Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後』

これは前々からの持論なのであるが…

 

歴史作家・塩野七生は、「歴女」のさきがけである。

彼女は、1937年という早い時代に生まれたからこうして歴史作家となったのであって、もし生まれてくるのがあと半世紀遅かったら、 きっと「カエサル×ポンペイウス」などのカップリングでハァハァしながら薄い本を描き、コミケに出品していたに相違ないのである。(※私個人の見解です)

 

古代ローマの生んだ不世出の英雄、ガイウス・ユリウス・カエサルのガリア戦争までの半生については、昨日ご紹介した『ルビコン以前』で描かれている。

今日ご紹介するのは、その続き、『ルビコン以降』だ。

 

ガリア戦争に勝利した英雄カエサルを待ち受けていたのは、親族同士ですら敵味方に分かれて相争う、祖国ローマの内乱であった。

カエサルは不運にも、かつてともに三頭政治の一翼を担った武将・ポンペイウスと戦わざるを得なくなる。

ルビコン以降』は、カエサルポンペイウスとの幾度にもおよぶ合戦に、そのページの多くを割いている。

想定外であったカエサルルビコン川越えにより、ポンペイウスと彼を支持する元老院議員たちは「都落ち」を余儀なくされ、ギリシャの地にわたって反撃の機会をうかがっていた。

ポンペイウスは武将としては有能であったため、彼の側についた元老院議員たちも、一時は彼の勝利を確信していたようだ。それを無慈悲なまでに打ち壊したのが、ファルサルスの戦いにおけるカエサルの大勝であった。本著における見どころのひとつである。

 

戦いに敗れ、「落ち武者」となったポンペイウスが最終的に行き着いた先は、ローマの同盟国・エジプトであった。そこで登場するのが、かの女王・クレオパトラである。

著者の塩野氏は相変わらず、カエサルのこととなると実に饒舌である。一方、クレオパトラに対しては、どこか冷淡な印象を読者に与える。

塩野氏のクレオパトラへの評言における≪女とは、理によったのではなく、自分の女としての魅力によったと信じるほうを好む人種なのである≫(上巻291ページ)という箇所は、著者が男性であればいささか問題視されるのではないかとすら思われる記述である。(;^ω^)

塩野氏のクレオパトラ評は、このように「クレオパトラ=知性の女」という世間一般のイメージに疑義を投げかけるようなものが多い。

 

男であるカエサルのことは実に雄弁に語る一方、女であるクレオパトラに対してはどこか冷淡なあたり、いかにも女キャラに冷たい腐女子歴女という感じがするではないか。

やはり、塩野七生歴女なのである。

 

ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)

 

 

 

ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)

 

 

 

ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)