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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『私の「情報分析術」超入門』

元外交官にして作家という異色の例歴を持つ佐藤優さんによる、インテリジェンスの指南書。

他の佐藤さんの著書と同様、本著もまた全編書き下ろしではなく、雑誌での連載をまとめて単行本化したものである。

 

「え、インテリジェンスの指南書? っていうとアレですか。将来のスパイの卵を育成するための本かなんかですか?」

さにあらず。佐藤さんの主要な読者層と思しきビジネスパーソンたちに向けて、インテリジェンスの発想を時事問題の理解やビジネスへと応用する、という内容の本である。

大まかに「講義篇」と「実践篇」に分かれており、講義篇ではそもそもインテリジェンスとはなにかについて解説、実践篇では、ロシアやアメリカ、それにわが国の外務省などが分析対象として俎上に載せられる。

 

…のだが。実を言うと、本著の一番の見どころは、インテリジェンス云々よりもむしろ、佐藤さんが時折発する啖呵にこそある。

なにせ佐藤さん、かつて外務官僚時代に敵対していた官僚たちの実名を次々と挙げて、容赦ない批判の言葉を浴びせかけるのだ!

そのやり方も、またなんともイヤラシイ。

たとえばこんな具合である。

≪久しぶりに北方領土問題に関する本を上梓した。2014年1月20日に徳間書店から発売された『元外務省主任分析官・佐田勇の告白――小説・北方領土交渉』だ。

(中略)

さて、実際の北方領土交渉において、日本外務省のキープレイヤーは

杉山晋輔(すぎやましんすけ)外務審議官

上月豊久(こうづきとよひさ)・欧州局長

宇山秀樹(うやまひでき)・ロシア局長

の3人だ。

(中略)

筆者の小説には、架空の人物で、以下の3人の外務省幹部が出てくる。

杉田晋一(すぎたしんいち)外務審議官

下月登与久(しもづきとよひさ)・ヨーロッパ局長

久山英樹(くやまひでき)・ヨーロッパ局長ユーラシア課長

である。特に久山は、過去にロシア人の人妻とトラブルを抱えている。

(中略)

あくまでも小説で、実話ではないことを読者におかれては、くれぐれも留意していただきたい。仮に外形的事実として似たようなことがあったとしても、「偶然の一致」くらいに思ってほしい。≫(93‐94頁、カッコ内の人名は原文ではルビ)

いやいやいやいや、あきらかに「偶然の一致」じゃ済まないでしょ!(w

佐藤さんは、以前紹介した著書でも「一般論ですよ」と前置きしつつ、明らかに「あぁ、あの人ねw」と分かる相手をdisっていた。

どうやら、これが佐藤優さんの「得意戦法」のようだ。

 

…なんとも通俗的なコメントで恐縮だが、論壇を「鑑賞」することの面白さは、プロレス鑑賞のそれと似ている。

それぞれの評論家にそれぞれの得意技があり、観客=読者は、それがいつ繰り出されるかとワクワクしながらページをめくっている。

佐藤さんの場合、得意技はどうやら、上のようなイヤラシイdisり方のようだ。

(なお、この場合のイヤラシイとは、必ずしも悪い意味ではない)

 

評論家・佐藤優の「得意戦法」がよく分かるという意味でも、本著はなかなかに面白かった。

 

…うーん、それにしても、外務官僚のMさん、ロシア人人妻と肉体関係をもって旦那にぶん殴られたり、赤坂の料亭で「ぼくちゃんちゃびちいんでちゅ」と“赤ちゃんプレイ”をしたりしていたなんて…w(;^ω^)