Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

日本の市民運動はもっと現実的になれ

先の東京都知事選で、いったんは出馬の意思を示したものの結局は取り下げた、元日弁連会長の宇都宮健児さん。

その宇都宮さんが、ハフィントン・ポストのインタビュー記事にて、日本のリベラルのあり方に警鐘を鳴らしている。とても興味深い内容だったので、ここにご紹介したい。

 

www.huffingtonpost.jp

宇都宮さんのインタビューのなかで、とくに重要と思われる個所をあらためて引用したい。

 

何を重視して投票するかといったら、景気、雇用、社会福祉が3割なんですよ。憲法とか原発は一桁台です。だから憲法問題を最前線に押し出して、ワンイ シューで戦うというのはもともと敗北主義ですよね。国民生活や、国民が今抱える問題についてもちゃんと解決策を打ち出して、期待に応えられて、かつ憲法改 悪阻止、反原発の人をつくりあげていかないといけないんですよ。反原発だけ言っておけば選挙に受かるかというと、受からないですよ。

 

まさに、今の日本のリベラルの問題点は、これに尽きると思う。

彼らはこれまで、あまりに経済をないがしろにし過ぎてきた。なるほど、たしかに憲法問題は重要だろう。原発問題も重要だろう。それを否定するつもりはない。

だが、国民にとってそれ以上に切実な問題が、経済なのだ。そもそも経済とは「経世済民」(世をおさめ民をすくう)のことではなかったか。

この点に関して、ノンフィクション作家の門田隆将さんが興味深い指摘をしていた。

小池百合子候補鳥越俊太郎候補は、右翼と左翼というよりかはむしろ、リアリスト(現実主義者)とドリーマー(空想主義者)という点で対照的であり、今回の都知事選はリアリストが勝利しドリーマーが敗北した戦いだったと総括できる、というのである。この見解に、僕もまったくもって同感だ。

上の宇都宮さんの記事は「日本の市民運動はもっと利口になれ」だったが、僕ならば「日本の市民運動はもっと現実的になれ」と言いたいところだ。

おもえば、日本のリベラルはこれまであまりにドリーマー過ぎた。彼らが本気で安倍政権に勝ちたいと思うのであれば、まずは「地に足をつける」ことだ。彼らがいつまでたっても夢のなかでまどろんでいる限り、安倍政権は今後も安泰だろう。

 

 

追記:日本のリベラルの主張で理解に苦しむのは、どういうわけだか緊縮財政を支持し、リフレーション(リフレ)政策に批判的なことだ。経済学者の松尾匡教授も指摘しているように、欧米基準ではリフレというのは左派の政策だ。緊縮財政は、結局のところ金持ちばかりを利することになるからである。

まず、左派が率先して(アベノミクス以上に純化された)リフレ政策を訴えるべきだろう。そのうえで、憲法問題、原発問題についても論じていけばいいのである。

 

追記その2(2016.8.8):今日、この記事を読み返してみて改めて思ったことだが、「もっと現実的にな」ってドリーマーからリアリストへと脱皮したのが、安倍首相なのだ。

彼は第一次政権時代に「戦後レジーム脱却」という、今思えばずいぶん抽象的なスローガンを掲げたが、その政権は1年ほどで終わってしまった。彼は、失敗の原因は経済を軽視したことだと反省し、経済学を猛勉強した。その成果がアベノミクスであり、今日の盤石なる第二次政権なのだ。

翻って、今日の左派の側に、安倍首相のように過去の自分をしっかりと反省できる人材がいるか。ドリーマーからリアリストへと脱皮できる人材がいるか。いないだろう。だから彼らは安倍首相に負け続けるのである。