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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

おすすめイタリア映画5選

・『自転車泥棒』

イタリアのネオレアリズモ映画のなかでも傑作との呼び声高いのが、ロベルト・ロッセリーニ無防備都市』と、ヴィットリオ・デ・シーカ『自転車泥棒』だ。

だが僕に言わせれば無防備都市』はクソ。この『自転車泥棒』こそが、真に傑作と呼ぶに値する作品だ。

第二次大戦終結から間もないローマ。失業者の主人公はようやく新しい仕事にありつくことができ、大喜び。だがそれもつかの間、仕事初日に自転車を盗まれてしまう。自転車がなければ仕事ができず、失業者に逆戻りである。

必死になって探すが、探せども探せども自転車は見つからない。ついに魔が差した主人公は、他人の自転車を盗んでしまう。だがすぐに持ち主に見つかり、あやうく逮捕されかける。途方に暮れる主人公を描きながら、本作は静かに幕を下ろす…。

この映画のどこが素晴らしいのか。

無防備都市』のほうはといえば、レジスタンスの主人公がナチスと戦う話だ。主人公は最後までナチスに抗い続け、ついには処刑される。彼はどんな拷問にも屈しない、宮本顕治的なキャラクターとして描かれる。

左翼ならこれを見て感動するのかもしれないが、あいにく僕は左翼ではないので「ンな奴いるかよ!」と思わずツッコミを入れたくなる。

一方、『自転車泥棒』では、主人公は最後、誘惑に負けて自ら悪に手を染めてしまう。主人公はなんとも弱い。だからこそ、彼は人間なのである。

この映画には、ちゃんと人間がいる。

 

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・『イル・ポスティーノ』

政治犯として祖国・チリを追われ、イタリアの片田舎での亡命生活を余儀なくされた、世界的に著名な詩人。世界中から寄せられる彼へのファンレターを届けるべく、地元の貧しい青年が臨時の配達員に採用される。無学ながらも懸命に詩人から詩を教わろうとする青年。二人の風変わりな交流が始まった。

本作の主人公たる詩人パブロ・ネルーダ、なんと実在の人物である。彼がイタリアで過ごした亡命生活にインスパイアされてできたのが本作。ただし配達員の青年などはフィクションだ。

ネルーダは、左翼の政治犯。本作には、左翼のデモ集会などのシーンもあるものの、政治色は抑えられているので、そういうのが苦手な人でも安心して見ることができるだろう。

 

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・『BARに灯ともる頃』

ローマ近郊の港町。ある日、ローマから年老いた父親が息子を訪ねにやってきた。

息子は大学出のインテリだが、現在は兵役に就きながら港町でぶらぶら生活しているようだ。父はそんな息子の将来に気を揉むが、どうやら息子は息子なりに、うまい具合にやっているようだ。父は、これまで知らなかった息子の一面を知る。

本作は、父と息子の物語。親子とはいっても、もう大人の男同士だ。大人の男が腹を割って話すには、やはりBARこそがふさわしい。

息子が年老いた父の顔をじっと見つめるシーンが印象的。父親役のマルチェロ・マストロヤンニの顔がアップで映る。額のシワ、白髪まじりの髪が画面いっぱいに映し出される。

…ああ、そうだ。彼(息子)くらいの年齢になると、年老いた父の顔って、こんな感じになるよなぁ。

 

 

 

・『ジンジャーとフレッド

タイトル通り、主人公は米国ミュージカル界のスーパースター、ジンジャー・ロジャースフレッド・アステア“のそっくりさんの”イタリア人。

すでに老境に入ったふたりだが、ひさびさにテレビ出演することに。高齢のため体ももはや満足には動かない。それでも老体に鞭打って踊るふたりを見て、人々は喝采を送る。

監督は、難解な作風で知られるフェデリコ・フェリーニ。欧州の巨匠が米国のミュージカルスターという一見不釣り合いな素材を料理すると、なるほどこうなるのか、と感心してしまった。

主演女優はフェリーニ作品の常連である―そして監督のプライベートでのパートナーでもあった―ジュリエッタ・マシーナ

若いころの彼女はお世辞にも美人とは言い難く、『カビリアの夜』を見たときなぞ、僕は「なんだ、この大阪のオバチャンが金髪のカツラかぶってるような感じのヒロインは!」と唖然としたものだった。

そんな彼女も、年齢を重ねたことで、むしろ女性としての魅力が増した印象だ。

長年、映画スターのそっくりさんとして活躍した主人公ふたり。彼らが最後に活躍した舞台がテレビというのも皮肉な話だ。

本作が公開されたのは80年代。映画がテレビに娯楽の王様の座を譲り渡してしまってから、すでに久しかった。

 

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・『ニューシネマパラダイス

南イタリアの、ある田舎町。

まだ娯楽が少なかった時代、町の人々にとっての唯一の娯楽は、映画であった。

主人公の少年もまた、大の映画好き。彼の一番の友人は、映画館で働く映写技師の男だ。

だが男は不運にも、フィルムが原因の火災で失明してしまう。少年は彼の助手となり、映画館で働き始める。

長じて、映画監督として成功をおさめた主人公は、田舎町へと帰ってくる。この間、イタリアは経済成長を遂げ、町には自動車も目立つようになった。

だが思い出の映画館は、いまや閉鎖されていた。主人公は誰もいない客席をひとり歩き、かつてにぎやかだった時代を思い出す。

…主人公が帰郷した理由は、映写技師の葬儀に出席するためであった。

 

本作のもうひとつの主人公と言えるのが、あの有名な主題曲「Cinema Paradiso」だ。

 

 

 

まとめ

イタリア映画の特徴として、「左翼的な映画が多い」という点が挙げられる。

主人公が、政治集会やストライキに参加するというシーンが、やたら多いのだ。同じラテン文化圏に属するフランスの映画とは、明らかに異なる特徴である。

もっとも、僕は左翼的な映画はあまり好きではないので、今回は政治色の薄い作品を選んである。