Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『日本版カジノのすべて』

本日ご紹介する本は、『日本版カジノのすべて』日本実業出版社である。

著者は、カジノ専門家の木曽崇さん。

記憶力にすぐれた本ブログ読者の方なら、以前ご紹介した『これからの地域再生』の6人の著者のなかに、木曽さんの名があったのを覚えていらっしゃるはずだ。

 

それにしても「カジノ専門家」とは、なかなかに面白い肩書だ。

僕はてっきり、「好きが高じて評論家になってしまった」という、わりとありがちな話なのだとばかり思っていた。

ほら、よくあるでしょう。ラーメン好きが高じて、いつのまにやらラーメン評論家になっちゃいました、みたいな話。

木曽さんも、カジノが好きすぎてラスベガスに通いまくった結果、気がついたらカジノ専門家になっちゃいました、みたいな人なのかと思っていた。

そしたら、そうではなかった。木曽さんは、ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学(そ、そんなのあるのか…)を首席で卒業したという、ガチ専門家さんだったのだ…(;^ω^)

 

本著は、しかしながら専門的な著作ではない。

一般の人向けに話し言葉で分かりやすく書かれており、大事な部分はご丁寧に太字で表記されている。こういう工夫がなされている本はとても読みやすく、好感が持てる――この点、経済評論家の安達誠司さんの本と似ている

 

本著は要するに、IRとは何か、をテーマに書かれた本だ。

IR(integrated resort)とはその名のとおり、統合された(integrated)リゾートのことである。そこではホテル、ショッピングモール、レストラン、映画館、スポーツ施設などがズラリと並べられる。カジノだけではないのだ。

面白いのは、IRのなかには博物館や美術館も含まれるという話。これは、僕にはちょっとした衝撃であった。

僕は、ギャンブルというものに、まったくなんの興味関心もない。

競馬、競輪、競艇……どれもこれも、一度としてやったことはない。宝くじにしても同様で、どうして「夢を買う」などという陳腐きわまりない売り言葉にみんな騙されてホイホイ買っちゃうんだろう、バカなんじゃないのか、といつも不思議に思っていた。

一方、博物館や美術館は、大好きだ。

もし十分なお金と時間さえあれば、東京中の博物館・美術館を見て回りたい、といつも思っている。Eテレの『日曜美術館』は、お気に入りの番組のひとつだ。

僕のなかではギャンブルと博物館・美術館が全然結びついていなかったわけだが、IRはこれらを統合したものだ、と木曽さんは言う。

博物館・美術館だけではどうしても収益は上がらない。そこで、儲かるカジノと一体化してしまおう――こういう発想なのだ。

 

カジノ、というと日本ではどうしても、危険、いかがわしい、ガラが悪い、といったイメージがつきまとう。

ヤクザが仕切る違法カジノのイメージがあるからだろう。また、任侠映画における鉄火場の描写も関係しているのかもしれない。

だが「そうじゃない、カジノはそういうのとは違うんだ!」と本著のなかで木曽さんは強調しているのだ。

上述のとおり、海外のIRは、ホテル、レストラン、さらには博物館・美術館などもセットになっている。堅気の人たちでも、というか、堅気の人たちこそ楽しめるのが、カジノであり、IRなのだ。

木曽さんはむしろ、カジノ合法化によってヤクザの経営する違法カジノが淘汰される可能性すら指摘している。これはちょうど、禁酒法時代のアメリカで酒の密造によって栄えたギャングが、禁酒法廃止によって収入源を失い、衰退したのと同じことである。

 

日本でのIR導入を目指す流れは、着実に進んでいる。まだまだこの国には少ないカジノ専門家・木曽さんのこれからの活躍が楽しみだ。

 

日本版カジノのすべて

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