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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『経済は世界史から学べ!』

これは数年来の持論なのだが、高校時代の世界史・日本史の教科書は絶対に、社会人になってから読み返したほうが良い。

社会人になると当然、社会の仕組み、動き方などを高校生のころよりも明瞭にイメージできるようになる。すると、「どうして歴史はこの時このように動いたのか」について、より深く理解できるようになるのだ。

高校生のころは記憶力はあっても、そうした社会への理解が乏しい。だから世界史の勉強はどうしても「ラティフンディア」とか「コロナートゥス」とかいった歴史用語を暗記するだけで終わってしまう。この場合、歴史用語は互いに連結しない点(プロット)となる。

社会人になって世界史を学びなおせば、これらの点(プロット)が互いに連結しあい、線で結ばれる。0次元だった理解が、1次元へと進化するのだ。

 

今日ご紹介する『経済は世界史から学べ!』ダイヤモンド社は、予備校講師である茂木誠さんによる経済学と世界史(日本史も含む)の解説書だ。

茂木さんは経済学者ではないが、世界史の講師として、経済学と世界史とを読者の前でダイナミックに結びつける。それがとても分かりやすく、面白い。

 

本著ではまずお金(貨幣)について2章かけて解説がなされ、続けて貿易、金融と章が続き、最後に財政の話となる。

世界史の先生だからか、過去と現在とを結びつけて論じるのがとても得意だ。

それまで資本主義勃興期の18、19世紀の話をしていたかと思うと急にTPPへと話題が飛ぶ。あるいは90年代以降における日本経済のいわゆる「失われた20年」の話になる。

こうした構成のおかげで、読者は過去の歴史的事件と現在の時事問題とが確かにつながっていることを納得するのである。点が、線になっていくのだ。

いかにも予備校の先生が書いた本らしく、重要な事項は太字で書かれているところも、分かりやすくて良い。

 

さて、いつものように、本著のなかで特に印象に残った箇所を取り上げてみる。

日本史の授業で必ず出てくるのが、江戸時代における「〇〇の改革」だ。

実を言うと僕はここが大の苦手分野で(w)、どれが享保の改革でどれが天保の改革だったか、いまだに頭がこんがらがってしまう(;^ω^)

これら諸改革に共通して言えるのは、「緊縮財政大好き」改革だったということだ。

これらの改革を推し進めた幕府の官僚たちは、朱子学者であった。茂木さんは朱子学儒学の一派で、極端な理想主義・建前主義です。「国家は農業を基盤とすべきで、商工業はいかがわしい」という思想≫(190頁)とまとめている。

この朱子学者たちの「改革」によって、日本はどうなったか。

貨幣量が激減してデフレに突入し、財政再建はかえって困難なものとなってしまったのである(本末転倒!)

茂木さんは、これは現在の日本で行われている「財政再建」の論議と同じであるとして、緊縮財政を求める主張に対し、警鐘を鳴らしている。

 

では逆に、日本を経済危機から救うのは、いかなる思想か。

茂木さんが着目するのは、備中松山藩の財政を立て直した、山田方谷だ。

彼は陽明学者であった。陽明学儒学の一派ですが、現実から出発して試行錯誤の中から解決策を見出していく≫(195頁)思想である。そしてその陽明学者の山田こそが、財政破綻寸前だった備中松山藩を救ったのである。

今こそ、我々もそんな陽明学者の英知に学ばなければならないときだろう。

 

…ほらね、やっぱり過去って、現在と通じているでしょう?(w

 

経済は世界史から学べ!

経済は世界史から学べ!