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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『国民のための戦争と平和の法』 

先日は社会学者・小室直樹先生(1932-2010)と評論家の渡辺昇一氏(1930‐)の対談本を取り上げた。

今日は小室先生と元外交官の色摩力夫(1928‐)の対談本『国民のための戦争と平和の法』(総合法令)を取り上げるとしよう。

なお、小室、色摩両先生の対談本を取り上げるのは、本ブログではこれが2回目となる。

 

本著が刊行されたのは、1993年。ちょうど国連のPKO(平和維持活動)で日本人として初の死者が出たときであった。

小室、色摩両先生は、この事件を切り口に「国連とは何か」、「国際法とは何か」をテーマに語ってゆく。

これらの解説ももちろん面白いのだが、個人的に一番興味深かったのは、「ディスカッションのためのテーマ」と題された一連のコラムであった。

このコラムのなかで、小室先生は社会学でいうところの「社会的事実」(fait social)や、成文法と慣習法の違い、「主権」(sovereignty)の概念などについて、わかりやすく解説してくれている。

小室先生は時事問題に関する文章も多く残したけれど、僕としてはやっぱり、こういうアカデミックな文章が一番面白いと感じる。

 

本著では、色摩氏がまえがきを、小室先生があとがきを担当している。

その色摩氏のまえがきで「本当にその通りだよなぁ」と感心した箇所があったので、以下に引用する。

≪『ソビエト帝国の崩壊』(光文社)を出版されてから、小室さんは、大衆啓蒙の華々しい教師に変身された。およそ、研究者としての才能と教師のそれとは、全く異質のものである。戦後の教育制度の失敗の一員は、このことを混同したところにあると私はみている。それはさておき、小室さんは、社会科学の研究者として一流、そして教師としても一流である。この二つを兼ね備えている人物など滅多にいない。≫(「まえがきにかえて」ⅲ頁)

まさしく、小室先生は天才社会学者であると同時に、教育者・啓蒙家としても超一流であった。

 

国民のための戦争と平和の法―国連とPKOの問題点

国民のための戦争と平和の法―国連とPKOの問題点