Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第141回)

・『ボーン・コレクター

黒人の名優、デンゼル・ワシントンの出演映画には、外れがない。

社会派作品に好んで出演する彼だが、一方で、スリルある知的な娯楽作品にだって出ている。もちろん、どの映画のなかでも、黒人俳優としてはやや珍しくーというのも実に問題の多い話であるが、現在のアメリカでも黒人俳優は2chでいうところの「面白黒人」の役を与えられることが多いと聞くー知的な役どころを演じている。

今回ご紹介する『ボーン・コレクター』では、彼は事故のせいで半身不随となってしまった捜査官の主人公を演じている。

探偵小説では、安楽椅子(armchair)に座ったまま伝聞だけで事件を解決してしまうArmchair Detectiveなるジャンルがあるが、本作はさながらBed Detectiveである。

ベッドから起きられない彼にかわって現場で活躍するのが、本作公開当時まだ24歳だった、アンジェリーナ・ジョリーである。実に凛とした印象のアンジー。デンゼルとの相性も抜群だ。

テンポがよく飽きさせないが、被害者の殺され方がややエグいので、その点はご用心を(;^ω^)

 

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・『蛇の穴』

精神病院に入院した妻を訪ねに来た夫。だが妻はもはや夫を忘れてしまっていた。

夫は妻の主治医に、出会いから彼女の発狂までの経緯を語る。夫の話だけでは妻の発狂の原因は特定できなかった。が、粘り強い治療のかいあって、彼女の精神は少しずつ回復に向かっていった。

ところが退院試験の面接において、彼女は再び発狂してしまう。主治医は改めて原因の解明に乗り出す一方、彼女は主治医に恋心を抱くようになる。しかし主治医をひそかに慕う看護婦が嫉妬心に駆られ…

彼女の心の病気を調べていく過程で、どうやら幼少期のトラウマに原因があるらしいことが分かってくる。彼女の心の闇へどんどん斬り込んでいく展開は、スリリングである。ど派手なアクションがなくたって、スリルある映画はつくれるのだ。

彼女はことあるごとに「ぎゃああああああ!!!」と絶叫する。あぁ、「熱演」って言葉はきっと、この作品の、この女優さんの演技のためにこそあるんだろうな、と思った。

 

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・『暴走機関車

極寒のアラスカの監獄から脱獄した、ふたりの囚人。

なんとか機関車に乗り込んで脱出成功、と喜んだのもつかの間、機関士が心臓発作を起こして列車から転落してしまい、誰も機関車の暴走を止められなくなってしまう。果たして彼らの運命や如何に…!?

…という内容のパニック映画。原案はなんとあの黒澤明である。

なんでも、本当は黒澤が監督をやるはずだったらしいのだが、いろいろあって脚本を担当するにとどまり、しかもその脚本も大幅に改稿されたので、結局「原案 黒澤明」に落ち着いたのだという。

それでも確かに、言われてみれば黒澤っぽさが見受けられる。男性キャラクターが英雄的に描かれるわりには、女性キャラクターの描写はイマイチなとことか(※)、最後に恐れ入ったかとばかりにバーンとシェイクスピアを引用するとことかね。

 ※「女を描けない」というのは、世界のクロサワの数少ない欠点のひとつであった。

監督はロシア人のアンドレイ・コンチャロフスキーで、そのせいか映像の質感がどことなくソ連映画と似ている。

 

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・『華麗なるギャツビー

スコット・フィッツジェラルド華麗なるギャツビー』(The Great Gatsby)といえば、かの「やれやれおじさん」こと村上春樹大先生も激賞する世界的文学作品のひとつであり、これまでに幾度となく映像化されてきた。

最も新しいものは2013年制作で、主演はレオナルド・ディカプリオであった。

今回ご紹介するのは、1974年制作のもの。主演はロバート・レッドフォードである。

1920年代のNY郊外、ロードアイランド。主人公の若い男はギャツビーという富豪と知り合う。彼の屋敷では毎晩、享楽的なパーティーが繰り広げられていたが、不思議なことに、彼の素性について正確なことは誰ひとり知らないのであった…。

僕はどうしても、2013年版と比較したくなる。

うーん、たぶんこの1974年版のほうが時代考証は正確なんだろうけど、なんというか、1920年代のアメリカに特有の、あの何とも言えない「リア充感」がイマイチ出ていない感じがする。

時代考証が正確ならそれでいい、という単純な話でもないのだ。いくらか誇張があるほうが、かえってその時代の本質を捉えている、ということだってありうるのである。

映画って、難しいですねぇ。

ギャツビーの役も、レッドフォードじゃどうにも小さくまとまっちゃってる感じがする。2013年版のディカプリオの、あの内に狂気を秘めたような感じのほうが良かった。

うん、やっぱりこの勝負、2013年版の勝ち!(w

 

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・『輝きの海』

19世紀末のイギリス、コーンウォール

ある日、アメリカ行きの客船が沈没し、乗っていたロシア人青年が付近の村に漂着する。言葉も分からない彼は、なかば奴隷同然にこき使われるが、やがて村で変わり者扱いされている若い女と恋に落ちる。

女は村のなかで疎外された存在であり、日本でいうところの「村八分」に近い状態にある。村八分などというのは日本独自のものと思ってしまいがちだが、本作を見ると、イギリスの田舎でもどうやら事情は同じのようだ。結局のところ人間、どこの国でも考えることは同じなのである。

女は共同体から疎外されているがゆえに、感受性が他の村人とは異なる。浮浪者然としたロシアの青年がふらりと庭先に現れても、女は全く動じず平然と彼を出迎える。

疎外された者同士の間に生まれる不思議な絆ーこれぞ、この作品のテーマである。

知的な雰囲気を湛えた、村一番の知識人であるケネディ医師を演じるのは、イアン・マッケラン。あの『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフである!

 

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