Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第202回)

・『黒い罠

市民ケーン』で有名なオーソン・ウェルズの監督・出演による犯罪映画。アメリカ・メキシコの国境地帯を舞台に、チャールトン・ヘストン演じるメキシコ人麻薬捜査官の主人公が、オーソン・ウェルズ演じる悪徳警官の不正捜査を追及するさまを描く。

……率直に言って、ストーリーのほうは、さほど面白いというわけでもない。本作で目を引かれるのはやはり、その映像美だ。

巨匠ウェルズの手によるモノクロ映像はとてもスタイリッシュで、1958年公開の映画と言われてもにわかには信じられないくらい。現代の映像作家があえてモノクロフィルムで撮った、と言われたら信じてしまいそうだ。

どうか皆さんも、ウェルズの映像美と渾身の演技――巨漢の警官を演じるために体中に詰め物をしたらしい――を楽しんでほしい。

 

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・『グロリア』

オジサンと女の子という取り合わせの映画なら多くある(『ペーパームーン』とかね)。が、本作はオバサンと男の子という取り合わせで、これがなかなかに面白い。

ジーナ・ローランズ演じる主人公のオバサンがひょんなことから、マフィアに家族を殺された男の子を保護すべく、NY中を奔走することになる。

もちろんアクション映画として楽しめるが、NYの様々な風景が映し出されており、観光映画としても一見の価値がある。

 

 

・『アルマゲドン2007』

皆さん、お間違えなきよう。あのブルース・ウィリス主演、エアロ・スミス主題歌の『アルマゲドン』ではありませんよ。

本作は『アルマゲドン2007』というややこしいタイトルの、B級映画である。

筋書きのほうは、本家(?)とだいたい同じ。冒頭、地球に多くの小惑星が衝突、人類はさっそく存亡の危機に立たされる。

ところがこの小惑星による被害が、小さいのなんのって(w)。普通、小惑星が衝突したら半径何十キロにもわたって吹き飛ぶはずなのだが、本作ではせいぜいビル一区画程度が消滅するにとどまる。CGも、なんだかショボい。

だが、衝突するのは小惑星だけではなかった。その後の展開で、なんと地球の衛星である月までもが地球に衝突する可能性が高いことが指摘されるのである。な、なんだってー!(AA略

……とまあ、だいたいこんな内容の映画なのだが、しょせんB級映画だから(w)、合成が本当にお粗末さま。隕石が降り注ぐシーンなどは、さながら花火大会のようだ。(;^ω^)

天体を監視するNASAの地上管制室に置かれているコンピューターが普通の家庭用ノートパソコンなのも、いくらなんでもあんまりであるし、主人公が宇宙に行っても相変わらず冗談がスベっているところなども、目も当てられないほど悲惨である。

あげくのはてには、貴重なはずの天体の破片サンプルを手渡しで渡してしまう、プロジェクトが実際に始動した後になって重大な計算間違いが発覚する、など、もはやメチャクチャ(w

最終的に核弾頭を用いることになるのだが、その核弾頭を普通に手でペタペタ触ってしまうあたりは、さすが「核=すんごい大きな爆弾」程度にしか認識していないアメリカ人のなせるわざか。

かくして、デススターを破壊するスターウォーズ的な終盤を経て、本作はなんの余韻も感動もない結末へと至るのであった。

 

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・『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』

岡山県の片田舎を訪れた、我らが寅さん。そこで町の和尚を助けたことが縁となって、すっかりその和尚の寺に居ついてしまう。

ある日、和尚の代わりになんと寅さんが檀家さんたちの前で法話をやることになるのだが、寅さんの破れかぶれの“法話”が意外にも檀家さんたちの間で大ウケ。和尚の娘である竹下景子――本作のマドンナである――との仲もなにやらアヤシイものとなり、いつしか町の人々の間では、寅さんが婿養子に入って寺を継ぐという話にまでなってしまう。はたして寅さんは本当にお坊さんになってしまうのか……!?

煩悩の代名詞のような寅さんがもしかしたらお坊さんに……? という筋書きが面白い。だが、案外ああいう人のほうが仏教者の素質があるのかもしれない。なんてったって、かのブッダもまた、若い時の放蕩生活を経て、悟りを開いたわけだから。

和尚の息子役の中井貴一がまだ若い!

 

 

・『100歳の少年と12通の手紙』

今年(2017年)ご紹介する最後の映画である。

とある病院にて、宅配ピザ屋の女主人がひょんなことから白血病の少年の話し相手をつとめることになった。少年の病は重篤で、もはや余命は短い。

女主人は少年に、1日を10年だと考えて過ごしてみてはどうかと提案する。10日経ったら、100歳というわけだ。諭された少年は、大晦日までの2週間弱の期間、毎日“歳”を取っていく。

少年は、同じ病院にいる難病の少女を“伴侶”とし、彼女との「結婚」と別れを経て、精神的に成熟、最終的には宗教的とすらいえる境地へと達していく……。

「生きること」とは何なのか、を考えさせられる作品だ。とはいっても決して堅苦しい映画ではなく、ときにCGを用いたコミカルな演出がなされているのが楽しい。ピザ屋の女主人役のミシェル・ラロックが、なんともキュートだ。スウェーデンの名優マックス・フォン・シドーが病院の老院長役で出演しているのもうれしい。

本作の舞台となるのは、12月の下旬。ちょうど今くらいの季節だ。今からでも遅くはない。みなさんもレンタルショップに行き、本作を見てみてほしい。

 

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