Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第128回)

・『潮風のいたずら』

高慢ちきな金持ちの女主人公。

ある日、自家用クルーザーから誤って転落した彼女は、記憶喪失に陥り、自分がどこの誰かすらわからなくなってしまう。

そんな彼女の前に現れたのが、ある大工の男。実をいうと彼、以前に彼女のクルーザーの船内家具を制作したものの、彼女の不興を買い、結局代金を支払ってもらえなかった、という過去のある男なのだ。

「記憶喪失? OK。それなら代金のぶん、ウチで家政婦として働いてもらおうか」というわけで、彼女は大工から自分の妻だとウソの情報を信じ込まされ、彼やその4人の息子たちと同じ屋根の下で暮らすことに…

とまぁ、そんな内容のコメディ映画である。主人公の女は、とにかく金持ちでこれまで家事なんてやったことがないものだから、炊事、洗濯、どれもこれも途轍もないことになってしまう。

僕はこれでも一応、10年以上ひとり暮らしを続けてきた身だから、「あぁぁぁ!!そんな家具の使い方しちゃダメだぁぁぁ!」と叫びそうになることが何度も(w

ラスト、詳細なネタバレはもちろん避けるが、上流階級の一見リッチだけれども実りのないライフスタイルが批判的に描かれ、反対に大工一家のつましい生活が肯定される。

なんともアメリカらしい映画じゃないか。肯定されるべきは、貧しくても楽しい我が家!

 

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・『ジョイ・ラック・クラブ』

米国へと渡ってきた4人の中国人女性と、その4人の娘たち、それぞれがこれまでたどってきた半生を描く。

製作総指揮は『プラトーン』でおなじみオリバー・ストーン(監督ではない)

20世紀は、中国にとってまさしく激動の時代であった。その激動を乗り越えた4人の女性たちが語る物語は、どれもこれも重みがある。

一方、米国で生まれ育った2世である娘たちは、母たちとは違って、仕事、離婚など、なんとも現代的な悩みを抱えている。ここに、世代間の相違がはっきりと表れる。

十人十色ならぬ十人十話。それぞれの人にそれぞれの物語があるのだなぁ、とあらためて思い知らされる。

しみじみとしていて、ペーソスが漂っていて、アメリカ映画なんだけど、ヨーロッパ映画の香りのする、そんな一作だった。

 

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・『ヒーロー 靴をなくした天使』

ダスティン・ホフマン演じる、コソ泥の主人公。

ある日、彼の目の前を大型旅客機が不時着(!)し、根は善良な主人公は必死になって中の乗客たちを救助する。彼のおかげで奇蹟的に死者ゼロとなったが、他に予定のあった主人公は取材を嫌がり、その場を去ってしまう。

このとき、彼は靴の片方を現場に置き忘れてしまった。

マスコミは、姿を消した「謎のヒーロー」を追って、過熱気味の報道合戦を繰り広げる。やがて、ヒーローは俺だと名乗り出る者が現れた。

だがそれは主人公ではなく、彼から要らなくなった靴の片方を譲り受けた、ホームレスの青年アンディ・ガルシアだった。本物のヒーローたる主人公を差し置いて、マスコミは青年を「本物のヒーロー」として祭り上げていく…

映画自体は、金曜ロードショーあたりで放送されそうなコメディ色の強い作品だったけど、僕はどうしてもメディア論という観点から本作を見てしまう。

メディアは時として、ヒーローをでっちあげることがある。佐村河内事件を経験したわが国にとっても、決して他人事ではないテーマのはずだ。

 

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・『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』

水兵の男が、シアトルのバーで女と知り合う。その女には、前夫との間にもうけた混血の息子がいた。水兵に対し、はじめのうちは反抗的な態度をとる息子だったが、水兵はゆっくり時間をかけながら息子と交流、絆を深めていく…。

特段ドラマチックな出来事が起こるわけでもなく、なにげない日常を通じてふたりが交流を深めていく様子を、本作はしっとりとしたタッチで描いてゆく。

タイトルともなっている「シンデレラ・リバティー」とは、海軍用語。港へ遊びに出た水兵は夜の12時までに艦に戻らないといけないことから来た言葉だ。

 

 

・『ジュリア』

実在の女性作家リリアン・ヘルマンの自伝を映画化した作品。

1937年、リリアンは、幼馴染で現在は反ナチ・レジスタンスに参加しているジュリアに活動資金を送るため、ベルリンへと向かう。当然、ナチス憲兵に見つかったらただでは済まない。リリアンがベルリンに着くまでのサスペンスが、本作の魅力のひとつだ。

(他の魅力は…リリアンとジュリアの百合的な関係性だろう)

映像も美しい。見ていて印象的だったのは、主人公の瞳やイヤリングがやたらと光ること。「あ、人間の目って、こんなにも光るものなんだ!」ーこれはちょっとした発見だった。

主演は、ジェーン・フォンダ。シリアスな本作では、終始険しい表情だ。とてもあの『バーバレラ』の能天気ヒロインと同じ人とは思えない。女優さんって、やっぱりスゴいね。

なお、ジェーンは左翼的な言動で有名な人物でもある。