戻そうと、ふたりの思い出の地・フランスを訪れる。

先ほどご紹介した『令嬢ジュリー』と同様、こちらも回想シーンがふんだんに盛り込まれ、現在と過去が常に交錯しながら話が進む。とはいえ、こちらは夫婦の他愛もない日常をコメディタッチで描いているので、あんまり肩の力を入れて観る必要はないだろう。

主演はオードリー・ヘップバーン 最初見たときは「…あれ、オードリー、だいぶ老けちゃった…?」と心配になったが、回想シーンではちゃんと若々しい姿を見せてくれていて、ホッ。倦怠期の中年夫婦を演じるため、老けメイクをしていたんですね。