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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『野蛮人のテーブルマナー』

元外交官にして作家という異色の経歴を持つ、佐藤優さん。

今日ご紹介するのは、彼の著書『野蛮人のテーブルマナー』講談社だ。

 

この本のなかで主に語られるのはやはり、佐藤さんの専門分野(のひとつ)である、インテリジェンス(諜報活動)だ。

インテリジェンスには、当然ながら特殊なスキルが多く求められる。そのひとつが、記憶術だ。

佐藤さんは、記憶術を鍛えるにあたって、はじめのうちは『百人一首』や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、慣れてきたら夏目漱石の『ころ』や『それから』を全文暗記(!)することを推奨している。

佐藤さん自身は、『ころ』をなんと約1ヶ月で暗記してしまったというから驚きだ。

やはり、「外務省のラスプーチン」、ただ者ではなかった…(いや分かってはいましたけどねw)

 

さて、本著のなかで一番面白いと感じたのは、AVについての話である。

ーえ、AV!?

そうなのだ(w)

さっきまで記憶術うんぬんの話をしていたのに、唐突にAVの話になるものだから、読んでいて面食らってしまう。

だが、著者の佐藤さんにとっては、決して「唐突」な論理展開などではないのだ。AVは政治と、ちゃんと繋がっているのである。

佐藤さんはこう述べている。

≪AV女優のなかで「余人をもって代えがたい」というようなアイドルを作ると「癌細胞」になり、システムが内部から崩れる危険性があるので、あえてそれを作らないという経験知がAV業界に存在する。これは他の分野にも応用できる。霞が関官僚の世界では、「自分しかこの仕事はできない」と考える者がなかなか権限を手放そうとしないので、「癌細胞」と化しているのである。(中略)AV業界の実情を編集者の小峯隆生氏から聞くうちに、霞が関官僚の問題が筆者には見えてきたのだ。≫(99‐100頁)

 

物書きという仕事をやっていて、一番「やりがい」を感じるのは、どういうときか。

それは、一見無関係のように思えるふたつの事象を取り上げ、両者の間にある類似点を指摘するときである。

佐藤さんは本著のなかで、大胆にもAVと霞が関とを結び付けている。

その手管に、読者は喝采を送るのだ。

 

うーん、やっぱり、佐藤優って、面白いなぁ。

 

完全版 野蛮人のテーブルマナー

完全版 野蛮人のテーブルマナー