Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『地方は消滅しない!』

僕の生まれ故郷、静岡県沼津市は、残念ながら、今日ではだいぶ衰退してしまった。

1990年代まではまだ、駅前の商店街には西○デパートもあったしマ○イもあった。若者でにぎわっていた。

今では、西○もマ○イも撤退。すっかりシャッター商店街と化してしまった。

う~ん、どうにかならないものか。

 

今日ご紹介する本は、経済評論家・上念司さんの『地方は消滅しない!』(宝島社)

僕のように郷土の衰退を嘆いている人にとって、本著はあるいは福音となるかもしれない。

 

そもそも、どうして地方都市は衰退しているのだろうか。

多くの論者がその原因として挙げているのが、人口減少である。

人口が減っているから地方都市も衰退してしまうーーなるほど、確かにもっともらしく聞こえる言説ではある。

ところが上念さんは本著のなかで、地方都市の衰退と人口減少との間に相関関係は認められないと主張するのだ!

たとえば、いわゆる「平成の大合併」によって、市町村ひとつあたりの人口は増加したのだが、それによって財政状態は良くはならず、むしろ悪化している(=人口増でも栄えるわけではない!)

あるいは、高度成長期、地方は今日よりももっと激しい人口流出に苦しんでいた。ならば高度成長期に地方都市はとっくに消滅していてもいいはずなのに、そうなってはいないのだ。

 

「地方衰退の原因は人口減少」とよく似た言説に、「デフレの原因は人口減少」というものがある。どちらもメディア上でよく見かける説だが、要注意である。

≪みんなが言っているからといって正しいとは限りません。なぜなら、みんなが騙されている可能性があるからです。≫(53頁)

上念さんに言わせれば、人口減を地方衰退の原因にするのは、官僚たちが仲間をかばう際に、そのほうが都合が良いからである。人口減が原因ならば、誰が悪いというわけでもないからだ。

デフレの原因を人口減にするのも、これとまったく同じ理由による。だが実際のところは、上念さんや他のリフレ派の論客たちが主張しているように、デフレは誤った経済政策によって引き起こされた「人災」に他ならないのである。

 

では、地方衰退の本当の理由は、何なのだろう。

上念さんは、イケてない地方都市に共通して見られる「墓標」にこそその原因あり、と見ている。

「墓標」とは、稼働率の悪い大型商業ビルのことを指す。

地方都市の出身者なら、誰しも心当たりがあるのではないか。駅前の一等地に建っていて、それなりにカネのかかった立派な建物なんだけど、テナントは全然入っておらずいつだってガラガラという、シャッター商店街ならぬシャッタービルディングである。

それを上念さんは「墓標」と呼んでいるのである(我が沼津にも、あるある、そういうビル!)

この「墓標」、つくるのに結構カネがかかっているのに、中がガラガラだから全然資金を回収できない。それでいてメンテナンスの費用は掛かるというのだから、地方都市にとっては不良債権以外の何物でもない。

かくしてこの「墓標」のせいで経済状況は悪化、地方都市は衰退していくのである。

 

では、どうすれば地方都市は生まれ変わることができるのだろう。

「どうして失敗したか」の分析をしっかりとやれば、逆に「どうすれば成功するのか」が見えてくる。

地方衰退の真の原因たる「墓標」は、お役所主導でつくられたものだ。

ならば、成功するにはその反対ーつまりお役所主導ではなく、民間に任せれば良いのである。

本著第4章では、民間が主導して公共施設を建設した、紫波町のケースが紹介されている。

一方、失敗したケースも取り上げられている。こちらは公共施設開発の手法で民間施設も一緒に建ててしまい、それゆえに失敗したのである。

こう言ってしまうと身も蓋もないが、町おこしは、ビジネスなのだ。お役所にビジネスができるか。できるわけない。餅は餅屋。ビジネスは民間である。思い切って民間に任せてしまえ!

 

それでは、お役所がやるべき仕事とは何だろう。上念さんは言う。

≪政府や地方自治体がやるべきことはあらかじめ正解を想定して人々をその正解に寄せるのではなく、人々が自由な発想でいろいろなアイデアを実践することを邪魔しないことなのです。≫(217頁)

僕の地元・静岡県沼津市は、実を言うとここ最近、盛り返してきている。

ご存知の方も多いかもしれないが、人気アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』が沼津市を舞台としており、いわゆる「聖地巡礼」のため訪れたアニメファンたちで街は賑わいを取り戻しつつあるのだ。

今や町中ラブライブ一色。キャラクターの誕生日をファンと一緒に祝う店も最近では多くなった。沼津市民の間からは街の活性化を喜ぶ声が多く聞かれる。

この『ラブライブ!サンシャイン!!』、確かに最近では沼津市も公式HPでキャラクターの誕生日を祝うなど“便乗”しているが、もとはといえばアニメスタッフがたまたま沼津を訪れ、風光明媚であったことから作品の舞台に選んだのが、そもそもの始まりである。沼津市から「ウチでアニメを撮ってください」との申し出は、なかったという。

ここでもやっぱり、成功の秘訣は民間主導だったのだ。

 

地方は消滅しない!

地方は消滅しない!