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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

ちょっと露骨すぎやしませんか―「中国推し」

先日の映画評にて取り上げたマット・デイモン主演のSF大作『オデッセイ』。

とても知的好奇心をそそられる、興味深い作品だったのだが、鑑賞していてひとつ気になったのが、作中におけるやや露骨な「中国推し」だった。

 

マット・デイモン演じる主人公が生存していることが判明し、NASAは彼を救うべく、救援物資を搭載したロケットを火星に向けて打ち上げる。が、緊急事態ゆえの突貫工事だったことが祟って、救援物資を載せたロケットは打ち上げに失敗、無残にも爆発してしまう。

万事休す! そんな折、NASAに救いの手を差し伸べるのが、意外にも中国なのだ。最終的に中国のロケットによって救援物資が地球軌道上に打ち上げられ、それを火星探査船が回収、ふたたび火星へと赴くのである。

 

…というわけで、普段から南シナ海東シナ海においてかの国のせいでさんざんイヤ~な目に遭っている我々アジア諸国の人間からすれば「ハァ? なんでよりにもよって中国なんだよ!」とマジギレ必至だろう。

もっとも、社会科音痴のアメリカ人ならば「中国? ああ、あの国のことはよく知っているよ。まだ山奥にはニンジャが住んでるんだよね」程度の知識しか持ち合わせていないだろうから、我々アジア諸国民のかの国への怒りがなかなか理解できないのかもしれない。

 

最近のアメリカ映画では、このテの「中国推し」の作品が結構多い。同じく宇宙からの脱出をテーマとした『ゼロ・グラビティ』でも、ラスト、主人公は中国の宇宙船に乗って帰還するし、まだ見てないのだけれど聞くところによると『インデペンデンス・デイ リサージェンス』でもこのテの中国推しが随所に見られるんだそうじゃないですか。や~ね。

 

インデペンデンス・デイ』シリーズは、ドイツ人のローランド・エメリッヒ監督作品だ。では同じくエメリッヒ作品である『2012』はどうだろう。

タイトルからわかるように、古代マヤ文明の2012年世界滅亡説に材をとったこの映画は、簡単に説明すれば、中国がチベット奥地に建造した超巨大箱舟に各国の要人が乗り込むことで、地球規模の大災害から人類という種を残そう、という話だった。

終盤、巨大箱舟に収容人数を上回る数の人間たちが押し寄せ、「自分だけ逃れるなんてずるいぞ! 俺たちも入れろ! 入れろ!」と口々に叫ぶ。各国の要人たちは頭を抱える。さぁ、彼らを助けるべきか否か!

このとき、「見捨てるだなんてかわいそうじゃないか。彼らを助けよう」と提案するのが、よりにもよってロシアと中国なのだ

よりにもよって、あのロシアと中国がですよぉ!

…これはもう、完全にアイロニー(皮肉)とみるべきだろう。

『2012』というのはなかなかに評価が難しい作品で、一見するとただのおバカ系パニック映画なのだが、「あ、これってアイロニーじゃーん!」とわかるや否や、にわかに面白くなる、という作品なのだ。

この作品の評価の難しさは、そのままローランド・エメリッヒという映画監督の評価の難しさへと直結している。

要は「この人はわざとやっているのか? それとも単にバカなだけなのか?」という話なのである(なんとなく後者のような気がするが…)

 

ハァ、それにしても昨今のハリウッドの「中国推し」、なんとかなりませんかねぇ