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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

読書ノート(第6回)

・『中国経済はどこまで崩壊するのか』

中国経済は崩壊するのか、ではない。中国経済は“どこまで”崩壊するのか、である。

中国経済が崩壊するのはもはや前提なのだ。かの国のGDPが毎年10%以上成長していた00年代は、もはや遠い過去となった。

著者は、エコノミスト安達誠司さん。巷に多く出回っているいわゆる「中国崩壊本」はやや感情的にすぎるきらいがあるが、本著における安達さんの筆致はとてもクール。中国経済の現状を冷静に分析し、その予測されるシナリオを複数提示していく。

個人的に面白いと思ったのが第4章。僕も敬愛している社会学者・小室直樹さん(1932‐2010)の中国社会論をベースにして、現在の中国社会が抱える問題点を、これは経済学というよりかはむしろ政治学ないし社会学の観点から指摘していく。

感情的な「中国崩壊本」と違って本著は冷静だと書いたけれど、それでも本著を読むと、中国がこれから越えなければならないハードルがかなり高いものであり、結局のところ中国はこれを越えられないんじゃないかと思えてくる。

ひところは「21世紀は中国の時代」などともてはやされたものだが、どうやら中国は米国に代わる覇権国にはなれそうもなく、それどころかそもそも先進国になることすら難しいようだ。

 

 

・『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』

最近の優れた若手論客のなかには、「ネットが日本を変える!」的な安直なネット万能論や、反原発論などをシニカルに捉えるひとが少なくない。

以前このブログでもご紹介した社会学者の開沼博さんもそうだが、本著『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』の著者である社会学者・西田亮介さんもそのひとりだろう。

本著は、日本で初めて「ネット選挙」が解禁された2013年の参院選を振り返り、意外にもそれが大した効果を上げることができなかったと、数々のデータを挙げながら指摘している。

もちろん、だからネットは無力だというわけではない。西田さんはこう述べている。

≪これら(註:ネットでの情報)を、世界的にも類を見ない発行部数や同時視聴者数を持つマスメディアと、現段階では直接競合しないネットメディアがチェックしていくことにより、政治はチェックされることに敏感であるから、ネット選挙解禁を通じて政治を取り巻く新しい報道と衆人環視状況の出現は、政治の透明化を促す圧力になるのではないか≫(83頁)

気鋭の社会学者による冷静な論考が本著の魅力だ。

…ここからはまったくの余談なので、読み飛ばしていただいて構わない。

僕は以前、某社会学者のゼミに、いわゆる「もぐり」として参加していたことがある。その際、元ゼミ生という立場で時折ゼミに参加し、そのブリリアントな知性を披露してくれたのが、当時まだ大学院生だった西田さんだった。

というわけで、僕は実をいうと西田さんとは面識があるのだ。もっとも西田さんは僕のことなど忘れてしまっただろうけど。

今や売れっ子評論家となった彼の今後に、大いに期待したい。

 

ネット選挙とデジタル・デモクラシー

ネット選挙とデジタル・デモクラシー

 

 

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