Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『インテレクチュアルズ』

高邁な理想を掲げる知識人が、だからといって人間的に優れているとは限らない。

 

今日ご紹介する本は、ポール・ジョンソン著『インテレクチュアルズ』講談社

近現代史において「偉人」としてあがめられている知識人たちの実像を暴露する、なかなかに衝撃的で面白い書物だ。

著者のポール・ジョンソン氏は、現代イギリスにおいて保守派を代表する知識人のひとりに数えられる、反共の歴史家だ。

当然、本著で俎上に載せられるのは、左翼知識人たち。誰もが一度は名前を聞いたことのある、アノ知識人の意外な実態が暴かれていく。

 

以下に、本著にてぶった斬られる知識人たちと、僕なりの感想を書いていく。

 

ジャン=ジャック・ルソー…自著『告白』にてタイトル通り自らの性癖を暴露してしまう変態。ナルシシストであり、すぐ周囲の人とトラブルを起こす。「うんうん、いるよね、こういうヤツ」と頷きながら読んだ。

カール・マルクス…経済学者なのに経済感覚皆無。「お前『資本論』書いてる暇あったらまず自分で資本稼げよ」という話。おまけに隠し子まで。奥さん可哀想。自己主張がきわめて強く、同時代の活動家たちとはケンカばかり。「うんうん、アナーキストの活動家で多いよね、こういうタイプ」と頷きながら読んだ。

ヘンリック・イプセン…因習からの人間の解放を謳った劇作家。なのに本人はお世辞にも社交的とはいいがたい性格。経済的成功を収めたにも関わらず超どケチ。同時代の知識人たちとはケンカばかり。

トルストイ…女癖悪し。自己チューで、ナルシシストの傾向あり。

アーネスト・ヘミングウェイ…同時代の文学者とはケンカばかり。アル中。もっとも、ここで挙げられた7人のなかでは相対的に一番マトモという印象を僕は抱いた。

バートランド・ラッセル…哲学者。「学者としては優秀だけど活動家としては…」という残念な左翼知識人の典型。その意味ではチョムスキーの先輩的存在。「先生、お願いですから象牙の塔に一生こもっていてください」としか言いようがない。

ジャン=ポール・サルトル…わりと無節操な人。ソ連に行ったらソ連を礼賛。中国に行ったら中国を礼賛。キューバに行ったらキューバを礼賛。ユーゴスラヴィアに行ったらユーゴ(以下略 女癖悪し。内縁の妻・ボーヴォワールは意外にも前近代的な「堪える女」だったのか。

 

…とまぁ、こんな塩梅。

巻末にて、ジョンソンはこう述べている。

 ≪知識人は、昔のまじない師とか司祭に比べて、良師として思慮深くもなければ、模範とするに足るものでもない、という考えが徐々に広がっているように思える。

(中略)

知識人を集団としてとらえれば、彼らは、自分に賛成してもらいたい人、賛成してくれるのがありがたい人からなるサークルの中では、ウルトラ体制順応者であることが多い。そのために知識人は、集団として、危険な存在となる。こういうことがあるからこそ彼らは風潮とか世論とかをつくることができるのだし、その風潮、世論がまたしばしば不合理で破壊的な行動を生み出す。何にもましてわれわれが常に心すべきは、知識人が忘れっぽいこと、人間のほうが観念よりも大事で、すべてに優先することを忘れてしまうことである。最悪の圧制、それは心なき観念の暴虐である≫(393‐394頁)

何事にも辛口のジョンソンに、森友学園だの加計学園だので騒ぐ、現代日本の反安倍の左翼知識人たちをぜひ論評してもらいたいものだ。

 

インテレクチュアルズ―知の巨人の実像に迫る (講談社学術文庫)

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