Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第165回)

・『 ドーベルマン・ギャング』

なななんと、ワンちゃんたちが銀行強盗に挑むという衝撃(笑撃?)の犯罪映画。

強盗団から特殊な訓練を受けたドーベルマンのワンちゃんたちが、強盗団から無線で指示を受けながら銀行強盗する場面は抱腹絶倒モノだ。

それぞれのワンちゃんたちには、デリンジャーだとかボニーとクライドだとか、1930年代の義賊の名前がつけられていて、思わずニヤリとさせられる。

ラスト。ワンちゃんたちはまんまとお金を引き出し、強盗団のもとに戻る。大喜びする強盗団であったが、待ち受けていた結末は…

最後のオチまで笑える作品でした。

 

ドーベルマン・ギャング [DVD]

ドーベルマン・ギャング [DVD]

 

 

・『情無用の街』

1940年代のアメリカ。ギャング組織への潜入捜査を試みるFBIの捜査官を描いた、疑似ドキュメンタリー映画(※)である。

※ドキュメンタリーっぽい劇映画のこと。近年の映画では『帰ってきたヒトラー』がこの手法で撮られた。

疑似ドキュメンタリー形式なので、BGMは極力省かれている。それが、独特の硬派な印象をもたらす。

モノクロ映画である本作で最も特筆すべきは、なんといっても明暗のコントラスト。それが本作に、芸術性をも与えてくれている。

うん、ギャング映画はやっぱり、カラーよりもモノクロのほうが雰囲気が出て、いいね。

 

 

・『殴られる男』

名優ハンフリー・ボガードが、ボクシングのプロデューサーを演じた作品。

主人公はかつてスポーツ記者であったが、失業の憂き目にあい、ボクシングのプロデューサーへと転身する。中南米出身の有望な青年ボクサーをプロデュースすることとなった主人公。青年ボクサーは順調に勝利を重ねていくが、やがて主人公はプロボクシング界のブラックな体質を目の当たりにする……

終始、ボガードの渋さが強く印象に残る作品であるが、残念ながらボガードは本作公開の2年後に食道がんのため死去。本作が遺作となってしまった。

 

 

・『逃走迷路』

殺人事件の犯人の濡れ衣を着せられた青年が、迫りくる追っ手を逃れながら真犯人を探すという、サスペンス映画。

監督は、「サスペンスの王様」、あのヒッチコックだ。

本作が公開されたのは、第二次大戦真っ只中の、1942年。

こうしたご時勢を反映してか、本作はヒッチコック作品としてはかなり政治色の濃い作品に仕上がっている。

本作のなかで、個人的に最も印象に残った場面を挙げてみたい。

警察からなんとかして逃れた主人公は、手に手錠をつけられたまま、ある民家へと逃れる。

その家の主である男性は盲目であったため、主人公はなんなく身分を隠すことができた(と主人公は錯覚した)。ところがこの男性の姪だという女性が現れ、手錠に気づいてしまう。パニックになる姪と主人公だったが、主の男性は彼女に向けて、冷静沈着に言う。

「なんだ、今頃(手錠に)気づいたのか」

主は、主人公の手錠に、とっくに気づいていたのだ。「どうして警察に通報しないの」と問う姪に対し、主は落ち着きはらった態度で、言う。

「裁判で有罪の判決が下るまでは、みな無罪として扱われるべきだからだ」

これを、推定無罪の原則という。

犯罪者かもしれない男が家に侵入している中で、冷静沈着にこの原則を訴えられる主こそ、リベラルデモクラシーの象徴に他ならない。

本作は、近代国家の理念であるリベラルデモクラシーを、ひとりの盲目の紳士に象徴させることで、当時猛威を振るっていた全体主義に対する、リベラルデモクラシーの優位を訴えているのである。

本作ではこのほかにも、いろいろと興味深い場面が出てくる。

逃走を続ける主人公に対し救いの手を差し伸べてくれるのが、サーカスの団員たちである。この団員たち、いずれも身体に奇形の部分のある人々であった。保田與重郎ならば「恥ずかしき存在」と言うであろう、この周縁的な人々が、主人公を救ってくれるのである。なんと示唆に富んだ描写であることだろう!

本作のトリを飾るのは、NYの自由の女神の上で繰り広げられるアクション。当時の観客たちは手に汗握りながらこのシーンを見ていたに違いない。本作は、娯楽映画としても実によくできている。

これは僕の持論であるが、真に名作と呼ばれる作品は、その優れたメッセージ性とともに、高度の娯楽性をも有しているものなのだ。

 

…それにしても、ラスボスがなんだかロシアのプーチン大統領に似ているのは、当然ながら偶然だけれども、「リベラルデモクラシーvs全体主義」という本作のテーマともなんとなく合致している気がして、笑ってしまう。

 

逃走迷路 [DVD]

逃走迷路 [DVD]

 

 

・『トゥルーライズ

我らがシュワちゃんイスラームのテロリストを撃退するという内容のアクション映画。

シュワちゃん演じる主人公、家族にはコンピューターのセールスマンと身分を偽っているが、その正体は大統領直属の国家保安組織のエージェントである。だがひょんなことから妻と娘にテロ組織の魔の手が迫り、シュワちゃんは家族にその正体を明かさざるを得なくなる…。

妻を演じるのはジェイミー・リー・カーティス。これがまた実にいい演技w

普段は色気のない女性弁護士なのだが、国家保安組織に協力せざるを得なくなり、一念発起して「夜のオンナ」を演じる場面は抱腹絶倒モノ。お色気も抜群だ。

本作の主役はもはやシュワちゃんではなく、このジェイミーだとすら言えるほどである。