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Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『読書の技法』

元外交官にして作家という異色の経歴を持つ、佐藤優さん。

彼のあの常人離れした知識量&執筆本数は、いったいどんなライフスタイルによって支えられているんだろう、とつねづね不思議に思ってきた。

 

そこで今回取り上げるのが、佐藤さんの『読書の技法』東洋経済新報社だ。

 

先日ご紹介した『野蛮人の図書室』は、佐藤さんがオススメの本を紹介するブックレビューだった。対して本著は、佐藤さんが自らの読書術を読者に種明かししてくれるという内容の、なんともタメになる本だ。

 

本著は「1部:本はどう読むか」「2部:何を読めばいいか」「3部:本はいつ、どこで読むか」の3部構成となっている。

2部では、佐藤さんがかねてから読むことを推奨している高校の教科書・参考書の読み方、および小説や漫画などの読み方が解説されている。

佐藤さんは(意外にも)村上春樹がお好きなようで、本著でもわざわざ「村上春樹1Q84』をどう読むか」という項目が設けられているほどである。

漫画作品としては『巨人の星』『ゲゲゲの鬼太郎』などが俎上に載せられるが、そうしたチョイスに若干の“昭和臭”を感じてしまうのは、僕だけだろうか…(;^ω^)

 

3部では、佐藤さんの超人的な時間の使い方が紹介されていて、これまた面白い。

なにしろ佐藤さん、夜中の2時に寝て、翌朝の5時には起きるというのだから、睡眠時間はたったの3時間!

もともと佐藤さんはあまり寝なくても大丈夫な体質で、中学生のころから睡眠時間3時間で事足りたのだという。毎日8時間は寝ないと気が済まない僕のような人間にとっては、なんともうらやましい話である…

※ただし佐藤さんも、「睡眠時間を削るような無理は絶対にしないでほしい」と断っている。(240頁)

 

2部、3部から先に紹介してしまったが、僕が一番面白く読んだのは、第1部。佐藤さんが読書術を指南する部分だ。

佐藤さんのあまりにも知的すぎる生活を支えているのは、速読法である。

佐藤さんは速読法を、「普通の速読」と「超速読」(!)のふたつに分ける。

このうち「超速読」は、400頁程度の一般書や学術書をなんと5分程度(!)で読んでしまうという驚くべき技法だ。

もっとも、これはあくまで「試し読み」にすぎず、これによって本の内容が100%頭に入るというわけではもちろんないから注意が必要だ。

佐藤さんはむしろ、「本の内容は100%頭に入れなければならない」という発想を批判している。

佐藤さんは、まずこの「超速読」をしてみて、そのうえで、「超速読」にとどめるか、ペースをゆるめて「普通の速読」の対象にするか(それでもまだ速読である点に注意)、はたまた速読ではなくじっくりと熟読すべきか、を判断するのだという。

熟読すべきと判断した本は、本当に時間をかけてじっくりと読む。

すべての本を速読するというわけではない。場合によっては、何ヶ月もじっくり読みこまなければならない本だって、ちゃんとあるのである。佐藤さんはそのような本として、語学や数学の教科書を挙げている。

 

本著を読むまで、佐藤さんは、たとえば「1ヶ月に30冊」という具合に目標冊数を決めて読書をしているのかと思っていた。

だが、そうではなかった。

佐藤さんは、速読すべき本とそうでない本とをーまずは「超速読」術にてー区別していたのである。

これは重要だ。「1ヶ月に30冊」という具合に自らに冊数のノルマを設定してしまうと、本の種類に関係なく、なんでもかんでも速読しようと考えてしまう。そうしないとノルマを達成できないからだ。

たしかに速読で済む本もある。だが繰り返しになるが、世の中にはそうではない本だってあるのである。

読書には、あえて冊数のノルマを設けないほうが良いだろう。

僕は、映画に関しては「1ヶ月に30本」とノルマを設定している。映画はどんな作品だって平等に2時間だから、これでいいのだ。

一方、読書に関しては、僕はこれまでノルマを設定してこなかった。本著を読んで、それで正しかったのだと確信でき、安堵している。

 

本著には、まぁオマケというべきか、冒頭に佐藤さんの書斎の写真が掲載されている。

床から天井まで覆いつくすほどの巨大な本棚がいくつもあり、そのなかに本たちが実に整然と並べられている。書斎というよりかはむしろ、公立図書館といった趣きだ。

ぜひ一度、佐藤さんの書斎にお邪魔してみたいな、と思った。

 

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

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