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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第124回)

・『ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦』

悪趣味な作風の監督さんも、たまには温かみのある人情映画を撮ってみたくなるものらしい。

カルト映画の巨匠として知られるデヴィッド・リンチ監督が『ストレイト・ストーリー』という人情物を撮ったのも印象的だが、サム・ペキンパ―監督による本作『ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦』もまた、そんな映画のひとつだ。

ペキンパ―監督といえば、『ガルシアの首』『戦争のはらわた』など、凄惨な暴力描写に定評のある監督だが、本作ではロデオ大会に挑む米中西部の男とその家族の物語を、彼にしてはかなり穏やかなタッチで描いている。

本作を見ていて「あ、面白いな」と思ったのは、酒場ですぐ乱闘を始める中西部の荒くれ者たちも、ひとたび国歌が演奏されるや、たちまちキリッとして襟を正すことだ。

こういう、良くも悪くも素朴な人たちが、先の大統領選でトランプに投票しただろうことは、想像に難くない。

 

ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦 [DVD]

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・『キリング・フィールド』

20世紀は、全体主義が猛威を振るった時代だった。おびただしい数の人命が、全体主義という名のリヴァイアサン(怪物)によって葬り去られた。

本作は、内戦真っただ中の70年代カンボジアにおける実話を映画化したもの。米国人ジャーナリストとその相棒のカンボジア人記者が、生き地獄と化したカンボジアを命がけで取材、最終的にはそこから脱出するまでを描く。

とにかく、クメール・ルージュがまるで息を吐くようにサクサクと人間を殺戮していく描写が、ただただ恐ろしい。

2時間20分とやや長めの映画だが、まったく長さを感じさせない。

ここまで全体主義の脅威を正面から描いた映画が、あっただろうか。

 

キリング・フィールド HDニューマスター版 [DVD]

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・『マリリン 7日間の恋』

マリリン・モンローローレンス・オリヴィエが共演した実在の映画『王子と踊り子』の制作舞台裏を描いた作品。

といっても、本作の主人公はマリリンではなく、彼女と恋に落ちる助監督の青年である。

上流階級の出身である彼は、本来ならば何もしなくても勤め口が見つかって、安定した人生を送れるはずなのだが(うらやましい!)、そういう「敷かれたレールの上をただ走るだけの人生」に耐えられなかった彼は、好きだった映画の世界へと飛び込み、助監督の仕事を任される。

助監督とはいっても、要するにただのAD―雑用係だ。そんな彼の前に、すでに世界的名声を獲得していたマリリンが現れる…。

面白いのは、登場人物がなぜそう振る舞うのか理屈で理解できないとセリフを覚えられない、というマリリンの描写。彼女の理知的な一面が垣間見える。

 

 

・『大統領の執事の涙

主人公は、ひょんなことからホワイトハウスで働くこととなった、黒人の執事。

彼の息子は、白人に媚びを売る(ように見える)父に反発し、黒人の権利拡張を目指す政治活動家となる。考え方の異なるふたりは、いったんは絶縁状態となるが、長い年月を経て、次第にお互いの思想、人生観を理解し、受け入れ、ついには和解に至る。

本作の魅力のひとつは、歴代大統領が多数登場すること。見るからに「リア充イケメン!」という感じでキラキラまぶしいケネディ大統領、普段は口うるさいけど、ここぞというときにはちゃんと公民権運動に協力してくれたジョンソン大統領、人懐っこいレーガン大統領…。

このレーガン大統領を演じているのは、アラン・リックマン。なんと、『ハリー・ポッター』シリーズで、あのスネイプ先生を演じた役者さんでもある。残念ながら今年(2016年)急逝してしまった。

とても感動的な社会派映画だと思ったけど、ひとつ難点を挙げるとするなら、やや“欲張り”すぎる印象があること。

「歴代大統領との絆」と「父と子の和解」という本作のふたつのテーマは、本来ならばどちらか片方だけでも十分にひとつの映画が作れるはずなのだけれど、本作は主要テーマをふたつも盛り込んだせいで、どちらもやや中途半端で終わってしまった印象がぬぐえないのだ。

どうせなら息子とのエピソードはバッサリ切って(!)、その分、歴代大統領との絆をじっくりと描いたほうが、主人公が歴代大統領の肖像画の掲げられた廊下を歩いてオバマ大統領のもとへ向かうラストシーンが、より一層感動的なものになったと思う。

 

大統領の執事の涙 [DVD]

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・『超高速!参勤交代

江戸期の大名たちにとって、結構重~い肉体的、経済的負担となっていたのが、参勤交代の制度だ。

本作はタイトルから分かるとおり、参勤交代のお話。悪老中から、わずか5日間で江戸城に参勤せよとの無理難題を仰せつかった、東北の小大名。家臣一同で知恵を絞り、あの手この手で「超高速参勤交代」を目指す。

西村雅彦扮する家老が繰り出す「とんち」が見どころの、良き娯楽映画でござんした。

 

超高速!参勤交代

超高速!参勤交代