Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

おすすめ最近の日本映画5選

今回は、最近の日本映画を取り上げようと思います

もっとも、「最近」と言っても一昔前ゼロ年代後半~)の映画ではありますが…(;^ω^)

 

・『接吻』

…正直に言うと、僕、小池栄子サンって、昔は単におっぱいがデカいことだけが取り柄のタレントさんだとばかり思ってました。

ところがどっこい、バラエティー番組などでの彼女を見ると、意外と知的な人であることが分かり、驚きました。

そしたらさらに驚くことになったのが、この映画。彼女は、主人公の病んでる女を怪演しています。

殺人事件の容疑者のもとに足しげく通う主人公の女。マスコミからの取材に対して、彼女がニタァと病的な笑みを浮かべるシーンが本作の真骨頂。

これにはゾッとしました。本作は、このシーンに尽きる。

かのトヨエツが脇を固めてはいるけれど、いやいや、これはもう完全に、小池栄子の映画です。

…いやぁ、恐れ入りました。

 

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・『さんかく』

平凡なカップルの前に、ある日、女のほうの妹が転がり込む。

見るからにアイドル然としたこの妹(実際にAKBのコが演じている)を見て、男はたちまちストーカー化(w)、彼女に付きまとうようになってしまう。

それを見て妹に嫉妬した女までもがストーカーとなってしまい、男に付きまとうようになる…。

現代日本社会の病理ともいえる、ストーカー。決して他人事などではない。

現代においては誰もがストーカーになりうるのだということを示している点で、本作はまぎれもなく“社会派”の映画である。

 

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・『川の底からこんにちは

これまで妥協だらけの半生を送ってきた、満島ひかり演じる女性主人公。そんな彼女が、ひょんなことから実家のしじみ工場を継ぐことになって…というお話。

この映画の、良いところはどこか。

主人公は、自分には価値がないと考えるからこそ、元気づけられるのだ。

…もう一度言う。主人公は、自分には価値が「ない」と考えるからこそ、元気づけられるのだ。

 「…え、価値が“ある”の間違いじゃないの?」とみなさん思われるだろう?

違うのだ。

自分には価値があると思っている人間は、だからこそ、自らの価値に瑕がつくことを恐れ、新しいことに挑戦するのをためらってしまう。

一方、自分に価値がないと思っている人間は、もはや失うものなど何もないのだから、恐れることなく、新しいことにガンガン挑戦できるのである。

 ニヒリズム虚無主義は必ずしも人間から生気を奪わない、それどころかむしろ人間を元気にさせることすらあるのだ、と再認識させてくれる、とても優れた映画だ。

 

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・『フィッシュストーリー』

 これは、「歴史とは何か」を教えてくれる、優れた寓話だ。

1975年、1982年、1999年、2009年、2012年…と複数の年におけるエピソードがそれぞれ並行して展開され、観客は「一体何がどうなっているんだ、この映画は!?」と唖然とさせられることだろう。

が、最後の最後でこれらエピソードが(本作のタイトルにもなっている)「フィッシュストーリー」によって奇跡的に統一される。それがこの映画の見どころだ。

本作ではそれがあまりにも漫画的に描かれているが、考えてみれば、歴史というのは、そもそもそういうものではなかったか。

ほんの些細な偶然がきっかけで、次々と連鎖反応のように事件がおきていき、やがては歴史上の大事件(人類滅亡の回避!)へとつながっていく。まさにカオス理論でいうところの「バタフライ効果」そのものだ。

歴史に、法則などというものはない。すべては、偶然の産物なのだ。

…それにしても、ラストでロケットを発射して人類を救うのが、「あの国」とは…。そのあまりに絶妙すぎるチョイスに当初は驚愕しながらも、最終的には「…うん、そうか、考えてもみれば21世紀の世界を救えるのは、やっぱりあの国しかないのかぁ。伝統的に理数系に強い国だしなぁ…」と妙に納得してしまったのでした(^_^;)

 

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…さて、最後の1本はどうしようか。『SR サイタマノラッパー』もいいかなぁと思ったのだが、ひとつくらいは戦争映画が入っていてもいいだろう。

ということでこの1本。

 

・『野火』

 僕は塚本晋也という映画監督の魅力が、これまでどうにもよく理解できなかった。

出世作の『鉄男』こそスゴイと思ったものの、『東京フィスト』も『バレット・バレエ』も「なんだか痛そうな映画だなぁ」としか思わなかったし、『KOTOKO』も「あ~めんどくさそうな女だなぁ」としか思わなかった(あ、ただ『六月の蛇』はわりと楽しめたw)

今回の『野火』を見て、塚本監督の映像作家としての凄みが、ようやく理解できた。

間違いなく、塚本監督の最高傑作だ。

のみならず、ここ最近の日本の戦争映画の中でもベストの出来だろう。これから、塚本作品を未見の人がいたら絶対に本作を観るよう勧める。それくらいの映画だ。

本作は、いうまでもなく大岡昇平の同名小説が原作。旧日本軍の兵士が南方の戦場にて<地獄>を目撃する。

冒頭で旧日本軍の想像を絶するブラックぶりが描かれ、終盤までグロテスクな戦争描写が続く。その凄惨さは『プライベート・ライアン』のかの有名な冒頭20分のシークエンスにも、決して引けを取らない。

ここ最近の日本の戦争映画・ドラマに頻出する「戦場で泣きながら戦争の悲惨さと命の尊さを訴える兵士」(のドアップ)みたいなベタすぎる演出は、この映画には皆無だ。ただただ、戦争によって現出した<非日常>の世界が淡々と描かれるのみである。

本作は、かなりグロテスクな映画だ。間違っても、カップルがいちゃつきながら観るような映画ではない。だが、本作を見終えて僕は「日本映画って、まだまだ捨てたもんじゃないな」とずいぶんと勇気づけられたのだった。

 

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