Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

『真田丸』最終回を見終えて~

NHKの大河ドラマ真田丸』が、ついに最終回を迎えましたね。

巷で、ネット上で、ずいぶんと話題になった本作、このブログでもたびたび取り上げてきました。

最終回をご覧になった皆さん、どう思いましたか?

 

僕は、素晴らしい最終回だと思いました。

俳優のみなさんの好演が光っていましたね。

特に、徳川家康役の内野聖陽さんと、本多正信役の近藤正臣さん。僕は、『真田丸』のなかではこのふたりの演技力がトップクラスだとつねづね思ってきました。

最終回でうれしかったのが、あの「かわいい家康」が戻ってきてくれたこと。

真田丸』序盤、神君伊賀越えのシーンで涙目になりながら「わーっ!」と山道を越える家康がかわいいと、ネット上で大変な評判となりました。

ところが物語が大坂の陣に突入してからは、なんだか「わかりやすい悪役」という感じになってしまいました。僕はこれを「徳川のショッカー化」と呼ぶことにしているんですけど(w)、幸村ら大坂五人衆が戦隊レンジャーみたいになるのに対して、徳川方は悪の組織みたいになっちゃうんですね。

真田丸の戦いを描いた回でも、家康と秀忠の「…完敗じゃ」「…次の策を考える」という会話が、いかにも戦隊レンジャーに撃退された悪の組織のリーダーと幹部の会話、みたいな感じで思わず苦笑いしちゃいました(;^ω^)

ところが最終回では、家康がまた「わーっ!」と逃げ出すんですね。このときの家康の表情が、ちょうど神君伊賀越えのときと同じだというので、ネット上では話題になりました。うーん、内野さん、やっぱりうまい!

家康の話ばかりしちゃったけど、本多正信も最終回では好々爺って感じでかわいかった。正信は、大坂の陣の前まではなんかボケちゃった感じだったけど、いざ大坂の陣が始まるとみるみる元気になっていって、笑っちゃいました。この人も、乱世になると元気になるタイプの人だったんだなぁ…

 

徳川ばかりじゃありません。真田の家臣たちももちろんよかった。「高梨NIKE」こと高梨内記も最後まで渋くてカッコよかったし、堀田作兵衛もよかった。

作兵衛を演じる藤本隆宏さんは、近年の大河ドラマの常連的存在。『坂の上の雲』の広瀬中佐役もカッコよかったし、『平清盛』の藤原忠清役もGOOD。今後も名脇役として大河ドラマを飾ってほしいです。

長澤まさみさん演じるきりも、最後には見違えるほどいいヒロインになりましたね。序盤では「なにこのヒロイン、うざっ」と思ったものだけど、物語が進むにつれて、もっとウザい女たち、すなわちメンヘラの茶々とかヤンデレの嫁・春とかが出てきて、「…あぁ、このなかだったら、消去法できりだな」と思うようになりましたw

これは前にも書いた記憶がありますけど、きりのウザさって厚かましいおばさんのウザさなんですよね。これならまだ、慣れる。でも茶々のウザさは、メンヘラのウザさなんですよ。じゃあどっちのウザさのほうがタチが悪いかというと、これはもう完全に、後者のほうがタチが悪いと思うわけです。

というわけで、『真田丸』のヒロインは、なんだかんだでやっぱり、きりで決まりですね。

長澤まさみさんは、昔はいかにも「清純派!」って感じだったけど、もうアラサーだし(w)、脚本の三谷幸喜さんもそろそろ彼女を清純派から完全に卒業させてあげたいと思ったのでしょうね。そうして、きりのキャラクターが生まれたのだと思います。

きりの面白いところを挙げると、最後までずっと信繁(=幸村)と一緒にいたのに、ついに信繁と正式には結婚しませんでしたよね(史実では高梨内記の娘は信繁の側室だったらしいですが)。このあたり、結婚という形にとらわれない、男女の新しい関係性を描いているようで、とても興味深かったです。

 

最後まで笑いを入れてあるところも、『真田丸』らしくて良かった。

最終盤、幸村は切腹する直前、佐助に「いくつになった」と問う。佐助は「五十五でございます」と答える。なんと! 佐助は幸村よりも年上だったのですねw(幸村は49歳)

で、幸村は(え、お前って、そんな歳だったの!?)と内心驚いたのでしょう、しばし沈黙した後、「…疲れたろう」と問う。佐助は「全身が痛うございます」と即答する。

このやり取りには、笑えましたw

主人公の最期だというのに、笑いをぶっこんでいくんですね。さすが三谷幸喜、と感服しました。

 

このように素晴らしい最終回だったと思うのですが、ネットでの反応を見てみると、意外や意外、賛否両論なんですね。

どうして「否」があるのかというと、いくつか理由があって、ひとつは合戦シーンがショボいことw

まぁ、これは仕方ないですね(;^_^A ハリウッドじゃあるまいし。日本のドラマじゃ、これが限界でしょう。みなさんが受信料をちゃんと払わないからですよ~

ところがもうひとつ理由があるのです。戦場で幸村と家康が一対一で対話するシーンが、あまりに荒唐無稽すぎるんじゃないか、と。

僕は、その批判は違うと思います。あのシーンは、あれでいいんです。

ここからはちょっと難しい話になってしまいますが、あれは幸村vs家康という固有名詞同士の戦いではないんです。

あれは、戦国時代vs江戸時代という抽象名詞同士の戦いなんです。とても抽象的な戦いなのです。だからこそ、あのシーンでは意図的にリアリティーが排除されているんです。

そしてもうひとつ重大なポイント。幸村が戦国時代という時代を体現する存在なのはいいとして、家康はどうなのか。

実は、家康もまた戦国時代の側にいるのです。ナレーションでもあったように、彼は「最後の戦国武将」なのですから。そういう意味では、実は幸村と家康は敵ではないのです。同じ者同士なのです。

では江戸時代を体現する存在は誰か。もう分かりますね。

秀忠です。

幸村、家康と違って、彼は来るべき新時代の象徴なのです。

もう一度振り返ってもらいたいのですが、『真田丸』において、秀忠は「現代っ子」的なキャラとして描かれてきました。男臭~い登場人物が多いなかで、星野源さん演じる「戦ぁ? マジだりぃんスけど~」的な脱力した佇まいの秀忠は、なんとも印象的な存在でしたね。

彼こそが、来るべき江戸時代そのものなのです。そしてその江戸時代(=秀忠)が、戦国時代(=幸村)にとどめを刺した。

幸村が家康を討つのではなく、家康が幸村を討つのでもなく、秀忠が幸村を討つ。

これこそ、この最終回の、否、『真田丸』というドラマそのものの、クライマックスなのです。

それが描かれているのを見て、僕は最高の最終回だと確信しました。

 

…冗談抜きで、『真田丸』って、僕がこれまでに見てきた大河ドラマのなかで最高傑作じゃないかなぁ。

10年代に入ってからは、『龍馬伝』が良かったし、(これは厳密には大河じゃないけど)坂の上の雲』も良かったし、『平清盛』も良かった。けれど、『真田丸』はこれらを超えましたねw うんw

そういうわけで、来年からはもう大河見ませんw これ以上の大河はそうそう現れないでしょうから。20年代に入ったあたりから、また見ようかな、大河。

 

堺雅人さんはじめキャストのみなさん、NHKのスタッフのみなさん、そしてなにより脚本の三谷幸喜さん。あなたがたのおかげで、近年まれにみる傑作大河が誕生しました。

一年間、本当にお疲れ様でした。