Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

先日の『日曜美術館』が神回だった件

僕が毎週楽しみに見ているテレビ番組のひとつに、Eテレ『日曜美術館(日曜朝9:00‐10:00)がある。

先日(12日)の放送では、宋代中国の青磁が特集されていた。

ちょうど今、大阪市立東洋陶磁美術館にて、「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」なる特別展を開催しているので、それに合わせての放送なのだろう。

 

www4.nhk.or.jp

 

結論から言うと、稀に見る神回だった

一見ごく普通の、水色のトレイのように見える青磁だけど、この青空のような淡い色を作り出すのは、熟練の職人の腕をもってしても、至難の業なのだという。

20世紀、中国で宋代の青磁の窯の跡が発見された。そこからは、発色が悪かったばっかりに廃棄されてしまった青磁の破片が多数出土したという。

ほとんどの青磁は、このように失敗作として廃棄されてしまった。ごく一握りの、神に選ばれた青磁だけが、宝物として現代まで残されているのだ。

 

この青磁に魅せられた陶芸家は数多い。

現代日本の陶芸家も、宋代のような青磁をこの21世紀に蘇らせようと試みている。先日の『日曜美術館』では、そんな陶芸家たちの悪戦苦闘の様子を伝えていた。残念ながら、どうにもうまくいかないようだ。

僕らは、技術というものは進歩するのが当たり前だと思っている。確かに科学技術はそうだ。19世紀よりも20世紀のほうが優れており、20世紀よりも21世紀のほうが優れている。

だが、美術の世界では必ずしもそうではない。昔の人のほうがマジ半端なくすごくて、今の人間はどう抗っても敵わない、という事例は往々にしてよくあるのだ。

たとえば青磁がそうであるように…。

 

青磁がつくられたのは、宋の時代のこと。

日本人にとっては、唐や元と比べるとやや印象が薄いかもしれないが、宋というのは、非常に経済・文化が繁栄した国であった。

特に経済の隆盛はすさまじいものがあり、資本主義が勃興する一歩手前くらいのところまで行っていたという。

宋の時代に科挙のシステムが完成したこともまた見逃してはならない。

 

宋を代表する文化としては、水墨画が挙げられる。

僕は、小学生のときに市内のホテルでたまたま展示されていた水墨画を見て、感激した経験がある。

水墨画を見ていつも感じるのは、日本と宋は、美に関する感性がとても似ているということだ。

中国には昔から偉大な文化があった。たとえば2000年以上も前につくられた兵馬俑は、我々現代人をも圧倒する。マジやばくね、と思う。だが同時に、日本人とは感性が違うな、とも感じる。

水墨画はそうではない。単に偉大な文化であるだけでなく、僕たち日本人の感性と、とてもよく合うのだ。

 

今回『日曜美術館』で特集された青磁もまた、感性が日本人に近いな、と感じる。

青と言ってもブルーハワイのような鮮やかな青ではなく、雲の切れ目からときおり見える空の色のような、淡い水色なのだ。それがとても良い。

 

僕はあいにく関東住まいだが、関西に住んでいればぜひとも、今回の青磁の特別展を見てみたかったものだ。