Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第112回)

・『スウィング・キッズ 引き裂かれた青春』

1939年のドイツ・ハンブルクを舞台に、ナチスに反抗するジャズ好きの若者たちの青春を描く。

嫌々ヒトラー・ユーゲントに加入させられた主人公の青年。ある日ナチの将校より、小包を届ける仕事を仰せつかる。小包を受け取った家の奥さんはなぜか泣き崩れる。気になった主人公が小包を開けてみると…

中に入っていたのは、ナチスに殺害された人の遺灰と遺品の指輪だった…というエピソードは、本作において最も強く印象に残る。

ホロコーストという未曾有の悲劇を、直接アウシュビッツを描くのではなく、あたかも遠方でこだまする雷鳴のように、日常の世界にときおり立つさざ波のようなものとして描く―これこそ、本当の「映画的表現」ってやつなんじゃないかな反戦映画というととかく「泣きながら戦争の悲惨さと命の尊さを訴える兵士」みたいなベタな演出ばかりの最近の日本映画界も見習ってもらいたいもんだね!)

 

…と褒めた後だけど、少々イジワルな指摘を(^^;

主人公たちの通うジャズバーの壁に、丸い目、厚ぼったい唇など、人種的特徴がかなりデフォルメされた黒人の描かれたポスターが貼ってあるのを、僕は見逃さなかった。

おそらく主人公や彼の周りのドイツ人たちに悪意はないのだろうし、当時としてはそうした黒人の絵が普通だったのだろうが、今日の視点からすれば、これは人種差別的だ。

劇中で、ドイツ人を美しく、ユダヤ人を醜く描いたイラストをナチの将校が示す場面があるが、黒人の人種的特徴をデフォルメしたポスターは、こうしたナチの人種プロパガンダと、どこが違うのか。

 

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・『殺人幻想曲』

いささか型破りな、名指揮者の主人公。

ある日、奥さんの浮気を疑った彼は、彼女を殺害しようと試みる。

その過程が何ともユニークなもので、ロッシーニワーグナーチャイコフスキーと3つの曲を指揮しながら、その主題に従って3通りの殺人方法を妄想するのだ(さすが指揮者!)

さて、その結果は…

コメディ・サスペンス映画の傑作だろう。

 

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・『シャレード

20世紀を代表する名女優、オードリー・ヘップバーン主演のサスペンス映画。

オードリーが(おそらくは財産目当てで)結婚した男が、殺害され、死体となって発見された。その日からオードリーは、夫のかつての知り合いと思しき、ナゾの男3人組につけまわされる羽目に…。

サスペンスらしく、終盤はどんでん返しの連続。

「え!? …まさか。いい人だと思っていたアノ人が…実はラスボス!?」

と疑っていると、さらなるどんでん返しが起こって…

…とまぁラストまでずっとこんな感じで、娯楽映画としてとても楽しかったです♪

オードリー、本作でもやっぱり可愛かった!(←ハイ、お約束)

 

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・『チップス先生さようなら

イギリスのパブリック・スクールに長年勤める名物教師を描いた『チップス先生さようなら』。以前、本ブログでも紹介したことがあります

前のは1939年公開のモノクロ版でしたが、今回ご紹介するのは1969年公開のカラー版。

まぁ、でもリメイク作品だからオリジナル版と基本的なプロットは同じだろうと高をくくっていたら…アレ、結構違うじゃんw(;^ω^)

39年版では、19世紀後半から第一次大戦までを描いていたけど、69年版は1920年代から始まって、そこから主人公・チップス先生のロマンスを中心に、第二次大戦後までを描きます。時代設定を、30年ほどズラしてあるのですね。

学識豊かだけど堅物の古典教師・チップス先生を、『アラビアのロレンス』でおなじみピーター・オトゥールが好演。「あるある。こういう生真面目な先生って、いるよな~」と、見ていてついニヤけちゃいましたw

ラスト。チップス先生のもとに、良いニュースと悪いニュースが同時に訪れます。困惑する生徒たちを前にチップス先生は…というシークエンスがたいへん感動的で、今回取り上げた5作品のなかで、本作が一番印象に残りました。

…え、何? ピーター・オトゥールが、チップス先生とは対照的に権力欲むき出しの王様を演じた『冬のライオン(68年)は、『チップス先生』と制作年がわずか1年違いですって?

あらやだ、信じらんない(^^;)

 

チップス先生さようなら(1969) [DVD]

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・『ショウ・ボート』

こちらも以前ご紹介したミュージカル映画『ショウ・ボート』のカラー・リメイク版。

…といっても、こちらは基本的なプロットも、劇中の楽曲もオリジナル版と同じです(今日見ればなんとも人種差別的なあらすじも同じ)

黒人の悲哀をうたった「オール・マン・リバー」("Ol' Man River")をウィリアム・ウォーフィールドが歌っていて、もちろんそれなりにスゴイんだけど、やっぱりオリジナル版のポール・ロブスンにはかなわないか…

 

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