Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

「どうして小金井なんだろうねぇ」

先日、友人を訪ねに、栃木・宇都宮に行ってきた。

 

宇都宮駅に着いて少しばかり驚いたのは、電車の終着駅が、実に遠くまで設定されているということだ。

なかには伊豆の伊東駅まで向かう電車すらあって、驚いてしまった。

 

これは、01年に開業した湘南新宿ラインと、15年に新しく開業した上野東京ラインのおかげである。

これにより、宇都宮線東北本線の電車が、従来の終着点であった上野駅よりさらに南、東海道線横須賀線にまで乗り入れるようになったのだ。

結果、栃木を出た電車がそのまま神奈川、静岡まで向かうのが当たり前となった。

 

このように長距離を走る電車は、関西では珍しくなかった。

関西には「新快速」と呼ばれる快速電車があり、これは福井県敦賀から兵庫県播州赤穂までをつないでいる。関西の東の端と西の端とをひとつの電車でつなげているわけで、かなり長距離の電車だ。

そしてこの関東でも、湘南新宿ライン上野東京ラインの開業によって、栃木から静岡までを結ぶ長距離電車が誕生した、というわけなのだ。

 

さて、栃木と静岡とが電車でつながったのはいいことだが、それまでは正直あまり縁のなかった県同士だから、お互いの地理がどうにもよく分からない。

栃木の人間にとっては、「沼津」とか「伊東」とか聞いても、どこにあるのかちんぷんかんぷん、というのが本音だろう。

同様に、静岡の人間にとっても栃木の地名はなんだかよく分からない。

 

こんなことがあった。

静岡県沼津市に住む僕の母が、沼津駅から小金井駅へと向かう上野東京ラインの電車を見て

「どうして(終着点が)小金井なんだろうねぇ」

と言った。

小金井駅は、宇都宮駅よりやや南方に位置する駅であり、沼津から見ると宇都宮の手前にあたる。

僕は上の言葉を

「どうして県庁のある宇都宮まで行かないんだろうねぇ」

という意味に受け取って

「いや確かに小金井駅宇都宮駅に比べたら小さいかもしれないけど、栃木では重要な駅のひとつなんだから、べつにそこで止まったってなんら不思議はないよ」

と答えたのだが、どうにも話がかみ合わない。

…やがて、母がどうやら東京・中央線の武蔵小金井駅と混同していたらしいことが分かってきた。

「やだ、栃木に小金井駅なんてあったの! 私はてっきり東京の小金井にある駅だとばかり思ってたよ!」

と母は、まるでアメリカ大陸の存在を南蛮人から知らされた戦国期の日本人のような顔で、たいそう驚いていた。

意外にも、鉄道・地理に詳しいはずの父ですら、母とまったく同じ勘違いをしていたようで、「栃木に小金井なんてあったのか!」とこれまた驚いていたのだそうである。

きっと、上野東京ラインの電車がどうして急カーブして中央線に乗り入れるのだろう、と訝しんでいたことだろう。

 

…というわけで、静岡人の栃木に関する認識というのは、まだ僻地の地図にドラゴンやら巨人やらの絵を描きこんでいたころの中世人の地理感覚と大差ないのである。

上野東京ラインの開業を機に、両県の相互理解が進むことを願ってやまない。