Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』

元外交官にして作家という異色の経歴を持つ、佐藤優さん。

 

今回ご紹介するのは、そんな佐藤さんが十八番のインテリジェンスと国際情勢について語るという著作。ただし単著ではなく、対談本となっている。

対談のお相手は、佐藤さんの相方といったらこのひと、手嶋龍一さん…ではないんだよなぁ(;^ω^)

「いい質問ですね!」の決め台詞(?)でお茶の間でもおなじみ、ジャーナリストの池上彰さんだ。

本著ではこのふたりが、ウクライナ、中東、北朝鮮、中国、アメリカなどの国々について、その現状を解説していく。

ウクライナが出てくるのは、本著が刊行されたのがクリミア危機真っ只中の、2014年だったからである。

 

例によって、本著のなかで面白いと思った箇所をいくつか取り上げる。

ふたりのオバマ前大統領(刊行当時は現職大統領)に関する評価は、結構辛口である。

その理由は…池上さんの言葉を聞いてみよう。

≪黒人初の大統領であるオバマは、教養が邪魔しているという感じがします。

 前任者のブッシュ大統領に比べて、はるかにインテリで、思慮深くて、いろんなことを考えるわけですが、あれこれシミュレーションもするものだから、決断に時間がかかる。

 ブッシュ前大統領の場合は、熟慮せずに決断してしまうところがありました。それに比べると、何もかも遅い。(中略)そのことが結果として、全世界に悪影響を及ぼしていると思います。≫(210頁)

これに対し佐藤さんも≪同感です。こんなに早く、中間選挙の前からレームダックになった大統領は珍しい。史上最短でレームダックになった大統領ではないでしょうか≫(210頁)とこれまた手厳しい。

この箇所を読んでいて僕が思い出したのは、今春のトランプ大統領によるシリア空爆である。

シリアのアサド政権が化学兵器である毒ガスを使用したことに対し、トランプ大統領はただちに、空爆というかたちでこれに対応した。

彼の決断は早かった。そして、彼のこうした迅速な対応を見て、極東のならず者国家北朝鮮が恐怖におののいているだろうことは、想像に難くない。

オバマの前任者であるブッシュ大統領は、かわいそうにリベラルから散々、バカ、バカと言われ続けてきた。今のトランプにしても同様だが、案外バカのほうがかえって、かの国の指導者としてはふさわしいのかもしれない。

 

このほか、日本と朝鮮との一対一の戦争はなかった、という指摘も、考えてみればその通りで、盲点を突かれた思いがした。

(註:佐藤さんの発言)歴史をふり返ると、日本と朝鮮が単独で戦争したことはないのです。

池上 その通りだ。元寇のときだってそうです。

佐藤 元と高麗の連合軍ですから。(中略)日本が戦ったのは、いつも中朝連合軍。歴史上、一度も、朝鮮半島の単独政権と戦ったことはない。≫(180頁)

あ~、どうしてこんな簡単なことにも気づかなかったのだろう。俺のバカ、バカ、バカッ!(ポカポカ頭を叩きながら)

 

本著のラストは、池上さんらしくダジャレで締めくくられている。

気になるその内容は?

―皆さんご自身の目で確かめてみてください(w