読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

読書ノート(第1回)

最近読んだ本について、このブログで簡単に感想を書いていくことにします。

「第1回」と銘打っていることからわかるように、これからはシリーズ化しますw

 

・『火花』

傍から見るとなんだか楽しそうなんだけど、やってる本人にとっては正直つらい。そういう職業が、世の中にはいくつもある。

たとえば将棋棋士はそのひとつだろう。「将棋で食っていけるなんて楽しそうじゃーん」と思えるが(実際、将棋を仕事にできるなんて楽しそう、という理由で棋士になった人もいるらしい)、実際には勝ち負けによって年収が大きく左右される、極めてシビアな職業だ。

ピース又吉直樹『火花』を読んでいると、お笑い芸人もまた、そうしたシビアな職業のひとつだということがよくわかる。

…最初、お笑い芸人が芥川賞を取ったと聞き、失礼ながら「芥川賞ォ? 直木賞の間違いじゃねーの?」と思った。ところが本書を手に取ってビックリ。ちゃんと純文学している。

考えてみればたしかに、お笑いというのは人間の内面を深く洞察して初めて成り立つ、極めて知的な営みだ。欧米ではオックスフォード卒のコメディアンなんてざらである。むしろ、これまでお笑いと純文学とを接続できる才能がこの国にいなかったことこそが、驚くべきことだったのかもしれない。

筆者の今後が楽しみだ。

 

火花

火花

 

 

・『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

…ダメだw ドリーさんのレビューがあまりに素晴らしすぎて、もはや何を書いても勝てる気がしないwww

まぁ、それでもなんとか付け加えるとするなら、やっぱり言葉遣いが(村上の全盛期である)80年代のままでストップしてしまっている、というのがどうしても気になりますねぇ。

たとえば「コンピュータからメールを送り」という一節があるんだけど、なんか違和感。ここはふつう、「パソコンからメールを送り」って言わないか?

極め付きが、主人公の友人(30代男)が主人公を指して「お前はハンサムボーイだった」という一節。

僕自身、30代男性だから言わせてもらうけど、今を生きる30代男性の口から「ハンサムボーイ」なんて言葉が飛び出すことは、絶対にない。ここは絶対に「イケメン」と言うところ。

まぁ、こういうところが、上に挙げたドリーさんの言葉を借りれば「オシャンティーな村上作品」たる所以なんだろうなぁ…

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 

 

・『ローマ人の物語(3)勝者の混迷』

先日、僕がコミットしている某政治サークルの懇親会にて、「現代の政治はある意味、共和制時代のローマに似てきたんじゃないか」と話題になりました。

古代ローマには当然ながら、右翼と左翼の対立なんてありませんでした。あるのは「金持ちの味方(閥族派)vs庶民の味方(民衆派)」という対立軸です。

今日の政治の世界も、たとえば米大統領選は「リベラルのヒラリーvs保守のトランプ」ではなく「金持ちの味方のヒラリーvs庶民の味方のトランプ」という構図で捉えたほうがより適切ではないか、とそのとき話題になったのです。

そんなこともあって、この時代を扱った本書を手に取って読んでみた、という次第。

本著を読んで強く感じたのは、著者の塩野七生は基本的に歴女なんじゃないかということです(←!?)。彼女は、古代ローマ史における偉人たちがいかに男の中の男であったかを、なかば陶酔にも似た心境で綴っていきます。

…あぁ、塩野さん、1930年代生まれだからこうして歴史作家として大成できたけど、もし生まれるのがあと半世紀遅かったら絶対「マリウス×スッラ」だとか「ポンペイウス総受け」みたいなカップリングネタでハァハァしてたんだろうなぁ…と思ったのでした。

あ、なんか閥族派と民衆派の話が完全に飛んじゃいましたねサーセンwww

 

ローマ人の物語 (3) 勝者の混迷

ローマ人の物語 (3) 勝者の混迷