Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第127回)

・『クレイドル・ウィル・ロック』

1930年代は、今思えばなかなかに面白い時代であった。

大恐慌真っ只中のアメリカ。不況のあおりを受け、俳優たちもまたその多くが失業の憂き目に遭っていた。そんな彼らを救済すべく、政府が打ち出した芸術家支援計画「連邦劇場計画」が、彼らの雇用に乗り出した…

本作は、複数のエピソードを同時並行的に描いている。

連邦劇場計画の支援のもと、マーク・ブリッツスタインとオーソン・ウェルズが演出した実在のミュージカル『ゆりかごは揺れる』(The Cradle Will Rock)の舞台裏、しかり。

ロックフェラーから壁画制作の依頼を受けるも、そのなかにレーニンの姿を描いたせいでロックフェラーの怒りを買い、ついには壁画を破壊されてしまった左翼画家ディエゴ・リベラ、しかり。

これら一連のリベラルな文化運動に対し、反発を強める保守派の人々、しかり。

1930年代は、それまで自明のものとされていた世界の秩序が崩れ、世界全体が混沌の渦のなかに巻き込まれた時代だった。

だが乱世は、乱世であるがゆえに、面白いのだ。

…その時代を生きていた当事者たちにとっては、たまったものじゃなかったろうが。

 

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・『パンチライン

タイトルの「パンチライン」とは何ぞ。

これは、日本でいうところの「大喜利」に、一番近い。短いジョークで観客を笑わせる芸のことだ。

日本人が大喜利が大好きなように、アメリカ人もパンチラインが大好き。

本作は、まだ若きトム・ハンクス演じるコメディアン志望の青年と、サリー・フィールド演じるお笑い好きのおばさんのふたりが主人公だ。

はじめはスベっていたけど、青年との交流を通じて次第にお笑いの才能を開花させていくおばさん。最後には、日本でいうところの綾小路きみまろ的な、中高年下ネタ路線を確立していく。一方、青年のほうはといえば、ちょっぴり毒の入った社会風刺路線へと転じていく。

終盤、テレビ出演のオーディションを兼ねた、パンチラインの大会が開かれる。果たして優勝の栄冠に輝くのは…

言葉の違いのせいなのか、文化の違いのせいなのか、アメリカのパンチラインを我々日本人が聞いても、イマイチ笑いどころがよく分からない、ということが結構よくある。

例えば劇中のこんなネタはどうだろう。

Q「ポーランド人の夫と結婚したせいで、長くてかたい(hard)ものが手に入りました。いったい何でしょう」

A「長くて難しい(hard)苗字です」

…うーん(;´・ω・)

 

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・『華麗なる週末』

子供のころは、ちょっとした悪ふざけでもなにやら「背徳感」のようなものを感じてしまって興奮するものだ。

僕自身の経験を振り返ってみてもそう。中学のころ、いとこの家に何日か泊まって、夜更かしをしたりエロ本を読んだりしていたら、なにやら妙にゾクゾク、ワクワクしたものだ。

本作を見ていて、そのときの感覚をひさしぶりに思い出していた。

1905年のアメリカ、ミシシッピ州。裕福な家の少年と、その家で使用人として働いているふたりの若者が、主人が葬儀に参列するため家を空けるのをいいことに、当時まだ珍しかった自動車に乗って、お隣の州にあるメンフィスの街へと旅に出る。そこで数々のトラブルに巻き込まれながら、少年は成長していく。

見終えた後、「あぁ、いい映画を見たなぁ…」としみじみとした気分になった。

 

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・『危険な関係

18世紀フランスの作家ラクロによる同名小説を原作として、舞台を20世紀フランスへと置き換えた作品。監督はロジェ・ヴァデム。

先日ご紹介したエスニックジョーク映画『素晴らしきヒコーキ野郎』では、フランス人は女に目がない民族として描かれていたが、まさにその通りw 愛を語らせれば、フランス人の右に出る民族はいないのである。

その点、セックスレス民族・日本人の一員である僕には、男女の機微、とでも言えばいいのだろうか、こういう世界はイマイチよく分からなかったりする(;^ω^)

舞台を大胆にも20世紀フランスへと置き換えた本作、BGMも20世紀らしく、一貫してモダンジャズだ。それとモノクロの映像がシンクロして、オトナの魅力を醸し出してくれている。

 

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・『パブリック・エネミー

1930年代は、今思えばなかなかに面白い時代であった(←本日2回目)

この30年代にアメリカで大暴れした実在の「義賊」ジョン・デリンジャーの生涯は、これまでに何度も映画化されており、そのうち1974年公開の『デリンジャー』は以前このブログでも取り上げたことがある。

今回ご紹介するのは、2009年に公開された最新バージョン。主演は『パイレーツ・オブ・カリビアン』でおなじみ、ジョニー・デップだ。

荒くれ者だが同時に神経質そうでもあるデリンジャーを、ジョニーが好演。その甘~いマスクにもかかわらず、一癖も二癖もある登場人物を好んで演じることで有名なジョニーだが、本作のデリンジャーは彼にしては珍しく正統派二枚目キャラなんじゃないかな。犯罪者だけどw

タイトルにもなっている「パブリック・エネミー」(public enemy)は、日本語に訳せば「社会の敵」となる。日本語ではあまり聞き慣れない表現だが、英語圏ではとてもよくつかわれる表現のようである。