Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第181回)

・『みんな~やってるか!』

とても愉快な映画だ。

見るからに低年収&非モテといった感じの中年主人公。彼の性的な妄想が徐々に現実と入り混じっていくさまを描いた、とてもシュールなコメディ映画である。

監督はビートたけし。本作では本名の「北野武」ではなく芸名が用いられている。

主演は、「ダンカンこの野郎!」でおなじみ(?)のダンカン。見るからにAV男優然とした佇まいからして既に可笑しい。

本作を貫いているのは、下ネタ盛りだくさんのシュールなギャグである。

おそらく本作から影響を受けたーあるいは意識したーと思しき、松本人志監督『大日本人』は、本作に比べれば陳腐だ。「アメリカの影響下に置かれた無力な日本」など、中途半端にまじめなテーマを盛り込んでいるせいである。

 

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・『祝祭』

「韓国版『おくりびと』」といった印象の韓国映画。もっとも、『おくりびと』よりこっちのほうが古い作品なんだけどね(w

韓国南部のある農村。ひとりのおばあさんが亡くなった。彼女の葬儀を執り行うため、親戚縁者たちが一同に集う。人々は、故人との思い出を語る。

群像劇としての性格が強い本作。そのなかでも主人公格なのは、おばあさんの息子である作家だ。

作中、彼の書いた童話が劇中劇というかたちで描かれる。この童話のなかで、老人がなぜボケてしまうのかが語られる。

老人は、自らの知恵と歳を子供に分け与えてしまう、それ故に老人は次第に赤ん坊へと退行してしまう(=ボケてしまう)。すべての知恵と歳を完全に分け与えてしまうと、老人は誕生以前へと還る(=死んでしまう)のである。人間の世代交代は、このサイクルとして説明される。

私事で恐縮だが、僕にも現在90歳になる祖母がおり、徐々に痴呆の症状が進んでいる。僕にとっては、なんとも身につまされる内容の童話であった。

本作で細部まで描かれる韓国流の葬儀のやり方もとても興味深く、民俗学的観点からも楽しめる作品だ。

 

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・『ラブストーリー』

主人公の女子大生は、ある日、母親の若い頃の日記を発見する。そこには母とその恋人(父ではない)のロマンスが綴られていた…。

父母というのは、最も身近なようでいて、実は最も未知の部分の多い存在である。なにせ、彼らには私たち子供が生まれる前の約30年近い時間がある。そして彼らが過ごしたその時間のことを、私たち子供は知らないのだ。

父母には、彼らだけが知る物語がある。

本作は、基本的にはラブストーリーであるが、その背景には韓国近現代史も描かれる。朴正熙独裁時代や学生デモ、(日本では否定的に言及されることの多い)韓国軍のベトナム派兵などの歴史的事件が、主人公の母の物語と並行して描かれる。

「母の恋人はかつてベトナムで戦った」という筋書きは、まさに韓国ならでは、だ。

主人公が、それまで知らなかった母の過去を知る話ということで、僕は大林宣彦監督『さびしんぼう』を思い出しながら本作を見ていた。

 

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・『フェーム』

NYの芸大生たちの4年間の学生生活を描く。

群像劇であり、特定の主人公はおらず、人種、性別、様々な学生たちの人間模様を描いているのがポイントだ。

日本でもそうだが、芸大生というのは本当に個性の塊である。こういう連中を相手にする教員の人たちはさぞや疲れることだろうな、と心底同情してしまう。

…そう、実を言うと僕、このテの青春映画を見ても、「自由奔放に青春を謳歌する若者たち」に憧れることが皆無なのだ。むしろ、彼らに振り回される大人たちのほうにこそ感情移入してしまう人間である(;^ω^)

 

 

・『フットライト・パレード』

映画がサイレントからトーキーの時代へと移ると、ミュージカル演劇界にとっては映画がかなりの脅威となったらしい。映画がついに音楽を手に入れたことで、手ごわい競争相手となってしまったからだ。

で、本作の主人公もそんな映画のトーキー化のあおりを受けて苦しむミュージカル演出家のひとりである。なんとか生き残るべく、彼はまるでスティーブ・ジョブズのように衝突した従業員をどんどんクビにしながら、新しいアイデアを次々と思いついていく……

本作の見どころは、やはりなんといっても、終盤の水中レビューだろう。

水中レビューについては以前簡単に説明したことがある。まるでシンクロナイズドスイミングのように、踊り手たちがプールのなかを泳ぎまわるのだ。カメラは実際に水のなかに入り、彼女たちを追う。

大恐慌真っ只中の1933年に撮られたというのが信じられないくらいのゴージャスぶり。

はぁ~、これをカラー映像で見られないのが、本当に残念…。

 

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